大津の町家・まちなか〜市民によるまちづくり活動
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大津市市民活動センターの取り組み

 

■市民参加推進研究会の提言

 これは私の中では、地元民である「土の人」としての取り組みになります。これからは市民自治の時代だとか市民と行政との協力が大事だ、市民まちづくりの時代だとか言われて、NPO活動も盛んになってきてはいますが、それを展開していくためにはもっと市民の意識改革をやっていかないとダメだろうと思っています。一部の人たちだけが頑張っても息切れしてしまうだろうし、市民全体がまちづくりを考えられるような流れを作っていかないと「市民まちづくり」は展開できないだろうと思っていました。そのために、まちづくりの拠点となるようなセンターが必要だろうということで、この取り組みを続けてきました。平成13年(2001.7)に大津市が「市民参加推進研究会」という組織を作りましたが、その時以来、私もこの取り組みに関わってきています。

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京都新聞2003年4月5日 市民活動センターの開設を考える会2004年3月28日
 
 この市民参加推進研究会は立命館大学の乾先生が座長だったのですが、当時の山田市長に支援施策の充実を求めるための提言書を提出したり(写真左、写真左端が私です)、市民活動センターの開設を考えるフォーラムを開催(写真右)したりなどの運動を展開致しました。


■市民活動センターの開設を考える会の働きかけ

 ここで裏事情をちょっとお話ししますと、大津は従来の自治会、自治連合会といった地縁型の組織がとても強い土地柄で、新しい運動体である市民活動やNPOに対して拒否反応を示すようなところがありました。ですから、提言書を市長に提出しても、回りの幹部の対応を見ていると、きっとこの提言書はほこりをかぶったままになるなあという感じでした。そんなことから、「市民活動センターの開設を考える会」を作って市民の側から声を出していこうと考えたんです。

 今まで自治会で頑張ってきたけれども、これからはテーマ型、NPO型の市民活動も一緒に進めていかないと、これからの地域経営は成り立たないという視点での取り組みをしていくことにしました。フォーラムを開催して、市民から大津市にその問題を投げかけていったという経緯があります。大津市で先進的だと言われていた職員の方からも「なんでセンターが必要なんだ?自治会があるからそれでいいじゃないか」と言われたりしました。もちろん僕は自治会を否定する気持ちはないけれど、それだけではこれからの時代を乗り越えていけないだろうということを分かってもらいたかったのですが、まあ対応は厳しかったですね。時にはけんか腰で市と話し合いをしたこともあります。


■中心部の商業ビルからのテナントの撤退がきっかけに

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朝日新聞2004年4月8日 市民活動団体顔見交流会2005年2月11日
 
 その後、毎日新聞さんがこの活動を記事にしてくれたり(写真左)市の担当者の頑張りもあって、2006年4月に市民活動センターがオープンしました。大津市はここ3年ぐらいで「市民協働」ということを言い始めました。市民活動センターが出来たのも、その流れの中にあると思うのです。市民活動センターがラッキーだったのは、浜大津の市街地再開発ビルに入っていたテナントが全部撤退して、あそこを公共公益施設にしようという話の中で、健康系や子ども系の施設とともに、我われの市民活動センターも入ることができたんですね。そういう機会に恵まれていたと思います。

 市民活動センターを作る前には、「市民活動交流サロン」の運営実験をいたしました(写真右)。そういう実績を積んでいくうちに、大津市の考え方もだいぶ流れが変わってきて、3年前にセンターオープンにこぎ着けることができたというわけです。2006年にセンターの指定管理者を公募し、「NPO法人おおつ市民協働ネット」が指定管理者として指定を受け、現在2期目の管理運営をしております。


■市民活動センターの目的と機能

 市民活動センターの目的と機能は、基本的には市民活動の支援をする中間支援施設という位置づけです。具体的には、各種情報の提供やNPO団体同士の交流の場を作るなどをやっています。なかなか思うようには進まないという現実はありますが、まだやり始めたばかりというところです。

 今は「市民まちづくり」と堂々と言えるためには、社会への気持ちづくりが大事だろうと思っています。自分勝手な個人主義から抜けだし、まちや社会のために半歩前進することが市民まちづくりの基本であろうと思うし、そのための最初の一歩を後押しするような場が市民活動センターであって欲しいと思います。ここでの活動を通じて、市民の意識改革を進めていきたいと私は考えています。

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