ランドスケープ・デザインの現在
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精神性から見た特質

 

■1)わび、さび

 ここでは、私から見て「ああ、これがわび、さびだ」と思うものだけ紹介していきたいと思います。

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東京・赤坂タワーレジデンス
 ロビーから見える竹の透き廊に、岩を置きました。

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 この石は宮城県の泥かぶりという特殊な安山岩系の石ですが、香川県にある泉石材さんの所で加工してもらって半分に割りました。そして割ったところだけ磨いたのですが、磨くと黒光りして実に美しい石になります。

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東京・六本木ヒルズ屋上庭園
 このように、わび、さび的な池を作っています。

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大阪・御堂筋
 御堂筋の歩道の一番際にピンコロがあり、それが最近見ると苔むしていました。エイジングの良い例だなと思って、事例にあげました。

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京都・東福寺
 有名な重森三玲の庭です。苔が石を凌駕しているのはエイジングの代表的な事例だと思います。


■2)繊細

 最近中国や韓国で仕事をしていると、日本のデザインは本当に繊細だと思うようになりました。その中から、今日は床のデザインを見ていただきます。

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東京・住友不動産三田ツインビル西館
 日建設計さんの設計で、レジデンス側のエントランスです。こういう細やかデザインは本当に日本的だな、繊細だなと思います。

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東京・赤坂タワーレジデンス
 エントランスのところのピンコロです。これは竹中工務店さんのデザインです。

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衆議院議長公邸の庭園
 こういう細やかなデザインは日本的な特質だと思います。


■3)粋/いき

 「粋」という言葉は「いき」と読み、江戸時代の庶民の文化から発生したと言われていますが、関西ではこの字を「すい」と読みます。

 私の主観ですが「いき」という言葉に見合う空間を紹介していきたいと思います。こういうことは、人それぞれで考え方、ものの見方は違うと思います。

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東京・六本木ヒルズのアリーナ
 「いき」という言葉には、遊郭での振る舞いとか少し色気的なものや華やぎ的なものが含まれているようなんですが、それをランドスケープにも欲しいなあという時があります。これは六本木ヒルズのアリーナですが、夜にライティングが入ると色気のある空間に変貌して、「いきやなあ」と感じます。

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兵庫県・西宮ガーデンズ
 西宮ガーデンズの夜の風景です。少し色彩をポイント的に入れると「粋な空間」になると思いませんか。

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大阪府・JR吹田駅北口
 ロータリーの下が地下の車路になって南側につながっている土木空間です。ここを広くしてアート空間にしようとしました。機能的には壁3枚なんて必要ないのですが、こうすることで粋な空間になったと思います。

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東京・汐留住友ビル
 竹中さんが設計・施工された汐留のビルです。ここでは石の屏風をデザインされたんですね。これこそ粋なデザインだと思います。

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東京・赤坂タワーレジデンス
 先ほども紹介した水鉢です。

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赤坂タワーレジデンス
 空間に刀のような形で、大胆に道を入れることで、パブリックからプライベートに「切った」という意味では、粋なデザインをしたつもりです。

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京都・造形芸術大学 市松パターン
 市松パターンは桂離宮のふすまや重森三玲が作った京都東福寺の庭にも見られます。

 そうした市松パターンに似てるなと思うのが、京都造形芸大のグリッド状の緑空間です。

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シンガポール・高等専門学校(Republic Polytechnic)
 キャンパスの中庭です。ここにも水面とウッドデッキの所に貫通するように緑のデザインを入れました。微妙に市松パターンが現れてくるようなデザインです。高い材料は使っていないのですが、これも粋やなと思います。

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東京・NTT武蔵野研究センタ
 佐々木葉二がデザインした空間です。我われも出来上がったこの空間を見て「粋やなあ」と思っています。


 以上、ランドスケープの日本的なるものというテーマでお話しさせていただきました。

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