景観まちづくりの今
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景観法以降の取組み

 

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景観法公布後の取り組み
 
 平成16年6月に景観法が施行され、彦根市も景観法の活用を図るために景観行政団体になり、景観計画を策定しました。

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景観計画の区域
 
 景観計画の区域の対象は、市域全域の約9815ヘクタールです。彦根市の地域特性による方針、基準の規定を定めることにしました。また、地域を5つの景観形成地域と3つの景観ゾーンに分け、建築行為の規制を定めています。

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景観計画区域図
 
 景観計画区域図です。緑部分が山並み景観ゾーン、黄色が市街地景観ゾーン、黄緑が田園集落景観ゾーンの3つの景観ゾーンです。景観形成地域は、城下町、琵琶湖、街道沿道、芹川河川、国道305沿道の5つを指定しています。この景観形成地域の中では建築行為はすべて届け出の対象になると規定しております。

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城下町景観形成地域(地域・地区図)
 
 城下町景観形成地域では、以前の150ヘクタールの指定を拡大し約400ヘクタールを景観形成地域として指定しています。その中でも、その景観特性を出すために地区を5つに分けています。

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城下町景観形成地域(高さの基準)
 
 この地域で一番大きな特徴は高さ基準です。4つの高さ基準があります。緑色が高さ12m以下、橙色は15m以下、黄色は20m、駅前は30mと分けています。濃い色でラインが引かれている箇所は、伝統的な町家などが連続している町筋です。そういう場所では道路肩から10mまでは高さ10mで、勾配屋根にするという基準を設けています。

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城下町景観形成地域・眺望景観図、資料提供:滋賀県立大学、奥貫隆氏
 
 この高さ基準を定めた一つの根拠に、「眺望」があります。8箇所の眺望点を定めて調査しまして、その眺望点から4つの高さ基準を想定致しました。

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彦根市都市景観コントロール、天守閣眺望景観のシミュレーション
 
 景観のコントロールの一つに、彦根駅から彦根城を望んだ時にどんな眺望が開けるかということがありました。高さを今後20m以下にすると、右図の右のシミュレーションのような眺望になってくると思います。

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屋外広告物規制と天守閣眺望のシミュレーション
 
 屋外広告物についてもシミュレーションしてみました。高さがそろってなくても、屋外広告物をとってしまえば、彦根城天守が見通せ、城下町としての雰囲気が出てくるのではないかと思っています。

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天寧寺から見た天守閣への眺望景観シミュレーション(下は高さ規制に会わせて高さを30m程度とし彦根市東区画整理道路を緑化した場合)
 
 左の図の上は天寧寺から見た現在の眺望景観ですが、今は高さ60mのマンションが建ってしまっています。これを例えば30mに変えると、どう見えるかのシミュレーションをしてみました。高さを抑えることで、彦根山の稜線と彦根城が視界に開けてきて、眺望はかなり良くなるのではないかと思っています。

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景観条例施行後の事例
 
 左は平成19年6月の景観条例施行以降に建てられた住宅の事例です。景観計画の中では30%の緑化をしてくださいと規定していますので、敷地内の緑化も進められています。

 右は共同住宅、店舗の事例です。勾配屋根の門を前に持ってきたりなどの工夫で計画して頂いています。また、緑化駐車場を進めてもらっている共同住宅もあります。普通ならフラットにしてしまう屋根も勾配屋根にしてもらっています。

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彦根市歴史的風致維持向上計画
 
 2008年5月に歴まち法が公布され、彦根市でもその法律に基づいて「彦根市歴史的風致維持向上計画」を定めました。彦根市の中でも特に歴史的風致維持という点では、やはり彦根城周辺だろうということで、この地区を維持向上計画の対象に定めました。計画としては10年計画で進める予定になっています。

 内容としては、大きくは七曲がりの仏壇街の歴史的な町並みや花菖蒲通りの修景、魚屋町の伝統的な町並みの修景をしていこうと予定しています。

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重点区域の位置および区域
 
 景観法の運用では市民が建築計画をするときの規制という面があり、「やって頂く」という感じだったのですが、この「維持向上計画」では彦根市が事業を行いながら市民と共に協働してまちづくりを進めていくという性格の計画になっています。景観計画にプラスしてこの歴まち法を活用しながら、彦根市の歴史的な景観まちづくりをこれからも進めていきたいと思っています。この先30年と年を経るうちに、彦根固有の街景観が生まれてくるのではないかと思っています。

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