景観まちづくりの今
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何を景観として見ているのか

 

 では、景観と言うとき、我われは何を見ているのでしょうか。

 構成要素の集合体としての空間や環境を景観の対象とするときに、我われは「都市の風景」とか「街の風景」と言いますが、一体都市の風景、街の風景とは何なのか。当たり前のように、我われは都市風景と口にしますが、具体的には何を指しているのでしょうか。

 複数の要素が構成している空間・場所の風景のことを、道の風景、広場の風景、眺望と言うこともあれば、住宅地や開発地の風景、あるいは地形が見えるなど、いろんな言い方をしますが、その対象は、確定できるものなのか。計画対象をどうやって決めているのでしょうか。それも気になっていました。

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 例えば、写真右はイタリアのシエナ、左はフィレンツェです。いずれも町はずれが見えて街の向こう側には緑が見えます。つまり、街の全体像を見る場所があって、おそらくお住まいの方々は、「ウチの街」と言うとき共有できるイメージがあると思うんです。「街の風景」「都市の風景」と言うときは、ある対象が限定的に想定できるのです。しかし、同じことが日本の都市ではどうでしょうか。

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 これは大阪の写真です。「大阪の街の風景」と言うとき、みなさんは何を想定するでしょうか。ほとんどの人は応えられないと思います。学生にも「大阪の風景ってどこのこと?」と聞くと、様々な答が返ってきます。優等生的な答では「大阪市、行政区域」と応えますし、ちょっと考える学生なら「駅前の風景、ミナミとかキタとか」と場所の名前を挙げることもあります。

 結局、街や都市の風景として想定されるものは、なんらかの形を持たないと決められないですし、それが多分計画の対象になっていくのだろうと思います。でも、どこまでも連担している市街地の中で、どうやって決めていくのかという疑問につながります。

 OBPのような開発地区だったら、わりとわかりやすいかもしれません。しかし通天閣から見たらあの風景は現代の中で何をデザインしているのだろうと思ってしまうのです。しかし、ひとつひとつの敷地にはいろんな基準がかかっていますし、建物にもいろんなルールがかけられています。OBPであれば地区計画も指定されています。だからといって、それらの規制が街の風景を作っているのかという点で、いつも悩んでいるのです。特に、OBPの手前にある開発地区ではない普通の街は、マンションやビルに次々と建て変わって変化しているのですが、そうした変化を見ると、街の風景とは何なのかと思っていました。

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