環境共生と農のまちづくりへの挑戦
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エコ村の取り組み

 

 では次に、エコ村ではどんな取り組みをしているのかを、ショートフィルムのカットから紹介します。


具体的取り組み1:地域の畑と食をつなぐ

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 この取り組みは、都市の周辺部や農村部に近いところにおける、エコの取り組みといえるのかもしれません。まずは「物質循環」としての例ですが、10坪菜園を設置することで、日頃から土に親しみ食について考えてもらおうという取り組みです。

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 10坪菜園で獲れた野菜は、生活の基本単位である家族で食事をする。家族をもう一度しっかり見直して、自分たちで作った野菜を食べながら家族のコミュニケーションを図っていこうというものです。

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 生ゴミは菜園の中に設置したコンポスターで堆肥化して、再利用するという考え方です。

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 「物質循環」を村レベルで考えた場合には、エコ村の中に農産物直売所を設けて、周辺農家の作る農産物を扱いたい。そこでは、誰が作った野菜か・誰が買うのかといった、売り手と買い手お互いが見える形の関係づくりをしていきたいと考えています。

 実は、この絵ひとつを作るにも難しいことがあります。簡単に作ろうとするとラップに包まれたトレー入りの野菜が置かれた絵を作ってしまいがちなんですね。しかし、我々としては、とれたての野菜を未包装で売られている絵を作りたかったので、こういう風に制作しました。


具体的取り組み2:自然とつながる住まい

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 「自然とつながる住まい」の例としては、「自考自築」による住まいです。左の家は近江八幡市内に2006年に作ったエコ村のいわば「モデルハウス」で、滋賀県で採れた木材や土(壁に混ぜて使う)などの自然素材を使った家です。右はその内部で、里山の間伐材を利用するマキの暖炉もあります。マキを燃料として使いながら、里山保全をしていこうという取り組みです。

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 近江八幡では実際に里山(八幡山)保全の取り組みもされています。昔の里山は、クヌギなど雑木林だったのですが、近年は竹がかなり浸食しています。生物の多様性、種の保存を考えると、竹が入りすぎるのは良くないということで、ボランティアの方々が竹の伐採に来られています。「八幡山の景観を良くする会」というシルバー世代が中心のNPOが中心となって活動されています。

 滋賀県はボランティアの参加率が日本一らしいのですが、この地域にもその一端が見られるということです。ちなみに大阪は全国的にも最低ランクらしいです。

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 住まいについては「微気候」という概念を取り入れて設計しています。夏と冬の概念図がありますが、それを実際に絵にしてみました。

 縁側を作りその先には落葉樹を植えて、夏は緑陰による涼しい空間、冬は日向ぼっこができる温かい空間をデザインしました。知人友人が遊びに来て「縁側コミュニティ」が出来るような空間が必要ではないかと考えたからです。

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 また、住まいには「水の循環」も考えて、雨水を蓄えるタンクも用意しました。これで庭や畑の水遣りをしてもらいたいと思います。


具体的取り組み3:緑あふれるまちなみ作り

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 まだ協議中の段階ではありますが、「緑あふれるまちなみ作り」の例がこちらです。

 これからエコ村の風景づくり協定(自主協定)に取りかかると同時に、市と協議しながら建築制限条例も作っていきます。この条例は例えば、屋根の勾配が一定以上になるときは届け出あるいは協議が必要などという内容です。

 またデザインコードも制定し、塀の位置や柵のあり方、セットバック位置も決めていこうと計画されています。

 こういうコードを入居時にみんなで議論しながら共有して、コードに沿って村づくりをしていこうという考え方です。

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 実際に八幡市内を歩いていると、農村部にはこういう昔ながらの集落がまだたくさん残っています。

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 これは吹田市の民家ですが、敷地内にミカン、リンゴ、イチジクなど日本に古くからある果樹が植えられています。エコ村でもこのような実のなる木や生物の多様性がある風景を作りたいと考えています。

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 外国での例になりますが、ギリシアの住まいです。家の入口には吹田市の民家と同じように植栽が施されているのですが、よく見るとブドウやキーウイ、向こうには栗の木があることが分かります。

 またエネルギー問題も緑の風景とつながってきます。実際には難しいこともあるでしょうが、車をなるべく置かないことを啓発していこうと計画されています。そのためにも「歩いて楽しい村」を実践していかなければなりません。

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 公園や公共施設を作る中でも、住民や一般市民が参加できるような取り組みを考えています。こういう参加が公共心を養い、施設に対する愛着を醸成し、ひいては「社会の健全性」へとつながっていくのではないでしょうか。


具体的取り組み4:大学やNPOとの連携

 「社会の健全性」の条件としては、多様な人々が村に住んでいることもあげられます。エコ村でもそういう状況を作り出していきたい。

 例えば、研究者住宅や集会所においては環境問題やライフスタイルを考えるセミナーやシャレットが随時行われることも必要でしょう。そういう機会を通じて研究者や住民が交流を深めることができるよう、デザインしなければなりません。

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 この写真は「食や農に関するサポート」の一例です。農法講座や市民菜園運営などを行います。

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