まちに関わる流れ |
その次に取り組むのが「プラットフォームの設置」で、シナリオを実現するためにはどういう人が集まったらできるか、それに必要な専門性を判断してふさわしい専門家を探して支援チームをつくり、そういう人たちでまちのビジョンを創りあげて共有します。
それらを実際のプロジェクトに落とし込んでいくのが「PJへの落とし込み」で、それがちゃんと社会に評価を得られるか、投資や新たな動きが生まれるか、投資は回収できるかを試していきます(「小さく実施・評価」)。それがうまく行ったら浸透させるべくどんどん展開させていくし、間違っていると判断したらもう一度前に戻ってやり直します(「継続・浸透への工夫」)。
まちラボをはじめ、様々なプロジェクトごとにプラットフォームが生まれ、具体的な動きにどんどんつながっていきました。そこで得た評価を元に、継続や浸透させる工夫をしました。
「プラットフォームの設置」の際、工業会のような組織がなく、どういう工場が操業しているかの情報もなかったため、高井田にある800あまりの工場を全部回り、その工場をマップに落とし込みました。また、既存組織である高井田の自治会長さんとお話ししたり、操業し居住する双方の立場を持つ若手人材を中心にまちづくり協議会を立ち上げるなどの動きを進めていきました。
活動も地域内の動きだけではなかなか認知されないので、メディアに取り上げてもらったり他都市と交流したり、外からのサポートにも取り組みました。
「課題設定、企画立案」は、法的にどうクリアしていけばいいのか、またお金がかかることなのでビルオーナーがこれに投資してくれるのかどうか。コストを安くできるようなモデルプランをつくりました。また、成功して後からテラスが続々増えた場合、ごちゃごちゃにならないよう川から見た美しい街並みのルールを最初から作っておこう、そのための地域の運営組織も必要になってくるなど、ひとつひとつの問題を話し合っていきました。
「プラットフォームの設置」は、最初は3人の地権者の賛同があり、NPOの専門家や行政も一緒に会合を重ね、仮設の足場材で1ヶ月限定のテラスを営業してみました。予想以上の数のお客さんが来てくれました。それをはげみに常設でテラスを営業しようという話になって、地元の協議会を立ち上げることになりました。この協議会でプランを描いて、行政のほうでも河川区域が利用できるように法律を調整してもらって、テラスが常設で楽しめるようになりました。
ちなみに、テラスを一つ作るためには数百万の投資が必要になります。テラスそのものの費用と室外機を屋上に移設するなどの設備費用がかかります。その投資したお金を回収できるか、建物オーナーはテナント代に上乗せできるか、テナントはテラスがあることでお客さんが来てくれてそれ以上の売上げを上げられるかどうかが勝負です。これは正直不安でしたが、幸いなことにテラス付きの店はどんどん増えてきて、新しく建つ建物は全てテラスをビルトインして建っています。ですから、ぎりぎり採算ラインは超えているんじゃないかと推測しています。
「継続・浸透への工夫」については、テラスを新たに設置するオーナーや店舗に対してフォローを継続するとともに、最終的な我々の夢である、川沿いに舟を停めて舟からも川床のお店にアクセスしたいと、舟の社会実験も去年から始めているところです。
この動きを水辺バルとも連動させていって、最終的には川沿いのまち同士が舟でつながるようにしていきたいというのが我々の最終目標です。それを妄想しつつ活動を続けています。
「現状把握・お宝探し」は我々だけではなくて、たくさんのメンバーで話し合いました。大阪の観光で一番の問題は、ステレオタイプのものしか発信できていないことです。例えば、面白いと思った「大正のまち歩き」のプランを大手旅行会社に持っていっても「大正ってどこですか。誰も知らないので売れません。」と言われるんです。それならどういうプランなら売れるのかを聞いてみたところ、「串カツも食べてコテコテのツアーをやってください」と結局従来のつくられたイメージに戻ってしまう。
そのスパイラルから抜け出るには、自らコースをつくり、自ら案内し、自ら売っていくことしかない、みんなで覚悟を決めてやりましょうということになったんです。それが「課題設定、企画立案」です。
水都大阪2009のプログラムになることをきっかけに、「プラットフォームの設置」をして、コース開発をして、案内人の募集や育成をしました。今は事業として継続しています。しかし、事業化したからと言って楽な状態ではなくて、みんなで力を合わせて頑張っているところです。ファンクラブを作って会員を増やしています。
(参照:「食旅と観光まちづくり」記録、泉さんがツアー内容を語っています)
この取り組みは、旅めがねのメンバーや舟運事業者、多くのボランティアスタッフのメンバーのプラットフォームが全体を動かしています。今、どうすれば普段から楽しめるよう、事業化の仕組みを考えている最中です。
現在は9日間のフェスのためのプラットフォームとなっていますが、年間継続して動けるようなネットワークにしたいと思っています。
水都大阪フェスに関わった団体、組織は、事務局が公募したところもあれば、我々ディレクターチームから指名したところもあります。今年はプログラム公募をしましたので、もっと増えました。
いろんな方たちのチャレンジややってみたい!を皆の公共空間を使いこなして実現させよう、水辺のまちあそびというキャッチフレーズをつけました。使い方のアイデアを持って、自らやりたいこと、他人の笑顔をつくることをきちんと自由と責任を持って実現できるまちにしていきたいのです。
もちろん一気には進まないので、ひとつひとつ反応を見ながら取り組んでいます。去年の成果をふまえ今年は市民のみでなく企業が参加できるような取り組みを試行しました。例えば企業が公共空間でファッションショーをやって、その収入を公園の維持費や魅力創出の取り組みへ再投資できるような取り組みです。
公募プログラムも増えています2010〜2012年の結果を比較すると、私が一番いいなあと思うことは活動の担い手が増えていることです。