ハウスメーカーのつくる住まいの風景
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まちなみ景観評価の提案

 

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まちなみ景観評価の背景と目的
 
 この背景にはプレ協として5つの「環境行動計画エコアクション21」が掲げられていまして、環境分科会まちなみWGでは5番目の「住宅を通じた良好な地域環境やまちなみの創出」を取り上げようということになりました。

 この行動計画には四つの計画があげられていますが、我われは「良好な住環境を評価できる新しい仕組みの推進」に基づいてまちなみ景観評価の提案をまとめました。

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まちなみ景観評価の概要
 
 まちなみと言うと全体の評価をするということになりますが、まちなみは1軒ずつの家が集まってできるものですから、まちなみの評価として全体の評価とともに1軒ずつを評価していくという方法をとっています。

 評価する項目としては、(1)まち・街区要素、(2)街路景観要素、(3)家並み景観要素、(4)家並み景観要素(外構)、(5)住人の取り組みの5項目で、各20点合計100点満点で評価をしていきます。

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まちなみ景観調査シートの概要
 
 調査シート1・2・3では場所やそのまちなみの印象などの基礎データを記し、調査シート4ではその場所が評価できる写真を上げています。写真の撮り方も提案の中で記しています。

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まちなみ景観調査シートの概要
 
 それらをまとめたものを調査シート5で各項目の点数を付けていきます。点数も分かりやすく○か×を付けて、○は2点を入れていくと全体のレーダーチャートで評価が出るという形にしています。

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まちなみ景観調査シートの評価項目
 
 評価項目としては、図のとおりです。

 (1)まち・街区要素では街区特性を評価します。ここにあげた基本評価点というのは普通にある宅地でも8点として、それに良い項目点数を足していくと20点になるという評価をしています。

 (2)街区景観要素では、調査対象宅地の前面道路の評価とその緑量(緑視率)を評価します。

 (3)家並み景観要素では、調査対象宅地の建物の評価とともに、その宅地の連続性・調和・協調性の評価をします。1軒だけを評価するとともに、その家と周囲の調和を見ていきます。

 (4)家並み景観要素(外構)では、調査対象宅地の門廻り・土留め、およびその宅地の駐車スペース・アプローチの評価をします。

 (5)住人の取り組みでは、調査対象宅地の維持・管理・工夫を評価するとともに、その緑量(緑視率)を評価します。景観を作る上ではこの要素が一番重要かと思われます。

 CASBEEでも緑被率として敷地に対する緑の割合を評価していますが、ここでは景観を評価するという観点から目に見える緑の割合に注目しました。

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「まちなみ景観評価」の評価項目−前面道路の緑量(緑視率)の評価
 
 この測定方法は、緑視率=緑量面積/画像面積×100としています。

 まず写真を通りに対して撮り、その画像に対して緑量を量り、そこから緑量を出しています。

 %ごとの緑量を示したのが右の図です。出た数字が30%ぐらいならそこそこ見られる景観でこれが標準的なまちなみだろうと思います。緑視率60%以上であれば評価10点、40〜60%が評価8点、20〜40%で評価6点、10〜20%で評価4点、0〜20%で評価0点という評価にしました。

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「まちなみ景観評価」の評価項目−前面道路の緑量(緑視率)の評価
 
 では、緑視率を上げて緑溢れる景観を作るにはどうしたらいいかということで、その手法をあげたのが、この図です。まず道路を曲線にしてまわりに緑を植えたら、緑視率はアップします。それと、まっすぐな道路でも突き当たりにアイストップとして山が見えたりすると緑視率が上がります。また、街区内に緑のアイストップがあるのも有効です。こういう手法を使えばどうかということも提案しています。

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「まちなみ景観評価」の評価項目−調査対象宅地の緑量(緑視率)の評価
 
 ここからは、住民が取り組む「宅地」についての緑視率の評価です。ここでは正面から写真を撮り、道路面の高さと軒高、敷地の境界線で四角い枠を取り、その中での緑の量を計っていくという方法を取りました。道路が6〜8m幅だったら正面の写真は撮りやすいのですが、それ以下だと正面からの写真は撮れないのでその場合は斜め方向から写真を撮って、緑視率を計っています。

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「まちなみ景観評価」の評価項目−調査対象宅地の緑量(緑視率)の評価
 
 評価の仕方は道路の時と同じように、10〜60%の間で点数を付けています。

 また、宅地の中で緑視率を上げる工夫を示したのが左の図です。生垣はけっこう緑の面が出ますので、緑視率は上がります。あるいは敷地の前面に共有地があり、そこに高木があるのも有効です。ですから、道路に面して高木を植えていくと緑視率が上がります。また、カーポートにゲートを付けてそこを緑化することも緑視率を上げる良い方法です。最近、話題になっている夏に壁面や窓を緑化していくのも緑視率を上げる方法の一つです。

 その他、駐車スペースの間口が狭いと緑視率は上がります。

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まちなみ景観評価の高いまちなみ事例
 
 これは、これらの方法で評価したまちなみの中から、特に評価の高かったまちなみの事例をあげたものです。

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