環境プロダクトデザインの力
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質疑応答

 

 

■企画・計画も含めてデザインするのは膨大な作業量になるが…

金澤(大阪産業大)

 まず佐藤さんに質問いたします。確か、日本総合研究所が元請けという形になると思うのですが、デザインされる方があれほどのきめ細かい企画・計画を作り上げてデザインまでするというのは、かなり膨大な作業だと思います。それはデザイン込みでの仕事だったのか、あるいはコンサルタント料という形でお金が出たのか、それが気になったのですが…。

佐藤

 もう時効かと思いますが、ほとんどの仕事は私どもの方でさせていただきました。実際、私も日本総研の名刺を持って、ワークショップなども運営いたしました。ただ、費用は直接私どもの方ではいただいておりませんで、形としてはやはり黒子という存在でした。

金澤

 計画デザインのところはある意味営業活動ということで理解していいでしょうか。

佐藤

 そうですね。サインのデザインは、別会社のセクションが手がけました。私もその中でいろいろ仕事をしていましたので、その辺のノウハウをここで活用したということです。


■景観と照明の関係

難波(兵庫県)

 景観と照明の関係についてうかがいたいと思います。朝焼けや夕焼けなどの自然は我われは景観だと素直に感じられますが、人工的な照明はどうなのかな、と。景観を作っているという意識でおられるのか、その辺をうかがいたいのですが。

小園

 人工か自然かを強く意識してデザインしているのではありません。人が社会生活を送る上で、夜間に活動しようと思ったらあかりはどうしても必要になるので、そのサポートをしていきたいという気持ちを基本的なスタンスとして持っています。

 後は、日常的な普通の空間があかりのサポートによって、にぎわいや落ち着きなど様々なシーンとなり、印象に残る空間になっていけばいいなという思いで作業を進めています。

難波

 景観自体の捉え方はいろいろあるということでしょうか。

小園

 人工のあかりで自然の明るさをいかに再現しようかと考えているわけではありません。もちろん、そういうテーマの照明開発もあるのですが、それがすべてではないということです。


■四条通の交通社会実験について

西田(ペリクラク事務所)

 道路でデザインするときは、かなりいろんな関係者や関係部署との調整が大変かと思います。四条通の社会実験の時は、どなたが発案し、それを実行されたときのキーパーソンはどういう方だったのでしょうか。

梶川

 キーマンは京都大学の交通工学の先生です。「普通の社会実験では工事現場みたいな雰囲気になってしまうので、どうにかならないだろうか」と先生が事務所に相談にみえたのが最初の関わりです。その時はまだプロジェクトではなかったのですが、そこで我われがいろいろイメージスケッチを描いてみたりということをやっているうちに、徐々に関わっていくことになりました。

 交通社会実験そのものは別のコンサルタントさんが手がけていたのですが、その中にデザインというものを組み込んでいくという形で、お話ししたように演出型、住民参加型のようなプロジェクトが段々出来上がっていったといういきさつです。社会実験の費用は京都市が出しています。


■耐用年数とメンテナンス

高原

 簡単な質問ですが、照明器具やサインはどれぐらいの耐用年数を考えて作られているのですか。建築では今、百年住宅、二百年住宅が最近言われるようになっていますが、照明器具・サインの耐用年数における目標数値というのはあるのでしょうか。

小園

 基本的には10年を想定していますが、実際は使用される環境によって様ざまです。その辺の条件設定には非常に苦心しています。

佐藤

 弊社の遊具に関しては10年ぐらいを見込んで設定しています。ただ車と同じで、消耗期限がありますので、部品ごとにそれぞれの耐用年数が決まっています。ストリートファニチャーやサインに関しては、だいたい10年ぐらいを考えています。ただ、サインは標記のメンテナンスもありますので、交換できるように考えています。

難波

 メンテナンスはどれぐらいの頻度で行うのですか。

小園

 ランプによって様ざまですが、LEDは光源寿命=商品寿命です。今まではそれで設定していたのですが、今後はそれも変わってくる段階だろうと思います。

前田

 では普通の照明のように蛍光灯が切れたから変えようというわけにはいかないのですね。

小園

 現時点では各社含めてLED照明器具はそういう商品が多いですね。ただ今後の各社の新商品は、LEDユニット交換ができるようになっていくと思います。

 もうひとつ、付け加えておくと、パブリックな場所に置かれる照明は汚れても汚れっぱなしでメンテナンスしようという発想がないんですよ。いつもは自分がデザインした照明を町の中で見ると、蜘蛛の巣が張ったりして散々な状態になっていて、自分で掃除しようかなと思うこともよくあるんですけど。

佐藤

 ストリートファニチャーやサインに関しては特に定期的なメンテナンスはされていません。ただ、遊具に関しては最近安全の問題がクローズアップされていることもありまして、定期的に点検をして必要な箇所は補修する体制になってきています。

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