集客都市・大阪の展望
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「大阪ミュージアム構想」の推進戦略

 

 次に、大阪府が行っております「大阪ミュージアム構想」の推進戦略について紹介いたします。私は企画委員会の委員長という役割で関わっております。


●町の魅力の再認識で高まる愛着

 まず街の「空気感」をどうして出していくか。知事は富田林の寺内町とか千早赤阪村の棚田、中央公会堂のライトアップの光景なんかが綺麗だとおっしゃっています。これからは橋のライトアップもやっていきたいと考えているところです。

 私たちは、地域の魅力づくりに関わる府民運動を考えております。それによって結果的に魅力的な場所が次々に出来れば、地域間の交流が拡大し、観光集客にもつながっていくだろう。また地域の人たちの愛着も高まります。


●住民の発掘した魅力を磨き飛躍させる行政と公共の役割

 主体としては各地域の人たちが地域の魅力を発掘し、再発見していくということを基本に考えています。それを磨き、飛躍させていくのが公共の役割であろうと思います。加えて、これらを結びつけて情報発信していくことが大事だと考えています。関連して「石畳と淡い街灯のまちづくり」への支援策があります。

 ミュージアムに大阪の魅力ある資源の登録を考えています。これは、それぞれの自治体が「ここが我が町の誇りだ、魅力だ」と考えておられるところをホームページで紹介していくもので、現在700以上集まっています。そのなかから、各年次ごとに一つの地域をピックアップしてアピールすることを考えています。こういうことも役所の人間が考えると「大阪府をまんべんなく紹介しなくては」という発想になりがちですが、次年度は南河内を全国に向けてアピールしようと進めています。具体的な方法論については、ちょうど議論している最中ですが、知事の表現を借りれば、たとえば富田林を岐阜・高山に匹敵するような魅力ある街にしようという目標設定が重要になります。

 続いて大切なのは地域の人たちのネットワーク作りです。たとえば大阪検定と連動したミュージアムの学芸員といったものに登録していただいて、そういう人たちがコンベンションにどんどん出てきたり、いろんなツアーを企画したりするようにできないかと考えています。

 たとえば南河内はどうも行ってみたくなる魅力的なイメージがわきにくい土地柄のように思われているんですね。一昔前のイメージだとマンガ『嗚呼花の応援団』、コミックソング『河内のおっさんの歌』、もっと昔なら『悪名』とか、河内はあるイメージに偏っているんです。そんなイメージを払拭して、歴史や文化の豊かな南河内の景観と魅力をアピールするのが目的です。河内ワインとか富田林の寺内町などの魅力的なもの、場所をもっと前面に出して、南河内のブランディングを進めていきたいと思っております。


●大阪ミュージアム構想のホームページ

 みなさまにぜひ見ていただきたいのが、リニューアルした大阪ミュージアムのホームページです。行政のホームページはろくなもんがないと、去年からさんざん言ってようやく変えることができました。

http://www.osaka-museum.jp/index.php

ホームページデザインを根本的に変えた高槻市
 高槻市が何年か前にホームページのデザインを根本的に変えたことで話題になったことがあります。実験的な試みだったそうですが、自治体ホームページコンテストでのグランプリを目標にされたのだそうです。なかなか面白い試みもしていたようで、違法駐輪で没収した自転車の競売をホームページ上でやり始めたのもここが最初です。後から国も同じようなことを始めましたが。高槻の場合、某部長が「よその行政のホームページと比べても意味がない。ブランド企業のホームページを参考にしたい」とおっしゃっていたのが印象に残っています。シャネルかルイ・ヴィトンだかのホームページを見て、行政が取り入れられるものがないか参考にしたいという話をしておられました。

http://www.city.takatsuki.osaka.jp/

 こういう話を大阪ミュージアムの担当者にも話しました。今回のリニューアルでどこまで魅力的に作れたかという点については何とも言えないところがございますが、大阪府のホームページとしては画期的に良くなったことは間違いないでしょう。

全体がミュージアムというコンセプト
 ホームページ上でも全体がミュージアムだというコンセプトで、展示室・ギャラリー・特別展示室という構成にしてあります。ホームページ上では、建物や自然、芸能・祭りといったテーマごとに各市町村の風景が出てきます。ゆくゆくは、ミュージアムショップや学芸員の方のコーナーを作りたいと思っています。ですから、ここではバーチャルに大阪全体がミュージアムであるという形を作ろうとしています。

 地元メディアでも、ホームページをリニューアルした時にだいぶ取り上げてもらったのですが、テレビはアカンですね。テレビが一番面白がって取り上げたのが、『ホームレス中学生』で話題になったまきふん公園や東大阪の「ホワイトハウス」とか。大阪ミュージアムといいながら、従来のままの大阪イメージをなぞるのではないかという批判も受けています。ただ、そういうところから入ってもらっても、あとで歴史的資産や魅力ある都市景観が大事だということが分かってもらえればいいというのが知事の真意です。

気軽に参加できるホームページへ
 また、各地域の年間のイベントカレンダーも見られるようになっています。知事がまめにあちこちに足を運んでおりまして、自分の目で地域の歴史・文化を見ている光景も映像としてアップしております。また、ちょっとベタな試みではございますが、知事がこのミュージアムの館長という立場で「知事のクイズ室」というコーナーもあります。今後は人気投票を行って、「ベストセレクション」を発表いたしますので、それにも投票いただいて大阪の素晴らしい風景を選定していただけたらと思います。


●石畳と淡い街灯のまちづくり事業

 大阪府では、「石畳と淡い街灯のまちづくり」事業を、今年度は2箇所の予定、次年度は3箇所の予定で進めていきます。次年度の地域選定については、新年度早々に公募に入りたいと思っております。1地区2億円の交付金を魅力的な地域づくりに活かしてもらうという施策です。地元には50%の負担がありますが、国の「まちづくり交付金」などを組み立てながら予算を作って事業を展開する予定です。

http://www.pref.osaka.jp/fumin/doc/houdou_siryou1_20648.pdf

 私もそのための勉強が十分できておらず、こうした枠組みを都道府県レベルで独自に展開することが前例としてあるのかどうか分からないのですが、歴史や文化を活かしたまちづくりのための交付金を新たに大阪府が創設した意義はあるのではないかと思っています。今年度は、富田林の寺内町、枚方の宿場周辺が選定されました。

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