都市環境デザイン会議関西ブロック
2008年度第2回都市環境デザインセミナー記録
奇跡の星の植物館とまちづくり
辻本智子
趣旨
海外の植物園に比較し、日本の植物園は珍しい植物を見せる見世物小屋だったかもしれない。人々も植物園に対してそれくらいしか求めてこなかったのではないだろうか。「感動、交流、教育、環境、健康、経済、研究・開発」。植物が社会に及ぼす効果を「花と緑の七恵」と私は呼ぶ。これだけの社会効果を与える「植物」はまちづくりの救世主といえる。しかし、日本ではガーデニングブームが起り、やっと住民参加のまちづくりに「花」が有効だということが認識された程度である。
奇跡の星の植物館は、「自然と人間の共生」のライフスタイルを提案する植物館である。
植物館では、花と緑の七恵を意識し、様々なシーンで緑化を試み、伝統産業・アーテスト等とのコラボレーションを行いながらガーデニングや花のまちづくりの提案を行っている。これは緑の都市実験であり、伝統産業とのコラボレーションは伝統産業に新たな展開をもたらした。またアートとのコラボレーションは園芸界に空間作りの大切さを伝える情報発信となった。
日本の中で一番植物園が集中する阪神間。植物の七つの効果を機能させ、植物園をまちづくりインキュベーターとして活用することが関西復興のキーとなるに違いない。
JUDI会員 辻本智子
講演記録
奇跡の星の植物館と花のまちづくり 辻本智子環境デザイン研究所/兵庫県立淡路夢舞台温室奇跡の星の植物館 辻本智子
日時/場所
2008年2月22日(金曜日)
ドーンセンターセミナー室
講 師
報告:辻本智子
大阪府立大学大学院農学研究科博士課程後期中退(緑地計画工学専攻)
樺メ本智子環境デザイン研究所所長
兵庫県立淡路夢舞台温室奇跡の星の植物館プロデューサー
兵庫県園芸公園協会理事
学部では園芸を専攻。カナダ研修留学より帰国後「花と緑で日本を変える」と決心。求める職業は世の中になく、自分が作るしかないと設計を学ぶためランドスケープに移り、アメリカ留学中に都市計画家にならない限り自分の夢は実現できないと感じる。
大阪花博で日本へ帰国。民間のシンクタンクで「花博がもたらす社会・文化・経済効果に関する研究調査」を担当。その後、自らの考える花博の実現をめざし、日本で最初のライフスタイル提案型の花の植物館(松下電器産業労働組合)の植栽展示デザインを担当,後館長に就任。95年退職後、会社設立、春日井市都市緑化植物園において住民参加の植物園づくりをスタート(1995〜2007年)。花の地球館(1995年岐阜県)、淡路花博奇跡の星の植物館(2000年)、浜名湖花博(2004年)国際交流館主催者展示、ジャパンフラワーフェステバルIN香川(2007年)では計画から施工まで総合プロデュースする。
地域性と伝統をガーデニング継承するガーデンルネサンスを提唱。植物園から始まる花と緑の公園島淡路をめざし、ただ今、奇跡の星の植物館に集中。
司会:鳴海邦碩
大阪大学大学院教授(専攻・ビジネスエンジニアリング)
本記録は大阪大学の松本邦彦さんとYuYu編集工房の前田祐子さんが記録を起こしたものを、ご講演の皆様に校正いただいたものです。
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