■多彩なまちづくり活動の展開
この「河崎商人館」が出来て以降、河崎のまちづくりはかなり進んだのではないかと思います。今では伊勢河崎まちづくり衆の人たちが中心となって、いろんなまちづくりの活動を展開されています。
|
|
パンフレット
|
河崎かわら版
|
解説する、知らせる、記録する
まずは「解説する」という観点から、いろんなパンフレットを制作されました。また、「知らせる」という観点からは、河崎地区の住民およびまちづくり衆会員に向けて「河崎かわら版」というニュースを毎月発行しています。「記録する」という観点からは、先ほど紹介した長尾正男さんが河崎の貴重な映像を持っていらっしゃるので、それを整理して映像記録のデジタルアーカイブにしました。これは、DVD販売もしておりますが、まちづくりの専門家が来たときは買って頂いているようで、NPOの重要な収入源になっております。また絵はがきも販売していますが、これも人気があって、DVDと同じくNPO活動の貴重な収入源です。
|
|
新・蔵くら談義
|
展示する
|
話し合う
また、話し合うという観点から、年に1回は「蔵くら談義」と名付けたシンポジウムを行なっています。これからもまちづくりに関する話し合いをしていこうということで、必ず年1回は行うことになっています。
先ほどちらっと説明しましたが、まちづくりの応援に駆けつけたくれた専門家の中には京都大学の西山夘三先生の研究室のみなさんがおられます。先生方が河崎の調査をしてくださって、それが古い町並みを見直す大きなきっかけとなりました。商人館が開館した後も、当時の研究室の一員だった三村浩史先生が駆けつけてくださり、シンポジウムで河崎のまちづくりの講評をしていただきました。
展示する
「展示する」をメインに行っているのは、商人館の「河崎まちなみ館」です。ここには私の研究室も協力しまして、かつて反対運動型だったまちづくりが協働型に変わっていった変遷の様子とか、伊勢河崎の町のどういうところがユニークなのかを、来館された方に分かりやすくお伝えするためのパネル展示をしています。また、研究室でつくった商人館の模型もここに展示しています。
賑わう
|
|
河崎商人市ポスター
|
商人市の様子
|
河崎はもともとが商人の町ですから、「賑わう」という観点もはずせません。商人町をテーマに新しいまちづくりをやっていこうということで、新しく「河崎商人市」というイベントを企画しました。これは商人館とその周辺の地域を利用したイベントで、近郊の農家の方に協力してもらっていろんな収穫物を市に出してもらいました。また伊勢市内のお土産屋さんや企業にもこのイベントに協力してもらって、たくさん出店してもらいました。おかげで、多くの人が賑わうイベントとなりました。こうした賑わいも一つのイベントとして演出しています。
拡がる、復元する
|
|
伊勢二見地域観光交流づくり
|
伊勢船形復元木造船みずき
|
このまちづくりをもっと多くの地域にも広げようということで、「拡がる」という観点から考え出されたのが「伊勢二見地域観光交流づくり」です。
商人館のすぐ近くに、川の駅ができました。水運を活かしたまちづくりをテーマにしていますから、舟を使って交流できないかと考えたのですが、昔ながらの伊勢船を造れる大工はもうほとんどいないのです。探してみたら1人だけおられて、その大工さんが生きている間に伊勢船型を復元したいと、2005年に復元木造船「みずき」が出来上がりました。
この船は今、勢田川を定期的に運航しています。みずきという名前は、オリンピックの女子マラソンで金メダルを取った野口みずき選手が伊勢市出身だったことからその名前をいただきました。
結ばれる
|
|
船参宮の掘りお起しと再現
|
二見町茶屋地区(景観形成地区)
|
またこれ以外にも、水運を活かすということでは「伊勢神宮への船参宮の掘り起こしと再現」などをしています。
河崎のすぐ隣が、夫婦岩で有名な二見町です。ここと伊勢市が合併して、二見町も伊勢市になりましたので、夫婦岩の「結ばれる」というしめ縄にあやかって二見町の歴史的な町並み地区とも今は連携して活動をしています。
二見町にも茶屋地区に三階建ての木造の旅館が現存しており、今は伊勢市の景観計画の中でも重点地区として指定されています。合併したことで伊勢市の中には歴史的な町並みが増えたこともあって、それらが連携して賑わいのあるまちづくりとなるよう取り組んでいるところです。