梅田北ヤード2期のグリーンパーク構想
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4 今後のスケジュールと課題

 

■予定されている工程

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 大阪市長に最初にグリーンパーク構想を持っていった時も「お金がないから同友会でやってください」と言われましたが、今後のスケジュールを見ますと、2期の土地売却目標は2013年3月です。あと2年もございません。なぜこういうスケジュールかというと、国鉄清算事業団の資産処分の期限がこういう風に決められているからです。現在の土地所有者であるJRTT(鉄道・運輸機構)の中期計画でそういうスケジュールが決められているのです。そして都市再生特区で都市計画の提案ができる「緊急整備地域」の指定が10年の年限ですから、2012年の5月には切れるのです。ですから、これらをにらんで、大阪市や関経連、都市再生機構などの関係機関は2013年3月までに土地売却、事業者の決定をしようと進めておられます。

 私たちはこうしたスケジュールは大変タイトだと思っていますが、この秋に市長選挙があります。私たちは市長候補者に公開質問をしたいと考えております。2期のまちづくりは大阪の将来を左右する重要事項になりますので、大阪市長候補にはぜひそのお考えをお聞きしたい。

 新しい市長がどのように取り組んでいくにしても、やはり地主さんが土地を売却しなければいけないという国の決めた期限が迫っているというのは大変なことだと思っています。


■3.11以降の社会経済環境の変化

 私たちが提案をして以降1年弱の間に、いろんな変化が起きました。

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 ひとつは、3.11以降、大都市の防災や減災が重要だという意識が高まりました。この間の台風や豪雨でもそうでしたが、都心ターミナルでは帰宅困難者対策をどうすべきかという問題があります。

 さらに関西では3連動地震ではなく、5連動地震が起きると言われています。太平洋岸に500kmにわたる断層の動きが起きるとの話もあります。そうすると、大阪湾の想定以上の津波が淀川を遡ってくることが考えられるのです。その場合、都心の地下街はどうなるのかということもマスコミで取り上げられるようになりました。

 また、その一方財政逼迫化で増税も検討され、その増税の前に国の資産を全部処分して、できるだけ増税以外で復興財源を確保しようということで、JRTTは昨年、事業仕分けで、旧国鉄の資産を引き継いだ1.2兆円を国庫に召し上げられました。国鉄清算事業団の残務は2013年3月末には終了することになっています。

 そういう中では、JRTTの資産はできるだけ高く売って国庫に納めないといけないという圧力が高まることもあり得るでしょう。

 しかしながら、高価格での土地売却で都心ターミナルを高密にして、いったん事があるとどうするんだ、避難地はどこになるんだという防災面からの危惧もございます。

 また、福島の原発事故以降、再生可能エネルギーへの期待が高まっていて、環境をテーマとした2期ナレッジにはそういう再生可能エネルギーの先進地域として、関西の拠点となる役割を期待されるのではないかと思われます。

 そうしたもろもろの問題を抱える中、これから大事なのは何よりも「この街をどうしていくか」「大阪をどうしていくか」という都市のビジョン、都市のグランドデザインを明確にしていくことだと思います。


■今後の課題 市のリーダーシップと開かれた仕組み作り

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 新しい価値を創造して、北ヤードにこそグリーンパークを作るべきだという思いで、次の選挙で選ばれる市長がリーダーシップを取られたら、と私たちは願っています。

 土地処分に関しては、1期は民間の提案で、企画内容が良いものが複数えらばれ、そのなかで一番値段の高いところに競争入札で落ちました。しかし、地元自治体がまちづくりのためにその土地を活用したいと手を挙げれば、その自治体が随意契約でしかも非常に高い値段ではなく路線価程度で買えるのだという今までの慣行がございます。ただ、大阪市が何も言わないから、地主のJRTTは1期区域は民間に競争入札という形で売却したのです。

 2期はこういう土地処分ではなくて、新たなスキームで市が入手する、あるいは市と民間事業者が入手して一体的な開発をする、あるいは市が全体を入手してPFI方式で民間事業者に開発を委ねるとかいろんな方法があるはずです。新たなスキームを考えていかないと、これはなかなか難しいことでしょう。しかし、市が「こういう街にするのだ」というビジョンをきちっと打ち出して、交渉していけばJRTTも無碍に「高く売らないといけないから民間に」とはならないのです。何よりも市長さんにその気になってもらわないといけない。

 私たちは資金調達法も考えました。都市公園でしたら、土地代の3分の1、整備費の半分に国の補助が出ますし、防災街区整備事業だと起債もできます。そういう形の資金調達もできるのです。何よりも市の決意が必須だと思っています。

 そして、今まで北ヤードのまちづくりは協議会という形で明確な意思決定主体や責任の所在が分かりにくいまま、進んできていますが、市長の明確なリーダーシップのもと、この街が大好きだという多様な市民のサポーターの力を結集して、まちづくりを進めていくことが必要と考えます。また、出来上がったグリーンパークを民有公共という提案もありましたが、市だけではなくて、民間の力でマネージメントして魅力的なものにしていかねばならないと考えております。


■終わりに

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 ですから、選挙で選ばれる次の市長さんがまちづくりにどのような考えをもっているかは非常に大事なことだと思っています。私たちも、小泉首相の都市再生のかけ声を契機に北ヤードに関わってきましたし、度々の提言で大きな声も上げてきました。しかし、同時に小泉都市再生への反省もございます。それは、小泉都市再生がスタートした2001年にOECDが出した勧告です。この中に、「都市に投資を」「コンパクトなサステイナブルシティを」という項目もありましたが、「都市デザインの質は都市の魅力ひいては都市の競争力維持に必要不可欠。適切な規制は強化すべきである。そのためには国の役割を再評価すべき」という項目がありました。つまり、国がもっとガイドラインや政策でイニシアティブを取るべきだという勧告の1項があったのです。それこそが小泉都市再生の忘れ物です。

 私はこれを公共セクターの役割の重要さという意味で読み替えて、大阪を世界都市として21世紀以降も魅力ある都市とするためには、大阪市が一定の役割を担って、短期的な採算追求ではない未来都市プロジェクトとして大阪駅北地区の開発を行うべきだと考えています。そのためには2期は、1期の魅力あるナレッジの集積と一体となって、相互補完できる素晴らしい魅力ある空間にしなければなりません。ですから2期のグリーンパークがぜひとも必要だと思っています。

 私のお話は、いったんここで終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

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