ハウスメーカーのつくる住まいの風景
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景観形成におけるプレハブ住宅の課題

 

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主な論点
 
 結局、歴史性や地域の素材、地域の様式というものがハウスメーカーにとってなかなかつき合いにくい相手だということなのでしょう。それを地元の行政の人も感じているということなのだと思います。

 しかし、一方でそうした地域性が全然ない街も日本にはいっぱいあります。小さい敷地は相手にしませんと言われたこともあるのですが、でも小さな敷地であっても、これからは安全で品質の高いハウスメーカーで住宅を造りたいというケースも出てくると思います。そうしたケースもすでに対応していらっしゃると思うのですが、そのときに小規模な敷地の中で何ができるかを考えていかなければいけないと思います。またいいものを作ることによって、まちなみを良いものに変えていく、そういうインパクトを与えるぐらいのことを考えるべきではないかと思っています。

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真鶴町の「美の基準」とハウスメーカー ハウスメーカーの「美の基準」への対応可能性・勧告基準)
 
 昨年度、提案に基づき全国で20数カ所で緊急景観整備事業の対象が選定され、真鶴ではその事業として「美の基準」についてハウスメーカーの人たちと語り合いました。真鶴の景観計画では美の基準という「定性基準」で景観のあり方、建築のつくり方を語っています。地域の人が自分の街を語るというスタイルの中で、法定の景観形成基準をつくっています。

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定性基準のなかでの難しさ
 
 「美の基準」はもともとは開発条例の中に置いていたのですが、景観法が出来たことで景観計画に全部移行しました。移行した時に、勧告を出す定性基準に適応する項目と勧告の判断は難しいという項目に仕分けをしました(右の図)。

 勧告基準の中で多くのメーカーが「これはできる」と答えたものが、配色、日当たり、屋外とのつながりができる処理、道路面での窓、地域の材料を使うといったことです。反対に多くのメーカーが「対応が難しい」としたものは、格付けなど、場所を意味付ける価値をつくるタイプです。「見通される方角への配慮」というのは、メーカーから「どうやって審査するのですか」という質問も出ていました。屋根の形状についてがまた難しく、軒先・軒裏の装飾、重要部分を母屋にするという項目については、構造に関わることだけにメーカーにとっては商品化しにくいところだろうと思います。素材についてもやはり自然の材料を使って欲しいというのが項目にありますが、これも商品化しにくい。

 こうして見ると、基準にはシステム的に対応が難しいものと意味的に難しいものがあり、美の基準の中の勧告基準の中でも格付け、尺度、材料、装飾芸術について多くのメーカーが「できません」と答えています。それに対して、デザインとして調和するものは「できる」と答えたところが多かったです。

 「できない」となっている中でも特に、建てる場所に応じた門の大きさや窓の大きさ、玄関の構え、またそれらとバランスよく調和できる微妙な大きさのバリエーションがハウスメーカーにとってできない項目のようです。それから、隣とのつながり、道とのつながりといった「つながる」こともしんどいようです。

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