バルセロナ旧市街の再生
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バルセロナの概要

 

■バルセロナ市街地の構造

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 バルセロナは空港と市街地が非常に近い都市です。バルセロナ行きの飛行機に乗る時は、僕は必ず右側の窓側を指定します。と言うのは、ドイツやフランスから飛ぶと、右側から市街地が大きく見えるからなんです。みなさんもぜひ乗り換えの時、そう指定されると、着陸間際にグリッドの市街地が視界に飛び込んできます。

 バルセロナは「航空写真で街の歴史を語れる」のです。私がバルセロナに魅力を感じるのも、街の歴史、特に近代の都市計画の歴史が現在までの文脈の中でとても明確に分かることがあります。歴史の痕跡、エピソードが豊富にありますので、現在の空間が持つある種の論理的必然性を感じる瞬間が多いんですね。都市計画という社会技術は確かに力を持ちうるのだと、専門家として改めて感じることができるという意味で、バルセロナはとても魅力的な都市です。

 バルセロナの人口は過去にいったん落ち込んだのですが、今はまた増加していて約170万人になっています。首都のマドリードに次ぐスペイン第二の都市です。市街地の構図は単純でして、リュブレガット川とベソス川という二本の川に挟まれ、北西の山系によって限定される空間が、大雑把ではありますがバルセロナの基本的な市街地となっています。観光で訪れるエリアは限られますが、実際の都市問題としては市の郊外部、あるいは市外に広がっていますので、近年の市による再生事業の多くは郊外部で実施されています。


■国際イベントを梃子に都市整備を実現してきた

 みなさんがバルセロナと聞いて最初にイメージするのは、おそらく1992年のバルセロナ・オリンピックだと思います。バルセロナで行われた大きなイベントはそれだけではなく、大戦前に2度の万博開催の経験がありますし、近年では2004年に世界文化フォーラムという多文化共生をテーマにしたイベントを開催しています。もっともこれは市レベルの都市政策としては失敗したイベントで、批判も多い企画でした。ともかく、バルセロナはこうしたイベントを単発のイベントとして終わらせず、思い切った都市改造の契機としてきました。歴史的に見ても、少なくとも近代以降、国際イベントを狡猾に活用し、都市の整備を進めてきました。

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 旧市街の外側にグリッド状の市街地が広がっています。バルセロナは明確に時代とその意図が違う空間が隣り合っている街です(図5)。

 旧市街の真ん中には、観光客が必ず歩くランブラス通りという目抜き通りが貫いています(図6)。目抜き通りと言っても、パリのシャンゼリゼなどと比べるとこじんまりしていて、歩行者中心の空間です。非常にバルセロナらしい光景だなと思います。大道芸のメッカでもあります。また、バルセロナの魅力はガウディの建築や都市空間に限定されるものではありません。世界中の多くのファンを持つサッカーのFCバルセロナの本拠地でもありますし、バルという立ち飲み文化の存在、世界的に著名なフェラン・アドリアに代表されるようにグルメの魅力も大きいまちでもあります。こういう様々な要素で、バルセロナの都市の魅力が成り立っているのです。

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