生物多様性をめざすまちづくり
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5 コミュニティとエコロジー

 

 ガイドラインを作る一方で、ダイ・ルーカスさんは市民派のコンサルタントとしても活躍されています。彼女はニュージーランド全体のコンサルタント協会の会長も務めたことがありますが、あるコミュニティガーデンの創出にも一役買っています。

 ある時、住宅開発を市役所が進めようとしたとき、そこは子どもたちの遊び場だったことから、市民が総出で市役所に行き、開発の阻止とコミュニティガーデンにして欲しいということを訴えたんです。市役所はそれを受けて、「じゃあコミュニティガーデンの設計に切り替えよう」と回答したとき、市民の側は「いや、設計も自分たちでやるから」と言って自分たち自身でコミュニティガーデンを作ったのですね。当然、ダイ・ルーカスさんもその手伝いをしたと思います。


■コミュニティガーデン

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 この写真がその出来上がったコミュニティガーデン(パックストリート)です。

 ちょうど私がそこに行ったときは、残念なことに白い女性像がバンダリズムで壊されてしまって、みんながっかりしていた時でした。しかし「それでも私たちは負けないわ」と意気軒昂な様子でした。

 ニュージーランドは平和な国なのに、どういう訳かこういうバンダリズムが多い国です。バンダリズムはこうした公共的な物を壊したり汚したりすることです。あるお庭の花壇をめちゃくちゃにした少年少女に。その罰として、もう一度花壇に植物を植えさせているという場面に出くわしたことがあります。若い人にとっては、この国の平和は退屈に思えるのでしょうか。


■クライストチャーチ市のコミュニティガーデン

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 日本でコミュニティガーデンというと綺麗な花壇や広場を共同で作るということが主流ですが、ニュージーランドではそういう綺麗なコミュニティガーデンの方が少ないのです。どちらかというと、ぐちゃぐちゃしている所が多いように見えます。

 私はこうしたコミュニティガーデンは市役所の公園緑地課が担当所管だと思ったのですが、市役所に行くと「違う」と言われてしまいました。「サステイナブル課(持続可能な課)」でもありませんでした。あっちこっちを回ってようやくたどり着いたのが「ウエィスト課(廃棄課)」、つまりゴミ処理をするところです。なぜこういうところが担当かというと、コミュニティガーデンではオーガニックガーデンが推奨されていることもあるのですが、有機農法で農園作りをしているようなコミュニティガーデンが非常に多いのがニュージーランドの特徴です。写真ではこじんまりしているように見えますが、本当は畑が広大に広がっているところも多いのです。

 そうした所では、生産物をみんなでシェアして、有機的にコミュニティガーデンを作っており、感心したことに専門家もちゃんとサポートしているのです。町なかのイングリッシュガーデンとは対極にあるような庭ですが、ここにもまちづくりコンサルタントが入っています。その方の話によると、週に20時間以上ここで作業をしたり、地元の人と話し合って役割分担をして、収穫物の分配方法もアドバイスするという専門家なのです。これ以外にも、いろんな所で地域づくりのコンサルタントが活躍しているそうです。そういう仕組みがあるのです。

 市役所のウエィスト課の方に話を伺ったら、最初は地域の人にお金を渡して専門家を雇うようにしたのですが、そうすると入ってくる人がボランティアなのか専門家なのか訳が分からなくなって、自分たちでうまくお金を使えないから市役所の方で雇ってくれと言われたので、今は市役所から派遣しているということでした。

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