地方都市での「議論と合意」の景観まちづくり
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変わりゆくまちと問われる生活景

 

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 三重県の話に入る前に、東海地方で起きた景観紛争の例を紹介しておきます。この写真は、左が愛知県の犬山市、右が岐阜県の各務原市の間を流れる木曽川の光景です。ちょうど木曽川を挟んで、愛知県側と岐阜県側が境界になっているエリアです。ここには国宝指定されている犬山城がそびえ、その周辺は国定公園にも指定されています。岐阜県側からも大変眺めが良い所なんですが、数年前に各務原市側に犬山城と対峙するようにマンションが建ってしまいました。

 各務原市がそれに気づいたのは、犬山市からの問い合わせによってです。そこでこういうことは二度と起こしていけないということで、景観計画をつくることになりました。各務原市は東海地方では一番早く景観計画をつくることになったのですが、このマンション建設が反面教師になったということですね。

 このような事例は全国で起こっていて、枚挙に暇がないという状況ですが、もうひとつ静岡県の三島市の事例を紹介しておきます。

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富士山の稜線に合わせてマンションの形をカットさせる(出典:三島市)
 
 静岡県はご存知の通り、富士山が至るところから見え、富士山の眺望がそれぞれの地域を特徴づける景観となっています。ここで起きたマンション問題は、池の向こうにそびえる富士山を見ることが市民にとって生活の原風景だったんですけど、それを邪魔する形で池の向こうにマンションが建つことになってしまいました。実際問題として、マンション建設をストップすることは難しく、協議の末、富士山の稜線に合わせてマンションの形をカットさせるということになりました。

 この事例だけでなく、まさにタイトル通りの「変わりゆくまちと問われる生活景」の問題が全国的に起きていると推測できます。

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