環境プロダクトデザインの力
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街路灯・モールライトのデザイン開発事例

 

 ここからは、具体的な事例を紹介していきます。ここでは、街路灯、弊社の名前では「モールライト」を例に挙げて報告いたします。


■商品構成の紹介

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Luminascape(街路灯群)
 
商品のポジショニング
 こういう街路灯は都市部を意識した商品群の展開です。様々な用途空間や空間の特性に対して適切なスタイルを模索しています。

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昼のデザインと夜のあかりの最適な組合せの探求
 
昼のデザインと夜のあかりの最適な組合せの探求
 昼間のデザインは、ベーシックな形を基本にソフトなのかシャープなのか最適なテイストを検討していきます。夜のあかりは、落ち着き・安心・にぎわいの中から、想定した空間に最適な組合せを考えます。


■新商品のポジショニング

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今回のポジション
 
今回のポジション
 今回の商品は、それらの組合せの中でど真ん中のポジションに決めました。つまり、「安心」のあかりでスタイルはベーシックなものというデザインです。「昼のデザイン」と「夜のあかり」の最適な組合せ方として、昼間は周囲の景色に溶け込むフォルムにしようと、ベーシックなフォルムを狙いました。夜景の方は、「安心のあかり」を確立するために十分な照度が確保できる高い基本性能を目指しました。


■昼のデザイン・開発フローの紹介

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周囲に景色に溶け込むフォルム
 
周囲に景色に溶け込むフォルム
 まず昼間のデザインですが、この商品は市街地でも郊外でも広範囲に使えるものを考えています。また今回はLEDを使った商品開発をしています。

 今、街で一番良く見かけるのは水銀灯を光源にした「真球フォルム」の照明なのですが、その次の世代の照明となりうるLEDならではの「NEXT真球フォルム」を出そうという意気込みで、開発して参りました。

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背景の取り込み&究極の軽快さ
 
背景の取り込み&究極の軽快さ
 その具体的な策としては、「背景の取り込み」と「究極の軽快さ」を最終目標にいたしました。「背景の取り込み」では低ノイズフォルムの検討をいたしました。「究極の軽快さ」では、徹底した灯具のコンパクト化、つまりより小さく・より薄く・より細くを目指しました。

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背景の取り込み
 
背景の取り込み
 これについては、背景が抜けて見えるリング状のフォルムを採用いたしました。

デザイン検討
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デザイン検討
 
 一般的なラフスケッチから3DCGの検討を経て、頭部だけでなくポールのデザインを含めてさまざまな検討を重ねていきました。初期デザインでは、完全に背景が抜ける案以外にも、安全のための3本アームを付けた案、つまり背景があまり抜けない案なども出ています。

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ラフモデル検討
 
ラフモデル検討
 具体的にデザインが絞られてくると、このようにラフモデルを作って、屋外で確認をいたします。ここでは、自由な雰囲気でさまざまな感想を言い合いながら、デザインのポイントを詰めていきました。

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景観シミュレーション
 
景観シミュレーション
 さらには、想定される様々な背景の中でどのような見え方をするかを、CGを利用したシミュレーションで検討しています。

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詳細デザイン検討
 
詳細デザイン検討
 また、点灯時ではどんな発光部のイメージなのかも初期段階からCGで検証しています。

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モックアップモデル作成
 
モックアップモデル作成
 開発がある程度進んだ段階では、仕様の詳細を検討できるモックアップモデルの作成を進めていきます。現在は、最終の商品に近いようなアルミなどの金属を使ったモデルを作ったりしています。

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実際のモックアップモデル
 
実際のモックアップモデル
 実際に作ったモックアップモデルですが、初期段階ではこういった下面パネルが分割された案でした。

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詳細構造検討
 
詳細構造検討
 その後は、強度解析や温度解析など設計部門とのディティール検討を経まして、デザインの最後の詰めに入ります。

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2次デザインモデルの検討
 
2次デザインモデルの検討
 これはその後の2次デザインモデルです。ディティール再検討後に、再度プロポーションなどを確認します。

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究極の軽快さ
 
究極の軽快さ
 いろんな検討の結果、出来たのが器具径380mm幅38mmの一本アームタイプと長さ421mm幅34mmのリング状アームタイプです。灯具サイズだけでなく、アーム寸法もより小さく、より細くを目指しました。こういう形状で、なるべく背景へのノイズをなくしていくことにトライしています。

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より薄く
 
より薄く
 薄さにも挑戦していまして、左のポールヘッドタイプで厚さ40mm、右のアームタイプで厚さ35mmとして、従来の最も薄い器具に比べても半分以下の薄さを実現しています。

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軽快さと堅牢性の両立
 
軽快さと堅牢性の両立
 ここで問題になったのが、薄く細くなったのはいいのですが、それで堅牢性が保てるのかということです。そこで軽快さと堅牢さが両立できるよう、様々な試作検討をしています。一番弱いアーム部分はステンレスの金具で補強してあります。こういうことを経て、軽快さをなんとか実現しようとしました。結果、対風速は60m/s以上を実現しています。

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カンチレバータイプ
 
カンチレバータイプ
 こちらのタイプも支持部に対して荷重がかかるところが遠いので、見えにくい所にステンレス板を取り付けて補強しています。耐風速は同様に60m/sです。

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全体の姿
 
全体の姿
 今まではずっと頭部のアップを見て頂きましたが、全体プロポーション(高さ4.5m)はこんな感じです。従来器具に比べると、かなりコンパクトな灯具サイズになっています。ポール径は、一般的ポールで最も細い径の89.1mmを採用しています。

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従来品との比較
 
従来品との比較
 写真は、水銀灯を使用した従来品との比較です。灯具の大きさがかなり違うことが分かって頂けると思います。


■夜のあかり・開発フローの紹介

 今までは昼のデザインの開発プロセスを見て頂きました。次に夜のあかりに関するデザイン開発プロセスの紹介では、コンパクトさを目指し、しかもLEDを使って十分な照度をどのようにしたら確保できるか、そのプロセスを見て頂きます。

 最初にLEDは値段の割に暗いというイメージがありますので、それを払拭できる高い基本性能を実現した商品を開発したいという思いがありました。

 高い基本性能を実現するためには、空間に合わせた配光バリエーションを考えないといけません。そこで、広場・公園などひろいオープンスペース用の全周配光タイプと、通路や歩道を対象にしたワイド配光タイプに分けて考えることにしました。

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独自設計のコンパクトレンズによる光学制御
 
独自設計のコンパクトレンズによる光学制御
 全周配光タイプは、ポールの設置位置に対して全方向に光が広がる照度分布です。ワイド配光タイプは、通路に沿ってワイドに光を広げ、設置間隔を広げられるように考えました。

 これらは、独自設計のコンパクトレンズによって光学制御をしています。全周配光タイプは軸対象の光学レンズを使い、ワイド配光タイプは両サイドに光が飛ぶようなだ円形状の光学レンズを使った設計をそれぞれしています。器具内の配置は、高ワットタイプで、8灯入っています。

発光部の見え方検討
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発光部の見え方検討
 
 リング状の発光部ですっきり見せたいのですが、初期段階では下部パーツもアルミ素材を考えていたので、それではパネルをはめるための分割されたラインが出てしまいます。点灯時の、分割されたラインがせっかくのリング状の発光面の形を壊してしまって見苦しいという指摘もあり、それをなんとか解消するために、パーツ構成を見直すことにしました。

 検討を重ねた結果、上部パーツでアーム部分も全部一体で作り、下部は樹脂パーツのみにしました。強度が足りなければ金具で補強するということを追加することにより、発光部はリング状につなげることができました。それはコストダウンにもつながって、LEDでありながらコスト的にも従来器具と差がないような価格帯も実現できています。右の写真が最終の点灯イメージです。

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消費電力
 
消費電力
 あかりは電球色と白色の2タイプあるのですが、図上段の8灯タイプが消費電力約60ワットで、水銀灯200ワットと同等の照度が出ています。この消費電力を約半分の30ワットにした図下段の4灯タイプでは、水銀灯100ワットと同等の照度が出るようになっています。

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ネーミング
 
ネーミング
 商品展開をするにあたって、ネーミングをどうするかを考え、商品の外観イメージからこの商品は「ロンド」という名前を設定いたしました。

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カタログ訴求ポイント
 
カタログ訴求ポイント
 カタログでどういうふうに訴求するかも、初期の段階でCGを使いながら、ビジュアルイメージも含めて、みんなで検討していきました。

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実際のカタログ掲載画像
 
実際のカタログ掲載画像
 これが実際のカタログに掲載した画像です。

 以上で、街路灯/モールライトの紹介を終ります。

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