大津の町家・まちなか〜市民によるまちづくり活動
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

市民まちづくりの課題と可能性

 

■百町館の効果

 私が取り組んできた活動についてお話をしてきましたが、最後にまとめ的に大津市における市民まちづくりの課題と可能性について検討していきたいと思います。

 まず、百町館をオープンしたことによる活動の変化について整理すると、次のようにまとめられます。

 (1)活動内容が定期的・計画的になり、活動内容が飛躍的に拡大しました。それまでは特定の場所がなかったので活動自体がなんだかうごめくという状況でしたが、百町館を拠点として使えるようになりましたので、会合やイベントを定期的に開くのがとてもやりやすくなりました。また、年に1回の博覧会開催など、活動内容も多彩になりました。

 (2)百町館を拠点にネットワークを形成できました。よその団体と一緒にイベントをやったりすることも含めて、ネットワークが広がりました。

 (3)活動が「町家」に加え、「まちなか」に拡大しました。今までは「町家」だけに的を絞って活動してきましたが、人の出入りが多彩になってくると、それを通じて「町家を考える会」から大津の町自体を考える会に対象が拡大したわけで、町家だけでなくまちなかも対象にして活動をするようになりました。私自身はどちらかというと、もともとまちなかの方に関心があったので、これは嬉しいことでした。

 (4)活動内容が見えやすくなり、会員が増加しました。「大津の町家を考える会」と名乗ると、市民の方から「ああ、百町館でやっている人たちですね」と反応が返ってくるようになって、一般の方々にとってはとても分かりやすい存在になったようです。

 こうした活動を通じて、大津における町家の存在をクローズアップできたのは評価できることだろうと思っています。特に、会長の青山さんの活動はとても大きいものがありました。ただ、百町館がオープンしてから6年ぐらい経っていますから、今はちょっと活動が停滞しがちだということがなきにしもあらずというところです。


■百町館が残した課題

 次に、どういうことが課題としてあげられるかをまとめます。

(1)町家の保全や町並み形成への具体的な取り組み・戦略
 先ほど述べましたように、我われはイベントは頑張ってやってきましたが、イベントの先には何があるのかを考えるべきでしょう。もちろん、イベントを通じて町家の存在をPRできた面もあるのですが、それで具体的な町家の保全とか再生、活用が進んだかというと、やはりクエスチョンなところもあります。もう少し町家の保全や再生についての取り組みがあるべきなのかもしれませんが、それは議論のあるところでしょう。

(2)地元自治会、商店街との連携
 先ほど、我われの活動は地元にとって「落下傘で降りてきたような」ものだったと言いましたが、やはり地元自治会や商店街との連携があまりうまくいっていないことが課題としてあげられます。お祭りのときなどは一緒にやるのですが、なんかもうひとつ、一緒になって何かをやるという所まではいっていないなあという感じです。

 これは我われだけの問題ではなく、テーマ型NPOと地縁型組織との連携という市民活動にとっては大きなテーマの課題だろうと思います。町家の会にとってもこれがひとつの課題になっていると思います。

(3)行政との協働
 我われとしては行政がもっとこちらに目を向けて欲しいと思うところですが、行政との協働は十分にできなかったと言えるでしょう。まあ、我われから行政に働きかける動きも弱かったということもあるのかもしれません。これは反省も含めて言えることですが。市民活動団体と行政との協働はこれからの時代、必要不可欠になってくると思うのですが、これからどうやってその関係を築いていくかは大きな課題です。

(4)市民意識の改革
 これは市民活動センターの活動を通じてやっていこうとしているところですが、これもまだまだこれからということになろうかと思います。

(5)まちづくり専門家の「土の人」としての役割・限界・可能性
 つまりコンサルタントという立場だったら割り切ってやれることも、地元の人間としてだったらどうか。地元の人間として専門家の能力をどう活かしていくかが、私にとっては大きな課題です。例えば、まちづくりの専門家として戦略を考えるのはその役割だろうと思うのですが、私自身について言うとあまりできてないのですね。地元の人間としてはあくまでボランティアで活動しているわけですから、仕事感覚でどっぷりつかれないということがあります。

 この問題を突き詰めていくと、市民活動団体のミッションや活動目標は何かということに突き当たるのかなあという気がします。「町家を考える会」でもよく出る話題なのですが、「そんなに無理して活動する必要はない。身の丈にあった活動をやれる範囲で」という意見がある一方、「いや、町家保全のためにはもっと積極的に取り組むべきだ、責任ある事業主体としてやっていくべき」という意見もある。市民活動団体のミッションや目標の課題は、このあたりに集約されてきそうだという風に思っています。

 以上で、私の報告を終わりたいと思います。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ