世界の転用のトレンドとして、城や近代建築、長屋や町家等を商業施設やホテルに変えるといったものがありますし、ガスタンクは集合住宅になり、発電所は美術館になっています。 犬島では精錬所が美術館になっていて、この間行ってみて、もうドキドキしました。初日に直島で安藤忠雄さんが設計した美術館を見て「おお、すごいな」と思って、自分の中の興奮度が上ったところへ、次の日に犬島に行って精錬所跡の美術館を見たら、新築より転用の方が、断然ドキドキしたんです。そっちの方がこういう設計をやっている私でもドキドキするなあと思いました。 また話題になるのは転用ばかりではないかとも思っているんです。犬島の精錬所の転用は、三ヶ月ほど前の新建築の表紙になっていましたが、そういう転用が時代を代表する建築雑誌の表紙になる時代になってきている、喜ばしいことだと思っています。
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転用は人間の知恵です。転用は地域を映す。歴史を継承できるわけです。スクラップアンドビルドならば何も残らないわけで、転用していくと、やはり継承していって、自分の住んでいた街に愛着も出てくると思うんです。さらに早くできる。コンバージョンの可能性としてはそういうところにあるのではないかと思います。
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