おおざっぱに言うと、地理学・社会学・文化人類学の学問分野の観光論から出発した部分と、経営学(マネージメント等、観光事業に直結するもの)・経済学(観光統計)から出発して観光事業を理論化したものの二つの流れがあります。
観光現象、観光事業そのものはこの数十年で大幅に変化しました。それを理論化、体系化しようというのが観光学の目標です。しかし、そういった理論化で観光を解明できるのかということが、我われにとっては大きな問題です。
また、観光学が観光産業とどのように連動しているかという問題もあります。もちろん観光産業に即して観光学が進むという部分もあり、観光学が観光産業にどのように貢献しているかという問題もあります。
一方、都市計画や景観、環境デザインという分野は、地域開発に実学として対応してきました。特に戦後の日本においては、地域開発が観光産業にも貢献してきたと言えるのではないかと思っています。
ちなみに、日本観光研究学会では今年の5月に総会が開かれました。その時のシンポジウムのテーマが「観光研究フロンティア」というものでした。この時は、地理学、社会学、文化人類学、自然生態学の分野からパネラーをお招きしてディスカッションしたのですが、共通したテーマがなかなか出てきません。それぞれの分野から見た観光というものを紹介するにとどまったのではないかと思っています。
0 観光学と観光産業
観光学と言われているものは、欧米ではかなり研究が進んでいますが、日本では観光学と呼べるものが存在するのかどうかといった段階です。
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