着地型観光とまちづくり
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2 着地型観光とは

 

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 まず、着地、発地という言葉について説明しておきます。

 発地とは旅行者が出発する地域のことで、たいていは都市部のことを意味しますす。旅行会社はたいてい発地に存在するものですから、そこから出発するツアーを作っては観光地に送客するのが旅行産業です。ですからわざわざ「発地型観光」という呼び方をすることはありませんでした。パッケージツアー、団体旅行にかかわらず、発地から着地に行ってまた戻ってくるというビジネスでした。

 「着地型観光」については、旅行業界では一部で使われていた言葉でした。例えば、北海道周遊が目的の旅行なら、札幌を発着場所にしてそこからバスを仕立てて周遊するツアーのことを着地型ツアーと呼んでいました。つまり、目的地に客が集合・解散するツアータイプを着地型と呼んでいました。ですから、数年前から着地型観光が言われ始めた時、わりあい抵抗なく理解できたのは、旅行業界の出身の人たちではなかったかと思います。

 ですから、発地型は従来の旅行業である送客型ビジネスであり、旅行先は日本全国あるいは世界が送客の対象になります。一方、着地型は集客型ビジネスと言いましょうか、お客を日本中あるいは世界から集めることがビジネスになります。

 着地型の特徴としては、次のようなことがあげられます。

 (1)着地側で旅行商品をプロデュースする。したがって、

 (2)現地集合、現地解散が基本の形になります。

 (3)マスツーリズムの時代は、団体型の旅行が主体で、極端に言うと名所旧跡めぐりか宴会が目的の観光か、視察や研修が目的の観光の二つが主流でした。しかし、着地型は地域がプロデュースしますので、体験・交流・学習が目的になることが多いのです。つまり、発地型では作れない観光商品が主流になっております。

 (4)これが一番重要なポイントですが、住民が参加しているのが着地型の特徴です。いろんな着地型観光の主体がございますが、地域のNPOやコンソーシアム、観光協会などが協力しています。特に多いのがボランティアガイドです。マスツーリズムの時代はバス会社のガイドさんがどこでもガイドしてくれました。いわばプロのガイドさんでしたが、着地型観光のボランティアガイドさんは、そこに住んでいる人が務めます。

 (5)これは着地型観光が飛躍的に増えた一番の要因と言っていいのですが、インターネットによって着地からのダイレクトな情報発信が可能になったことです。集客型ビジネスですから、日本あるいは世界からの集客が可能な道が開けることが前提条件でした。

 (6)着地型観光が開いた道のひとつに、今まで観光地向けではないと思われていた地域が観光の目的地になるようになったことがあげられます。

 今まで発地の旅行会社が取り上げなかった地域、知名度の低いところも観光の対象となりました。もちろん、これには現在の地域が抱えるいろんな問題が絡んでいるのですが。

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