しかし、1980年頃から、もう従来の観光スタイルでは今時の客は満足しないということは、はっきり分かっています。自然の素晴らしさをただ楽しむのではなく、自然環境を守ったり改善するために行動する、あるいは地域のまちづくりのために貢献する、そういったことも観光だと言われだしました。
着地型観光もそれに対応した内容展開になっていますので、なかなか儲かりません。しかし地域から参加した人の満足感、観光客の満足感も大きいので、観光客がリピーターになることも多く、一つの町に一年に何回も行くということにつながっています。ただ、客の満足度と経済は比例しませんから、儲かるかというと、話は別でしょう。
しかし、これも旅行システムを構築している大手の旅行社と組めば、かなりの確率で儲かることでしょう。もちろん大儲けは期待できませんが、観光地でサービスする程度の、いわゆる賃加工的なものは儲かる可能性が高いです。それ以上は難しい。
残念ながらここで時間切れとなりました。雑駁な話でございましたが、私も着地型観光について考え始めたところですので、また今後研究を重ね、このような場所でまちづくりとの関係について発表できればいいなと思っています。
以上です。
6 着地型観光は儲かるか
●利益よりも理念
「着地型観光は儲かるか」、その点について話してほしいと事務局から言われましたが、はっきり言いますと、着地型観光はなかなか儲からないものです。なぜかと言うと、再々申し上げているように、利益ではなく、理想を追求していくスタイルだからです。
●時間をかけて旅行全体を扱える人材を育てるべし
それ以上にやろうとすると、着地までの交通も含めて旅行全体をコーディネートすることも含めてやれる能力を身につけないとダメです。つまり、その能力を身につけた人材が地域に必要になってきます。そういう人を育てようと思ったら、5〜10年かかります。ですから、儲かるためにはかなり長期的な展望が必要ということです。
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