人間、社会文化、経済、自然という人間を取り巻く環境の中で、まず旅行者が発生する地域があり、彼らが目的とする地域があります。それが観光地であり、旅行者は観光客となるわけです。その二つの地域の間を運送ルートが結び、出発→観光目的地→戻るという行為が観光となります。
この一連の動きの間にあるのが、旅行・観光産業と位置づけられるのですが、旅行会社は実際は旅行者が出発する地域をメインの地域として活動しております。交通機関はその二つの地域を結び、宿泊やテーマパーク、レストランなどは観光地の方に属する産業です。
では、こういった現象をなぜ観光学として社会学や地理学、文化人類学などの社会科学を総動員して論じなければならないかと言いますと、2つの地点を結ぶという図のシンプルさだけではない複雑な現象が生じているからです。それもまた観光の研究の面白さではないかと考えております。また、観光は社会文化や経済といった環境の影響を受けやすいものです。景気が悪くなれば観光はしぼみます。そういった変動の大きいものでもあります。
1 基本的な観光システム
まず、観光現象を理解するのには基本的な観光システムを理解していくのが基本的なスタートだと考えます。ここに出したのは、N. Leiperという観光学者(もともとは経営学から出発した人らしいです)が作った観光システムの図です。見てお分かりのように、とてもシンプルな図です。
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