JUDI関西・96年都市環境デザインセミナー
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マンション再建

現代計画研究所 江川直樹

特殊解の集積から何かが見える

 先ほど岩崎さんは、 特殊解になったのではないかとおっしゃいましたが、 基本的にはなんでも特殊解の集積でしかないと思うのです。

   

 ですから同じような戸建の建替えの例をいくつか集めて議論するとか、 共同建替えをいくつか集めて議論するとか、 特殊解と特殊解の議論の中から、 何が?というようなことを話す方法で、 また違ったものが見えてくるのではないかという印象を持ちました。

   

 同じように、 マンションも特殊解です。

私は二つ関わっているのですが、 二つともかなり違うのです。

その二つの違いの中から、 いろんなことを我々も考えたし、 経験しました。

   

 我々はこの間、 マンション以外に本来の仕事をいくつかやってきました。

たとえば、 仮設に住んでらっしゃる方がお戻りになる災害復興住宅を新規エリア、 埋め立て地エリアに何百戸とつくるような仕事。

あるいは建替えは建替えなのですが、 駅前の再開発で住宅を再建するような仕事もやっています。

かなりいろんなジャンルでやってまして、 そういうものを見ていくと、 やはり皆特殊解です。

   

 結局まちを考えるということは、 ある種の特殊解の集合を考えることだろうと思います。

つまり、 個人個人の集合だと言い換えるということになってしまうかも分からないのですが、 これは標準解なんかでは絶対にないし、 そうでないほうがいいわけです。

しかし、 その大きな仕組みでの共通項みたいなものが、 あると思うのです。

   

 これから紹介するマンションは、 一つは本山の駅の近くですけれども、 近商と接する、 いわゆる住居系ゾーンに建っているマンションです。

容積率が200%のところに463%建っていた123戸のマンションです。

   

 もう一つは芦屋の住居エリアなんですが、 周りには戸建住宅しか建っていないような傾斜地です。

阪急より上のゾーンで、 55軒ありました。

これは200%の容積率のところに220%ぐらい建っていて、 容積がオーバーだとか、 なんだかんだと皆騒いだわけです。

ただ、 当時の面積の測り方と、 今の容積率をカウントする時の測り方が違っていますので、 実は容積率だけに関して言えば、 既存不適格ではなかったと、 そういうおもしろい例です。

   

協力するということ

 この二つに関わっていて、 共同ということについていろんなことを考えさせられました。

   

 我々がそういうことを支援したり、 あるいは協力したりするわけですが、 その協力するスタンスが、 皆経験できていなかったし、 一番問題なのは、 皆が共同で何かをやるときに、 それを支援する専門家の教育とか、 そういうのが実は凄く大切なのではないかということをつくづく感じたわけです。

   

 ちょっと条件は違うのですけども、 コーポラティブ住宅というのがあります。

コーポラティブ住宅にもいくつかのスタイルがあったわけですが、 延藤安弘さんがやってらっしゃるようなコーポラティブの話をする時に、 たとえばセミナーにしても講演にしてもできてしまったものの話だけが話題にのぼって、 支援をするとか、 協力をしていく時に、 人間同士がいったいどういう協力関係でやるかということが話題から抜けてるように思うのです。

   

 延藤さんがJIAの講演会で話をされた時は、 最後のほうでそういったことに絞って話をされたのですが、 たぶんそういうことを経験していない人と共有していく訓練をすることが、 経験していない人が次に入っていきやすい環境をつくれるのではないかと思うのです。

   

 そのことが非常に重要で、 我々環境デザイン会議でやるセミナーでも、 たんにこういう形でできましたという事例紹介ではなくて、 もっとそういうところに視点を絞って、 そのことはなぜなのかということを考え、 議論していくことが結果的に共同化の意味を考えることにつながっていくのではないかという感じを強くしています。

   

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