2 近世大坂近郊農村と農業の概観 |
17世紀、人口約30万人の大都市大坂と、人口5万人の堺をひかえ、その近郊の食料供給地として、野菜の名産地が大坂周辺に出現しました。例えば、江戸時代の俳諧論書である『毛吹草(1645年)』には、天満宮前の大根、天王寺蕪、木津瓜、難波干瓢が挙げられています。また、畿内5ヶ国の地誌『五畿内志(1734)』には、野菜の産地の掲載があり、特に、西成郡の畑場八ヶ村は有力なもので、難波村の藍、今宮村の蕪・瓢箪、木津村の瓜・大根・菠薐草(ホウレンソウ)、吉右衛門肝煎地の越瓜(シロウリ)など生産されていました。
五畿内志による大坂周辺の野菜の産地 |