コンバージョンが街をおもしろくする
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公共空間をコンバージョン

 

●歩道橋のコンバージョン

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 これは歩道橋です。歩道橋というのは、60〜70年代に一気につくられました。まだ時代が若くて、日本に年寄りが少なかった時だと思います。今、途上国なんかは結構多いです。20年前に韓国に行った時に、「何か歩道橋や地下道が多い」と感じたものでした。やはり国民が元気な時は、皆、こういうところを渡っているんですが、だんだん使わなくなってくるんです。

 そういうものがいっぱいあって、塗装するのにお金がかかるとか、壊すといった話になるわけですが、こういうニュースを見るたびに「アホか」と。もっと知恵を使おうよと。壊すのは簡単だけれども、何か使い道がないのかと。


●橋のコンバージョン

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 なんでもいいんです。たまたまバーになっていますが、これに屋根を付けるとか、何かちょっと手を加えたら転用はできるのではないかと思います。それを行政の人だけで考えたのでは、なかなかアイデアが出てこないから、地元でやるとか、良いアイデアを出してきた所に任せるということをやればいいんじゃないかと思うんです。コンバージョンというのは、そういう話だと思っています。

 これは水晶橋、人道橋ですけれども、これも元々は可動堰だったものを橋に変えた歴史があって、朝と夕方は通勤に使っている人はいるのですが、今、近くにたくさん橋があるので、普段はあまり使われていません。そのためにホームレスの人たちでいっぱいになっていて、(実は僕、大阪で石の橋で一番好きな橋が水晶橋、ちなみに鉄の橋で一番好きなのが本町橋なんですけれども)、好きな橋が使われていないというのが悲しくて、NPO等で、欄干をバーに見立てて、年に一回イベント的なことをやっています。

 それは何もイベントがしたいわけではなくて、普段からそういう使い方をしていけばいいじゃないのという思いがあるんです。それを “警察としては認められない”“橋は橋だ”と言われても、それはそれでいいし、勝手に皆やればいいと思っているんです。別に橋の上で酒を飲んでも誰も注意されないわけですから。だから利用者のほうも、もっとコンバージョンを、知恵を使ってやっていけばいいのかなと思っています。


●高速道路と川のコンバージョン

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 これは東横堀川で、大阪で一番古い堀です。堀をつくって、高速道路をかけたわけですが、高速道路をかけたのも、ある意味転用だと思っています。長堀や京橋堀などは埋めて道路に転用したわけですが、ここはまだ埋めたてていない。東京で言えば日本橋川などは、また転用しようとしています。

 東横堀川も次に何にするのかという話です。高速道路は昭和40年くらいですからもう45年くらいになろうとしています。高速道路など壊れないと思っていたのが、震災で壊れました。山陽新幹線のトンネルの壁も落ちてきました。これもいずれ補強ではダメな時が来ると思います。その時に、「また高速道路をつくりましょう」ではなくて、皆で話し合ったらいいのではないかと思っています。

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 もう一回高速道路をつくるのか、それともソウルのようにとってしまうのか。それとも高速道路の上で自転車で走れるようにしてしまうのか、ジョギングできるようにするのか…。当たり前に阪神高速の架け替えの話は出てくるとは思いますが「いや、ちょっと待って」くらいは言いたいなと思っています。結果そうなるかもしれませんが、まずどうするか、話し合いたいと思っています。

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 僕が子どもの時、川には材木が浮かんでいたり、当時もトラックで運んでいたのもありましたが、船で運んでいたのもあったんです。川は産業で使っていたのですが、今はほとんど産業では使われていません。水上バス等、観光で使うという話も出てきているし、都市の河川はもっと何に使えるか、真剣に議論したほうがいいと思います。

 船の係留所としての使い方もあるでしょうし、この間、僕が提案したのは、プールを浮かべるとか、砂利船で砂を運んでいますが、あれをそのまま置いて、夏場はそれをビーチにしてしまうとか。パリのセーヌ川などはわざわざ砂を運んできて、ものすごいお金をかけてやっていますが、そこまでしなくても、砂利船が普段から運んでいるのですから、それをそのまま置いておくだけでビーチができるわけです。そういうことも含めて、川の使い方を考えたいなと思っています。

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