私は建築の設計というまちづくりの末端で仕事をしておりますが、小浦先生がおっしゃった敷地が安定しないから空間が安定しないことについては、毎回ジレンマに陥るところです。事業規模が大きいほど、我われデザイナーは敷地を決めるマスタープランに関わる機会がないですし、敷地しか見てない建築家も悪いのでしょうが、システムがそうなってしまっていると思います。
先ほど、芦屋の例でアドバイザー会議のことを話されましたが、会議のメンバーはどういう構成になっていますか。我われのようなデザイナーもいると面白いなと思うのですが、どういう職種の方々が入っているのか、お聞かせください。
小浦:
敷地の話については、今ある市街地変化していくときと、あるエリアでの新たな土地利用転換のときでは、状況が違います。あるエリアを作り替えていくときは、必ずしも先に敷地が決まるのではなくて、どんな街にするかで敷地を決めていくことが可能であり、そこで建築家が配慮すべきだと思うんです。
以前に設計者から「早く敷地を決めてくれ」と言われて、そういうもんじゃないでしょう、どのようなまちを作るかを先に決めて、それから敷地を考えればいいと思っていたのですが、難しい問題だなと前々から思っています。ですから、高原さんのように敷地を考えたいという方がもっと増えれば、きっと街は良くなるんじゃないかと思います。
芦屋の景観アドバイザー会議は今5人です。都市計画関係の元コンサルが3人、設計2人という構成です。1人を除いて全員学校の先生ですが、みんな実務経験があります。
小浦先生が話された普通の街の景観はどうすれば良くなるかというテーマで、変化を前提に変化を調整する景観デザインというお考えは、目からウロコと言いますか、面白くうかがいました。
その事例の一つとして、芦屋の景観地区が7月からスタートというお話でしたが、そのポイントになるのがアドバイザー会議だと思います。その中で、基準協議ではなく方針協議を話し合うという所がうまいなあと感心いたしました。
そこで議論された内容が公表され、蓄積されていくと市民にも理解され、景観ガイドラインになっていくのは良いことだと思いましたが、そうするとガイドラインは景観アドバイザーの方々の価値観によって作られていくことになりますよね。地域の人たちとアドバイザーの方々の思いはどういう形でつながっていくのでしょうか。そのあたりの展望をお聞かせください。
小浦:
そこについては、まだこれからだと思っています。というのも、仕組み的にはそうはっきりとは出せていないんです。あれは私の希望的観測でもあって、市民への情報発信は私自身がその仕組みの中でやりたいと思っていることなんです。ですから、今後運用していく中で、どうやって市民に伝えていくかを考えています。ただ、今はまだ、行政的には動かすのが精一杯というところです。
私は、この仕組みが認定の拠り所となることより、どうやって市民に情報発信できるかの方に重要性を感じています。また、皆さんのご意見をうかがいながら工夫していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
アドバイザー会議について
■アドバイザー会議のメンバーは
高原(HTデザイン):
■アドバイザー会議と市民のつながりについて
岡本(アルパック):
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