これは下町の倉庫です。全然使われなくなって、壊して駐車場にしようかという話になっていました。
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それをちょっと待ってという話で、改造しました。
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中に白い箱を入れて、そこで寝泊りできる。ですからこれは住宅ではなく、倉庫として貸しています。
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今ここには、フランス帰りのカーデザイナーさんが住んでいます。フランスでホームページを見て、これしかないと思って、実物を見ないのに申し込んでくれました。
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シャワーもつけています。
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これは一棟のビルです。4〜5年前、いわゆる大阪の都心部で繊維関係がどんどんダメになって、売りに出たビルの一つで、これも繊維関係のビルでした。
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これを一棟まるごと転用しました。これは建築確認を出して、オフィスから住宅に転用しました。大阪市内では事例としては、2例目です。あまり変わっていません。それは別にお金をかけたくないからではなくて、ビルでいいではないかと。逆にこういうバルコニーのないファサードで「ビルに住んでいるのがかっこいい」という人を呼べばいいじゃないかと思ったわけです。 さすがに表面のアルミスパンドレルは張り替えていますが、サッシなどは殆ど変えていません。ただ、非常進入口が要るという話になって、サッシは変えたのではなく、中からカバー工法で取り付けています。建物は全体で10室ほどの規模です。
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エレベーターも入れて、階段室はそのままです。あとはパイプスペースを設けて、1フロアでだいたい2室。上のほうは1フロア1室もあります。オフィスですから法的な採光は元々なく、ベタッと建っていて、それがちょっと苦労した点です。
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中は廊下です。これも特に何もやっていません。絵をかけたくらいです。
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床はモルタル状のものです。居住性能として数値化すると、決して良い数値ではないかもしれませんが、これは空くとすぐ埋まります。今でも人気物件です。
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オフィスだったので、天井が高く、3m以上あります。住宅として考えたらかなり天井が高いです。
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こういう耐震補強壁も、行政に確認を出して求められたわけではありません。昔の構造のままでいいですよと言われたんですが、ファンドに売る時に「構造的にしっかりしてますよ」と言わないと売りにくいので、こういう補強をするということになりました。
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ただ、いつも思うのですが、オフィスのまま使っていたら、補強せずにそのまま使っていくわけです。転用してこういう補強をすると、強くなっているなあと。僕自身は別にそこまでしなければならないのかといつも思っています。 それをしてしまうと、事業化しにくいところがあって、オフィスならオフィスでそれでいいといつも思うのですが、でも商品としてはやっていかなければならないし、実際やるに越したことはないんです。でもそれが前提になってしまうとコンバージョンは進まないと思います。
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それをさらに進めたのが、これです。奥の方は敷地いっぱいなので、法的な採光がとれません。そこでわざわざスラブをとってしまって(隣地から5m近くとって)、そこで法的な採光を確保して住宅にする。そこまでしなければいけないのか。それならオフィスで貸そうよと思うんですけど、今回は住宅にするというのが事業主のテーマだったので、それでやりました。 不思議なのは、そうやって住宅に一生懸命にしたものを、借りた人は実はオフィスとして使っています。いわゆる一般的なオフィスには、風呂などないんですが、業種とか働き方によったら、オフィスにシャワーとか、風呂があってほしいという人たちもいるんです。そういう人たちが借りています。
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ただ法がなかなかついてきてもらえていないとは思っていて、いらいらすることが多いです。建築基準法そのものが新築を限定して書かれているものでしょうし、先ほど言っていた昔の長屋は住宅なのかオフィスなのか判然としないのに、今の基準法では分けたがるというか、分けているんです。
僕はなぜ分けなければならないのかと思っています。昔からワンルームマンションで働いている人もいるし、住んでいる人もいるし、特に住宅とオフィスというのは一緒になっています。ホテルにしてもサービスアパートメントと言って、家具つきで短期で住むホテルは、日本の場合はあまりないですが、アジアの都市やヨーロッパなどには普通に街中にあります。最近は東京に出てきましたし、関西にも出てきました。それはホテルなのか住宅なのかと。それなども分けなくてもいいんじゃないかといつも思うんです。それをやったがために、今度また転用しようとなると大層なことになってしまう。ですからやはりコンバージョンを進めるのであれば、基準法を柔軟に解釈するとか、基準法そのものを変えていくというのが、絶対に必要だろうなと思っています。