(4)「景観」〜調和の計画(Permanent-Soft)
「みち」というとかなりの部分が土木の分野になってくるのですが、その中でも工作物と言われる部分は環境プロダクトの分野です。サインや防護柵、照明器具などがあります。
京のみちデザイン指針では、まず京都らしい上質のものを作ろうという目標がありました。そこで、景観を図として考えるとみちはその上質な背景(地)であるべきだという考え方のもとで、一貫した基調を持ったデザインの中で各ブロックごとに地域の特性を出そうということになりました。そうすることで、図である景観を引き立てるというコンセプトで計画を進めています。
これは京都市の歩道パターンを調査したものです。一つのマス目は1m角の歩道パターンをサンプリングしたもので、横軸に有彩色−無彩色、縦軸に柄物−無地というふうに分類しました。そうすると、柄のコントラストのきついものや、色目のきついもの、それらが組み合わさった柄と色が主張しすぎたデザインの舗装も多く見られ、それらは京都らしい景観にはマッチしていないと判断し、今回は無彩色と自然色を京都のみちの基本色として計画を進めております。
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これも自主研究でやっているものですが、「軒下景観整備」というものを提案しています。京都の景観はかなり厳しい状態になっておりまして、ある意味もう手遅れかもしれないのですが、それをなんとかしたいと考えています。
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昔の町並みのイメージです。低層で木造、軒のシルエットが連なっていて、自然の素材を使ったファサードや植込などの自然も豊富な景観で、空もひろびろと見えます。誰もが思う京都らしい原風景とはこういうものではなかったかと思います。
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現在の町並み(同じ場所のイメージ)は、一部昔の建物が同じように残ってはいますが、目を引くのはマンション、ビルなどの大きな建物だったり、駐車場となって町並みが歯抜けのようになった風景です。無機質な素材に囲まれているのが現状だと思います。
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現在の風景から京都らしさを取り戻すためにはどうしたらいいかを考えると、「軒下景観づくり」がその第一歩ではないかと思っています。これは建物そのものは変わっていないのですが、ファサードの低層部分を軒下空間と定義して、その部分に自然素材を使った塀や付け庇、植込などの自然などを加えてみることを提案しています。まあ、映画の書き割りみたいではあるのですが、とりあえずこういう所から手をつけて、軒のシルエットの素晴らしさや自然素材の持つ暖かみを再体験することが必要じゃないかと考えています。
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将来は軒下空間と建物がセットバックして、ある程度の容積率を保ちつつも京都らしい風情がファサード低層部に作れればいいなという提案をしています。
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軒下部分にあしらう仮設のキットを「軒下景観キット」と名づけ、木製格子や付け庇、駒札、すだれ、グリーンなどを考えてみました。とりあえず、できることからやってみる、手づくりで景観を作るというムーブメントが起きればいいと考えています。
軒下の景観キット一覧 |
ご静聴ありがとうございました。