ランドスケープ・デザインの現在
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事例(1) 450人でつくる!

 

■小学校に公園に関わってもらう

 これは15年前の事例ですが、「450人でつくる!」と題されたプロジェクトです。450人の子どもたちが作ったという事例です。ここでは、計画を実現するためにどんなプログラムを作ったか、その結果何が出来たかをお話しします。

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450人でつくる!
 
 計画対象地は2500平米の街区公園です。ここにはレイクピア大津というニュータウンがあります。最寄り駅はJRおごと温泉駅です。ここで、仰木の里小学校と仰木の里東小学校の2つの小学校に公園づくりに関わっていただきました。

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学校で取り組んでいただく仕組み
 
 それも学校の単発的なイベントとして関わって頂くのではなくて、授業のカリキュラムの中で取り組んでいただきたいと思って、我われはそのプログラムを組み立てました。合計で6回のプログラムですが、関わって頂くからには準備もしないといけないので、公園ワークシートを作って、授業の前後にも子どもたちに公園のことを考えてもらえるようなツールづくりをしました。

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ワークショップ
 
 プログラムの導入に当たっては、公園とまったく関係のないことから始めました。まず、ワークショップのユニフォームづくりから入りました。「ワークショップに行くときはこんな服を着ていくんだよ」ということから始めて、具体的な計画作りに進むというやり方です。その結果、現地見学も経て、子どもたちにもやりたい気持ちが育ってくるということです。写真でお見せしているのは、その当時の子どもたちの気持ちの一例です。

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工事現場を訪れる
 
 ここはUR(都市機構)さんの事業地ですが、450人の子どもが工事現場を訪れる日には、シマウマやキリンの形をした環境クレーンを持ち込んでくださって、子どもたちが工事に親しみがわくような配慮もしていただきました。


■プランニングとフィードバック

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プランニング
 
 こういうプログラムを経ると、子どもたちの思いがうわっとたくさん出てきます。最終的には、子どもたちから48もの計画案が出てきました。それらを地形の中にどう落とし込んでいくかを考えるのが私たちの役割でした。

 まずは、地形をダイナミックに使おうと大きな丘をつくり、その遊びの丘に子どもたちの考えた遊具が点在しているような形にしました。真ん中は広場があって、入口に何か緑のマスを作っていくという大きな構成は我われがプランニングしていきました。

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ゆめのこうえん かんせいよそうず
 
 出来たプランニングは、まず子どもたちにフィードバックしないといけないので、計画図を「かんせいよそうず」としてプレゼンテーションしました。これは、子どもたちに「お手紙」にして配ったり、壁新聞にして教室に貼ったりしました。

 図にあるタワーは見晴らしのいい所ですが、タワーは「出来るまでひみつやで」と子どもたちと約束したりしています。左下は、ハート形の形をした池です。ここは防火水槽の水を循環させた水辺空間・ビオトープ池です。

 初めのうちは、子どもたちのリクエストは遊具が多かったのですが、カリキュラムも最後の方になると、山や原っぱ、花が咲いている風景、自然の生き物とのつながりという要求がどんどん出てくるようになりました。当初、ぶらんこや滑り台という遊びのイメージが乏しいファクターだったのが、5回ぐらい公園について考えると、とてもイメージが豊かに変化してきます。そういう子どもたちの面白さを私たちも体験させていただいたワークショップでした。

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完成した公園
 
 完成した公園には、子どもたちの10の希望が入っています。この10の要望は、子どもたちの人気投票やPTAの方の希望も取り入れて集約したものです。ゲートが鬼になっているとか、子どもたちが作ったレンガを床や護岸に使ったりしています。

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