ここからは「にぎわい」を生みだす参加の仕組みをプロデュースしたプロジェクトです。地域のイベントやお祭り、観光振興や都市のにぎわい演出の時に使う道具立てです。 (2)「にぎわい」〜参加のしくみ(Temporary-Soft)
これは、1998年に長野県の小布施町で行った「長屋祭り」というイベントです。小布施町は晩年の葛飾北斎が何度も訪れた町として有名なのですが、それに由来した「国際北斎会議」という国際会議が催され、そのプレイベントとして計画されたのがこの長屋祭りです。 江戸の長屋街を一週間だけイメージ再現しようというコンセプトで、仮設の七軒長屋を造りました。その中で東京の墨田区の職人の方々に、いろいろ工芸品の実演販売をしていただきました。 この大きな幕は、高さ4m、幅25mほどあって、日本一の大のぼりと言われています。これは、長野出身の画家池田満寿夫さんがデザイン・制作した幕です。小布施町の資産として残っておりましたので、この幕もお祭りの演出装置として活用いたしました。
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木津川市は、その昔、聖武天皇がここに「恭仁京」という都を作りかけたという歴史があります。短命な都で今はその当時の礎石しか残ってないのですが、礎石から判断すると60mぐらいの高さの七重塔と、高さ25mぐらいの大極殿があったとされています。
そこで、このプロジェクトでは、ワークショップ型でそれらをイメージ再現しようという提案をし、地元の恭仁小学校の生徒さんたちに参加してもらって、段ボールで実物の10分の1サイズの七重塔と大極殿を組み立てることにしました。
実はこれは授業2コマ分の90分で組み立てることという条件があり、かなり苦労したのですが、一部大人の手も借りながらなんとか90分内に立ち上げることができました。
右下に見える赤い柱は、高さ6mほどあって、昔の大極殿の柱1本を原寸大で作りました。10分の1のモデルとリアルサイズの柱を並べて、そのスケール感を楽しむ形でワークショップを行いました。
イベントを行うときあかりの持つ力はとても大きいものがあり、集客力があると同時に印象深いイベントになります。これは、2005年に大阪城西の丸庭園で行った「秋の夕べ」というイベントです。 この時は、演出装置として琵琶湖のヨシを3千本ほど使いました。また、周辺のお寺にもそういう形で演出をいたしました。これは、まちなかににぎわいを作るというコンセプトで、大阪市さんが企画されたイベントです。
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光の感謝祭・三重県鳥羽市これは昨年2008年末に行ったプロジェクトで、これも地方の元気再生事業のイベントです。私たちは元気再生事業はいろいろやらせていただいているのですが、今度の政権交代でこの事業がなくなると聞いて残念な気がします。ここでは、真珠王として知られる御木本幸吉さんの生誕百年を記念して御木本幸吉語録を絵巻にしたものと真珠をイメージした直径1.5mぐらいのあかり(気象観測用の風船に下からLEDの光を当てて色が変化するのを楽しむもので、真珠行灯と呼んでいました)をデザインしました。 また、一週間の期間限定で海鮮レストランが地元の漁協さんにより開かれました。これはかなりの集客でした。この仮設のレストラン置き基礎式で、海水を入れた水バケツを置いておもりにしました。イベント終了後の廃棄物をできるだけなくすために、リサイクルできる紙管と目の前にある海水を利用するといった工夫をしました。
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■にぎわいコンペ〜道頓堀川人道橋デザインコンペ
次に紹介するのは、にぎわいコンペと題した「道頓堀川人道橋デザインコンペ」に参加した時のプロジェクトです。
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これは2005年に行われた橋のデザインコンペです。このコンペの特徴として橋の上に250m2相当のにぎわいスペースを設けることが条件となっていることが挙げられます。道頓堀川を挟んで、北側(南堀江)とリバープレイスを結ぶ歩行者専用の橋です。
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これが我われの案です。三井共同建設コンサルタントさん、パナソニック電工さん、創造工房ダビンチさんと共同で「祝祭とあかり研究会」としてコンペに参加いたしました。
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我われが考えたにぎわいスペースは、橋の中央に円形のスペースを設けたものです。コンペの条件をダイレクトに受け止め、芝生によるにぎわい広場をデザインした片持ちの吊り橋です。このようなパースイメージになります。
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「この橋が最も美しく見えるときを表現せよ」というコンペの条件がありました。そのために描いたのがこの図です。これはリバープレイスの大階段から屋外ステージとなったにぎわいスペースを見ているというコンセプトで考えました。
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これは最終審査で最優秀案2案に残り、最終審査用に作ったCG資料です。
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こういうモデルも作りました。これは、にぎわいスペースの所にいろんな仮設のテントやブースがあるというモデルです。
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最終的には我われは残念ながら実施案の選にもれ、先日完成した「浮き庭橋」(後日命名)の案がこのコンペを制しました。 この写真は先日の「水都大阪」の最終日に撮ったものですが、この橋の袂をステージにしてかなりの集客でにぎわっておりました。きれいな橋で、この橋があるとないのとでは、場の雰囲気がガラッと変わります。橋のない時期からいろいろ調査には行っていましたが、ここにかなり濃密なたまり空間が出来たのではないかと思います。 今の段階では、橋そのものを渡っている人はまだ少なくて、にぎわいスペースとしてはまだ活用できてないようでしたが、今後南堀江側がにぎわってくると、そこからの動線が延びて活性化に結びつくのではないかと期待しています。
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今までのプロジェクトとはちょっと毛色が違うのですが、「遊ぶ」をキーワードに「スポーツ遊具ユニビークル」という乗り物を自主研究で進めております。これは、もともとは下肢障害者のための新しいスポーツ用具を考えようということで始まったプロジェクトです。こういった「座って乗るスケボー」のような乗り物の開発をやっています。いろんなタイプのデザインがあります。
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この遊び道具を使って、いろいろと試乗会をやっています。過去に50回ぐらいやりました。基本的には屋内で楽しむ道具なんですけども、写真のように地域のイベントでは屋外に仮設の試乗スペースを作って楽しんでもらうこともあります。写真は、京都市内の姉小路通りで開かれた地蔵盆のときの試乗会です。これは乗り物というプロダクトなのですが、こういう形でまちづくりのツールとしても活用できると思っています。
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