ランドスケープ・デザインの現在
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小川治兵衛以降

 

足立(朝来市役所)

 小川治兵衛以降のモダンデザインの系譜が見えにくいというのは僕も学生時代から感じていました。

 一方で、昭和の造園家として著名な方々もおられます。

 その方々の仕事についてはどのように捉えられていますか。

小林政彦

 小川治兵衛以降に伝統文化が途切れている中でも、何人かの作家の方が足跡を残しておられます。私が好きな方であげると、東京では深谷光軌さん。深谷光軌さんの良さは、日本庭園の限られた空間の中での作庭ということではなくて、むしろ都市の中の風景をひとつの形として作ったんじゃないかと思います。例えば、新宿の京王プラザホテルの外部空間は、武蔵野の風景を上手に大都市の中に入れた例だと思います。パブリックスペースのデザインの可能性を切り開いた人だと思いますし、もちろん日本の庭園文化の良さを深谷さんなりに形にしていったと思います。

 関西では荒木さん、京都の小島佐一さんという方がおられます。小島さんは雑木の庭で有名な方で、足立美術館の2人の作庭家のうちの1人です。小島さんも日本庭園の良さを引きながら、現代のランドスケープの中で、それまではあまり喜ばれなかった雑木を庭の中に取り込んだという意味では、これからの環境につながってくる作家だろうと思います。

 そういう方が日本の造園の中に大勢おられるにもかかわらず、日本の庭というと小川治兵衛のみが突出して取り上げられる。でも、現代のランドスケープ事務所でも日本の伝統的な作庭の作法をうまく取り入れている例がけっこうあるんですね。それをきちっとオープンな形で記録していかないと、次の時代の都市空間のランドスケープの流れに乗らないのではないかと危惧するところです。

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