川風と光でつなぐ |
もうひとつの手法として、トップライトは太陽光発電パネル入りのガラスを使っています。90%以上の熱を遮断してくれる高性能なガラスです。これを使うことで、レストランでも遮熱のためのルーバーやカーテンが不要になりました。熱負荷を軽減しながらトップライトを設ける環境的な手法です。
もちろん、デザインコンセプト的には雁木につないでいくという目的で、いくつかの条件を組み合わせながらデザインしています。エントランス部分はあえて遮熱をはずして、熱をためて下から来る風を上へ引っ張っていこうという工夫をしました。ただし、これを自動で行うだけの予算はなかったので、春秋は手動で開け閉めしてもらうよう、運用の方に十分システムをご理解いただき機能してもらえるようにして行きたいです。
また、環境的にはちょっとずつでもCO2の削減をやっていかないとダメだと僕は思っていますので、少しでも輸送にかかるCO2を減らすために大阪府産の杉を使うことを提案しました。残念ながら、大阪府の杉は外国産の杉より高価です。また、耐久性も外国産ですぐれているのがたくさんあります。それらの点を考慮して、外部はカナダのレッドシーダーを使い、内部の天井ルーバーに大阪府産を使いました。
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今まで話したシステムも、数字で押さえていかないと「絵に描いた餅じゃないか」と言われますので、シミュレーションを起こして数字的にこれだけの自然の風が入りますよという資料を示しています。事業主に取ってはコスト掛けて行うことなので、理解を得るには、こういうプロセスを踏んでデザインを実現して行く必要があります。
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トップライトの所も、同じように年間2万円の節電効果があります。という資料を用意しました。年2万円ですから金額的にはたいしたこともないのですが、遮熱効果と合わせて熱負荷の軽減などを説得材料にしました。たとえば「太陽光発電比較表」を作って、ロールスクリーンのブラインドを付けると600万円かかるけれども、このトップライトならそれが不必要で設備は10年で償却できますと説明しました。 いくら環境にいいシステムだからといっても、償却できないとビジネスとしては興味を示してもらえないので、こういう数字で事業主に理解を得るのも私たちデザイナーの役目だと考えています。
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結果的には実現できなかったのですが、屋上緑化もぜひやりたいことでした。 「和風の屋根に屋上緑化はないだろう!」とさんざん言われたのですが、僕が主張したのは日本の屋根は勾配屋根がほとんどですので、本当にこれから環境のことを考えるのならば勾配屋根で緑化ができないと日本の屋上緑化は普及しないのではないかということです。太陽光パネルは普及しつつありますが、屋上緑化は勾配屋根のことを考えないと普及は難しいと思うのです。 ですから、図のような屋上緑化も提案したのですが、「メンテナンスが難しい」「デザイン的に異和感」という理由で実現しませんでした。その時にも、たかだかこんな狭い面積の緑化メンテナンスができないのなら大阪の緑化は難しいのでは?といった議論を闘わせることもできて、有意義な議論ができたと思っています。 ですから、屋根の色については、銅板の緑青から始まって、緑化、チタンと議論があったのですが、結果としてこういういぶし色の耐候性を持ったガリバニウム鋼板になっています。
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