市民レベルの広場活用・まちの魅力発信活動
左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

今回の報告のまとめ

 

 

篠原

 最後に私からまとめの話をさせて頂きます。

 今、お二方から2つの活動を紹介して頂きました。実はこれ以外にも新しい活動が芽生えていますので、そのあたりをさらっと紹介いたします。

画像si15
 
 姫路駅から姫路城にかけてのエリアをテリトリーとして、いろんな活動が起こっています。

 中活法に基づく姫路市中心市街地活性化協議会が設立され水色のエリアを対象としています。姫路市商店街連合会は、このエリアの十を越える商店街が連合した組織で、活発な活動をされています。大手前通り街づくり協議会は、大手前通りの沿道の企業などを中心とした協議会で、ここも15年ぐらい活動を続けています。今の話に出た姫路観光コンベンションビューローは、初年度は図の黄色い線のエリア、つまり駅とお城をつなぐ姫路の一番大事なエリアで活動していました。米谷さんのお話の姫路駅前広場活用協議会は、駅前広場を中心とした部分が活動エリアです。姫路商工会議所まちづくり委員会というのは2年前に出来た組織で、こちらでも中心市街地活性化がメインテーマとなっています。

 このように、姫路市の歴史的な都心で今様々な活動が行われている状況です。

画像si16
 
 米谷さん長谷川さんから紹介のあった2つの活動に続き、三つ目に紹介するのは姫路商工会議所まちづくり委員会です。商工会議所には全部で5つの委員会があり、委員長・副委員長を合わせると22人いますが、私以外は全員が姫路の企業の社長さんです。私だけが大阪ガスの地域代表ということで、選ばれました。これは非常に光栄なことで、頑張ろうと思って、いろんな新しい活動を提案しながらやっております。

 いくつか「こんなことをやりませんか」と提案したうちの1つが「まちなか交流サロン」です。

画像si17
 
 これは大阪ガスが御堂筋で「御堂筋Talkin'about」という催しをやっていたのですが。その手法を導入して開催しています。

 要は商店街の方々と自律的な活動を生み出せないかということで、納屋工房を会場にいろんな方に集まっていただいて話し合いを重ねています。

画像si18
 
 例えば、女性が語る商店街というテーマでは、商店街の幹部の方々と女性十人ぐらいに集まってもらって(この時は長谷川さんにも参加してもらいました)、商店街について好き勝手にしゃべってもらうようなそんな会議です。そこから見えてきた何かをちょっと活動につなげていくような方向で、第2回、第3回と続いています。商店街の人たちが自分たちで新しいことが生み出せるような場として、我われ商工会議所が中心になって動いています。来年度はなんとかバトンタッチして商店街の人たち自身で出来そうなところまで来ています。

画像si19
 
 活動の四つ目は、大手前通り魅力マップの作成です。これは昨年11月に、姫路市が主催した姫路景観フォーラムで私が講演した折り、私は「都市の魅力の発掘と発信−自律的まちづくり活動のすすめ」というテーマでお話ししたのですが、人に薦める限りは自分でも自律的活動をしなくちゃいかんと思ってしまいました。それで、姫路で一番大事な大手前通りを対象に何かをして新しい動きを生み出したいと考えました。

 それで、自分自身の自律的活動として「大手前通り魅力マップ」というものを作ったのです。

 実際に仕事の合間にフィールドワークし、取材をして、写真も撮りました。編集や文章も自分でおこない、最終の仕上げだけは知り合いのデザイナーお願いしました。

画像si21
 
 内容は、大手前通りには様々な魅力があること、沿道にも魅力的な建物や場所がたくさんあるということを紹介しています。歴史と共に現在の動きも伝えるマップとして仕上げました。

 これを作ってから、大手前通り街づくり協議会で「何か新しいことをやっていきましょう」と話しましたら、実際に協議会が「じゃあ、会員企業の情報交換の場を作ろう」ということになって、第1回が1ヶ月前に開かれました。そういう新しい動きにつながっています。

画像si22
 
 活動の5つめは、「ひめじまちづくり喫茶」の立ち上げです。これまでの活動は商工会議所や駅広場協議会など、団体の一員として関わってきたものでした。しかし、最近自ら主宰者となって何かやりたいと思うようになって、長谷川さんや「よってくだん」の活動で知り合った若手の人たちと一緒に、ちょっとしたゆるやかなチームを作って「ひめじまちづくり喫茶」を始めました。

 月1回の開催で1〜3月までに3回行いました。これは大阪のまちづくりに関わっている人、まちづくりで自律的な活動を行っている人をゲストスピーカーに呼んで、ディスカッションしていこうというものです。来てもらった姫路の人たちに、自分たちも何か自律的な活動をしようと思ってもらえるようになったらいいと思って始めた次第です。

 「喫茶」という名前にしたのは、パリのカフェみたいに新しい文化を生み出す場をイメージして、かつて日本は喫茶店がそういう役割を担っていたことから、名付けたんです。しかも、かつて姫路は日本一喫茶店が多い都市だったと言われています。これは多分、人口一人当たりに換算してのことだろうと思いますが、確かに今でも多いと感じますので、私たちもここがまちづくり分野の新しい活動を創出する場になることを願って、「ひめじまちづくり喫茶」と名付けました。4月以降も、月1回の活動を続けていこうと思っているところです。

画像si23
 
 私が思うのは、こういう歴史的都心エリアが活性化すれば、姫路全体、播磨全体の活性化へつながっていくだろうということです。そのためには、こういうエリアにいろんな活動を積み重ねていくことが大事であると考えています。今日ご紹介した米谷さんの例、長谷川さんの例、あるいは私が簡単に紹介した3つの例は、それぞれの主体が役所だったり、商工会議所、各協議会だったり様々ですが、そういう様々な主体が同じ場所で活動を重ねていくことが大事であると思って活動しています。

画像si24
 
 最後に大阪での手法が姫路で活かせつつあるということを、大阪の人たちに聞いて頂きたいと思います。

 私は大阪で働いている時に、企業市民としての活動が大事であることに気付きました。ワーカーがそこで働いている都市に関わることが大事であると言い続けていましたので、姫路に転勤した後も姫路に関わらなくてはいけないと思ったんですね。大阪の経験が生かせるかどうかを試しにやってみようと思っています。

画像si25 画像si26
 
 姫路に来て、自分でもどこが姫路の魅力か分からなかった時からも、自分で姫路の絵はがきを作ってみたり、まち歩きマップの試作をやってみたりしていました。姫路に来た最初の年の年賀状(右の図の左下の写真)は市立美術館、後ろには工事中の姫路城があり、ガス灯が灯っているいい風景を切り取って絵はがきにしました。

 また、まち歩きマップ(右の図)も作りました。これがさっきの大手前通り魅力マップの原型になっています。これは姫路の建築マップです。

 私は仕事の関係でいろんな団体に関係していますが、そこで知り合った人に自分のやっているまちづくりの話をしています。その時、こういう絵はがきやマップを手渡しているんですね。そういうことを続けていたら、話がどんどん広がってきて今日のお話にもつながってきたと思います。個人的な活動を重ねてきた結果、ここまで来たのかなあと自分では思っています。

画像si28
 
 こうした活動を続けていく上で、大事だと思うことがいくつか見えてきました。最後にそれをお話しして、私の話を終わりたいと思います。

 私は図に挙げた5つが大切であると考えています。3つ目の“中身”というのは活動のことです。仕組みや組織の枠組みは後から考えていいから、活動重視でいくのが大切だろうと思います。

 また最初はやりたいことを自分一人でもやっていくことが大事なんですが、やはり続けるためには活動を広げ、人とつながっていこうと思いながら活動することが大事ではないかと思います。連携し共鳴することです。

 そして「場」ということを意識した活動が大事だということを5つ目に挙げました。

 以上で、私たちの報告を終わります。ご静聴ありがとうございました。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ