JUDI関西・96年都市環境デザインセミナー
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東灘地域の市場、 商業、

住宅複合再開発による再建事例

鞄s市問題経営研究所 大島憲明

新甲南市場の概要

 新甲南市場の場所ですが、 JRの住吉と摂津本山のちょうど間くらい、 2号線のちょっと南側という位置です。

昭和28年から市場として営業しています。

   

 新甲南市場のすぐ右上のほうに、 同じような市場で甲南市場というのがあります(図1「新甲南市場の位置」(68K gif))。

   

 元々は甲南市場のほうが先にできて、 後から新甲南市場ができたものですから、 兄弟のような市場と言えます。

この二つの市場のあいだにサンタウン甲南本通りが南北に通っています。

その東西に甲南市場と新甲南市場があるという立地です。

   

 昔2号線に電車が走っていまして、 ちょうどこのあたりには駅がありました。

電車がなくなって2号線という幹線道路となっているのです。

かつてはそういう駅前商店街、 駅前の市場という立地だったのですが、 環境の変化で震災前から市場としては衰退していました。

   

 関西の市場というのはだいたいそうですが、 30年代の後半ぐらいが最盛期です。

それから大型店があちこちにでき衰退を続けてきた訳です。

新甲南市場も最盛期は全部で40店舗くらいあったのですが、 震災前はもう十何軒がすでに営業をやめられて、 空き店舗になっているという状態で、 すでに建替えあるいは共同化という話しはボツボツ出ていました。

   

 それぞれが土地をお持ちで、 土地の所有者が自ら建物を建てて営業をしている長屋形式の市場です。

全部が木造、 老朽の店舗がずーっと並んでいました。

建替えが進んでおらず、 震災で全壊してしまいました。

一方東側の甲南市場のほうは少し建替えが進んでまして、 固い建物が何軒かできていました。

そこは震災で壊れなくて、 ある意味では後の事業が進みにくいというふうになっています。

   

 新甲南市場のほうは全壊をしてしまって、 みんながほぼ同じ条件になりましたので、 割りと立ち上がりが早かったということです。

権利関係については全体で40人くらいの土地所有者で、 一部借家がおられたのですが、 非常に少なく、 わりと単純な関係でした。

   

市場再建の事業手法とその内容

 私どもが現地に入らせていただいたのが3月の初めですけれども、 その当時から、 復興のための事業手法としては優良建築物等整備事業という補助制度を使った等価交換という方法で進めております。

それから市場ということですので、 もともとは個別店舗群だった訳ですが、 共同化をするということで、 小売店舗共同化事業を適用して再建しようということで進めていっております。

   

 この小売店舗共同化事業は、 通産省の中小事業庁の事業手法で、 90%無利子でお金を借りることができ、 20年間で返済するという非常に有利な方法です。

これからは特定民間再開発事業も使って、 少し税法上の優遇措置を受けるような形で進めていこうと思っています。

   

 計画の中身については、 梓設計のほうにお願いをしております(図2「新甲南市場復興事業」(HTML))。

実施設計が完了しておりまして、 図2に挙げておりますように敷地が全体が2500m2くらい、 そこに容積300%、 床面積で7500m2くらいの規模で、 1階が店舗 (市場)、 2階以上が住宅という建物です(図3「梓設計/新甲南市場復興事業施設計画」(HTML))。

 2階以上の住宅は73戸の住宅ですが、 ほぼ半々、 35戸くらいを権利者、 それから残りを神戸市の住宅供給公社に買い取っていただくという形で計画しています。

   

 駐車場は64台分です。

総合設計制度を使って300%以上の容積という話しもありました。

ここは用途地域としては近隣商業ですから法的にも問題ないのですが、 後ろの住居等への日影を配慮し、 また総合設計制度を使いますと公開空地をとらなければならないわけですが、 1階にできるだけ市場を取りたいということでしたので、 総合設計制度は使いませんでした。

   

 1階がほぼ店舗ですが、 この中身については、 中のレイアウトをどうするかということで、 いろいろ議論をしながら進めている段階です。

   

 そういう規模の計画に対して、 約20億円くらいの事業規模と見込んでいます(図4「資金計画概要」(15K gif)参照)。

これはかなり早い段階で地元にお示しをした数字ですので、 現在少し変わっておりますが、 事業規模自身は変わっておりません。

内訳は資料の資金計画概要の数値とは若干違ってきておりますが、 総額としては20億円くらいの規模ということです。

補助金が元々2.5億円くらいの想定でわりとシビアに考えていたのですが、 現在交付決定していただいた額としては4億円ちょっとくらいの金額になっております。

   

事業の経過と組織について

 図5〜図8「新甲南市場復興事業概要」(HTML)を見ていただくと、 どんなことをどの段階でやってきたかということがわかると思います。

まず私どもが入らせていただいて一番何を気にしたかというと、 共同化のための組織をどういう形にしていくか、 ということです。

元々市場でございますから、 市場の組織というのが、 これは任意団体ですけれどもございまして、 それなりの活動をされてるということでした(図9「組織」(5K gif))。

ただし市場の組織というのは商売の組織ですから、 共同化を進めていくという事業、 再建事業を進めていくという組織には若干なじまない部分が人材の問題も含めてございます。

そこで市場組織をベースにしながら、 市場のそれまでの役員会とは違う形、 再建委員というのを別に選んでいただきまして、 再建委員の中で議論をして計画を進めていくという形で、 3月ぐらいから夏ぐらいまでそういう組織で進めておりました。

   

新甲南市場復興協議会

 市場の組織というのは当然営業者の方が組織対象になる訳ですが、 市場以外の方、 実際にはもう廃業されてよそに移られて権利だけお持ちだという方もいらっしゃって、 そういう方は実質的に組織からは離れておられました。

そこで市場の組織だけで進めていくとある段階で限界がくるということで、 その協議組織として新甲南市場復興協議会というのをつくっております。

   

 市場で営業されている方と、 すでにやめられて他へ移られている方、 それから若干ですけれども市場以外の周辺の土地をお持ちの方も巻きこんで事業を進めようということにしましたので、 そういう方も入っていただいた協議会組織をつくって、 今その協議会で議論をしながら進めているところです。

これは事業が終われば解散するという組織です。

   

新甲南市場復興株式会社

 事業組織としては、 新甲南市場復興株式会社を設立しました。

これについては7月位に新聞に発表させていただいて、 いろいろと取り上げていただきました(図10「新甲南市場復興株式会社を紹介した記事」(27K gif))。

事業の進め方には(民間デベロッパーをいれるという形とか)いろんな方法があると思いますが、 今回は市場の方々が中心で事業を進めるというやり方をとりました。

私どもが提案させていただいたのは、 地元だけでやろうと、 地元だけでやれるということで、 皆さんで会社をつくっていただいて、 そこが事業を進める仕組みをできるだけ早くつくろうということでした。

   

 そのうえ市場だけで会社をつくるのではなくて、 一株株主ということで、 市場以外の方々、 地域にお住まいの消費者、 それから全国から一株株主を募集しようと提案しました。

この株式会社ができたのは実際10月に入ってからなんですが、 7月ぐらいの段階でそういう構想を立てて、 設立に向けて動き出したということです。

   

 この会社にはいろんな役割を持たせようと考えました。

優良建築物等整備事業をやる事業主体、 これは実際に会社が設計事務所に発注したり、 私どもコンサルに発注したり、 それから工事の発注も会社が行なう、 資金調達も会社が行なう、 補助金の受け皿も会社が行なうということで、 そういう事業主体としての役割を持たせました。

それとできた住宅についての販売をしようと。

事業の成立性を担保するために一部市の公社にまとめて買っていただくのですが、 それ以外の部分で売れる場合には会社自身が住宅販売をしようという訳です。

それから、 これは付置義務がありますから駐車場建設をしなくてはならないということで、 その立体駐車場を会社が取得をして、 できあがった後運営をする会社としても考えています。

   

 建物ができますと、 当然建物の管理という仕事が出てきます。

住宅が73戸と下が店舗ということで、 その建物管理もこの会社にやってもらおうということです。

またこれはどこまでできるか分かりませんが、 新甲南市場だけが復興してもだめなので、 甲南地区全体の復興、 あるいは甲南市場の復興、 商店街の復興などの地域復興に協力をしていこうと。

たとえば土地の買収とか、 そういうようなことを積極的にやっていこうと考えています。

それから、 これもたいした形にはなりませんけれども、 若干でも地域雇用は創出できるだろうと思います。

そのような役割を持つ会社をつくろうということでやっています。

   

 1500万円の資本金についてですが、 1000万円を地元の方々が出資されています。

残り500万円を一株株主ということで一般から募集しました。

500万円集まるかどうかが心配で、 集まらなかったら私どもが出資をしようと考えていたのですが、 150〜160人くらいの全国の人から株主の応募がありました。

その中から50人くらいに絞りまして、 一株ずつ5万円ずつ持っていただいたという経過です。

後で株主総会なんかをやっていくのが大変なんですが、 取り合えずそういう形で会社をつくり、 全国的にも注目され、 また全国から応援もあるということで、 市場の皆さんが元気が出たという側面がありました。

こういう役割もその会社をつくるという経過の中ではあったと思っています。

   

運営組織

(1)協同組合

 事業が進捗して実際にものができあがりますと、 それを運営していく運営組織というものが必要になります。

会社自身が運営組織になるということはさきほど駐車場と建物の管理運営ということで申し上げましたが、 それ以外に市場の協同組合をつくろうと考えました。

元々の市場の組織というのはさきほども言いましたように任意団体です。

そうじゃなくて、 ちゃんとした法人組織としてつくろうということで、 現在その協同組合の設立を準備中で、 近々にできるという段階です(5月22日設立済)。

協同組合というのは、 最初の事業手法のところで言いましたが90%無利子融資を受けるための前提条件でして、 それがないとそういうお金が使えないということがあります。

   

(2)共同出資会社

 それから営業者の共同出資会社も必要ということで、 これも設立準備中です。

新甲南市場というのは馬小屋式で、 個別店舗がずっと並んでいるという市場だったんですが、 震災前から営業されている方が少し減っていたということと、 震災以後市場が復興されても、 高齢ということもあって実際に商売される方が半減して、 今12名くらいになってしまっています。

そういう中で市場として運営していくためには12名だけでは当然成り立ちませんので、 その方々の店と、 それから不足する業種等についてはセルフ方式、 スーパー形式の店舗をつくって、 そこに不足する品目、 業種というものを入れていこうということになりました。

そのセルフ方式のところを運営する会社として共同出資会社を別途準備している訳です。

   

(3)管理組合

 これから準備していく組織としては、 管理組合があります。

下が店舗で上が住宅ということですが、 一棟の建物ということで設備は共同の設備になりますし、 建物をうまく管理していくということが必要になってきます。

区分所有建物ということにもなりますので、 マンションの場合と同じように、 区分所有者の組織である管理組合をつくることにしています。

住宅居住者だけではなくて、 住宅の方と下の店舗の方と両方入った形での管理組合を、 まだ具体的には手をつけてはおりませんけれども、 竣工までに準備をしていきます。

   

 以上が立ち上がりのところからの組織の変遷と説明です。

「こういうものをこれからどんどん順番につくっていきますよ」ということも含めて、 地元に説明して理解をしていただく訳です。

最後のあたりの組織がきっちりうまく動くかどうかということが、 事業が成功するかどうかのたぶん一番大きな要だろうと思います。

   

 権利調整とかいろいろ細かいこともあるのですが、 いずれにせよ事業の進捗段階に応じて少しずつ組織の形態を変えながら、 なおかつうまく動くという仕組みを継続してつくっていく必要があると思っております。

くどくど組織のことを申し上げましたけれども、 そういう観点で仕事をしています。

   

神戸市住宅供給公社の参加

 実は2階以上の住宅を神戸市自身が震災の受け皿住宅として市営住宅にしたいという話もありました。

一方公社は最初それほど積極的ではなかったのです。

候補として他に神戸市自身の市営住宅、 住宅供給公社の住宅、 それからまったくすべて民間に売るという、 そういう考え方があったのですが、 結果的に神戸市の住宅供給公社に入っていただくということで落ち着きました。

   

 住宅供給公社が民間が建設した住宅を買い取って、 公社がさらに一般に分譲するという今回の買い取り方式の仕組みは、 実はこれまでなかったんですね。

公社自身が建てて、 それを一般に分譲するというのはあったのですが、 こういう制度を公社に考えていただきました。

民間デベロッパーなんかに参加していただくというケースですと、 民間デベロッパーにいろんな厳しい条件があるということもあって、 公的な住宅をつくろうと考えました。

また社会的と言いますか、 神戸市が復興事業としてやられていることに協力もしようということもあって、 公的住宅を導入しようということになった訳です。

   

 この3月に基本協定をするつもりだったのですが、 若干ずれまして、 なおかつご存じだと思いますが、 市の助役さんが、 公社の理事長をされていた方ですが、 亡くなられたということがあって、 協定の調印は遅れています(4月12日締決済)。

   

所有と使用の分離

 さきほど協同組合の設立ということを申し上げましたが、 これも実はいろいろ問題があって、 いろんなやり取りがあったのです。

   

 協同組合は90%無利子のお金を借りますから、 協同組合が所有する店舗は区分所有しないといけない訳です。

そこに当然担保とかをつけて、 借金の返済を担保するという仕組みなんです。

一方、 等価交換でやりますから、 営業される方については店舗を取っていただくという形で考えてました。

しかし昔みたいな馬小屋式の区分所有じゃなくて、 店舗は共有で持っていただいて、 営業されるところとはリンクしないつもりでした。

要するに所有と使用の関係を分離するということです。

   

 店舗の床については、 営業される皆さんで共有していただくということをずっと説明してきたのですが、 それと協同組合の所有関係がバッティングをしてしまいまして、 中小企業庁の方、 それから県の窓口の方といろいろやり取りをしまして、 一度は諦めました。

協同組合をそんな形ではできないなと。

   

 しかしなんとか90%無利子のお金を使いたいということがありまして、 今、 結論としては、 協同組合も共有でよいということで、 1階部分でどこが協同組合の床で、 どこが権利者の床かというのは、 分からない状況なのですが、 今回はそれでもいいということを認めていただきまして、 諦めずにすむことになりました。

   

 実はこのケースだけではなくて、 他の再開発等の事業でも、 こういうことがやれれば非常にいいと思っており、 制度化して欲しいと言っているのですが、 今のところまだ特例ということで認めていただいています。

   

合意形成について

 私どもが事業を進めていくうえで、 地元のまとまりをなんとかつけていこうということで、 いろいろ気を遣っていると言いますか、 いくつかのことを念頭において事業を進めています。

   

(1)目標を設定する

 まず、 これは法定再開発事業ではなくて、 任意事業ですので、 全員の同意が大原則です。

一人でも反対があったら、 事業が止まってしまうという事業ですので、 みんなのまとまりをどうするか、 当然いろんなお考えがありますし、 営業されている方とすでに営業をやめられて他へ出られている方の利害がある意味では相反するということもある訳です。

   

 そういういろんな立場の方を、 一つの事業に向かって組織をしていくということで、 絶えず目標とスケジュールを、 これは大きな目標と、 小さな当面の目標とがあるんですが、 絶えず提案しています。

結果的には嘘をついてきているのですが、 震災直後、 私どもが入った時には、 その時点でのスケジュールをつくりまして、 去年の11月に着工できるというスケジュールでやっていました。

   

 それが駄目になって、 次は震災1周年に地鎮祭をやろうということで、 年を越えて着工ということでやっていました。

その次は96年度早々に着工しましょうという目標に変わりまして、 それから、 今は8月着工、 1年後の9月竣工という目標で進めています。

たぶんこれはもう遅れることはないだろうと思いますが、 そういう目標も、 その時点時点で、 結果的には嘘ついてきていますけれども、 その時はそういう目標を立てて真剣に提案しています。

   

(2)従前資産評価をやらない

 次に資産評価、 権利調整というのがありますが、 これは等価交換方式ですから、 従前の資産がどれだけに評価されて、 どれだけの店舗なり住宅が取れるかという問題です。

実は、 従前資産評価はやってないんですね。

結果的にはやっているんですけれども、 当初やっていませんでした。

   

 どうしたかというと、 市場の中で一番小さい権利をお持ちの方でも、 一戸の住宅を負担なしで取れるようにしよう、 等価交換で居住可能な住宅が取れるような、 そんな事業にしようと考えました。

これは2DKで50m2ぐらいのやつ、 それが負担なしで取れるということです。

ですから、 結果的にはそれが遡って従前評価ということになるわけです。

そういう目標を出して、 調整といいますか、 資産評価については評価してませんけれども、 納得いただいているということで進めています。

   

(3)『元気』とコミュニケーション、 協同意志の醸成

 若干今までの繰り返しになりますが、 目標と目的を絶えず掲げていこうと。

それから「会議、 会話、 コミュニケーション」ですが、 これは公式の場の会議、 会話だけではなく、 非公式のコミュニケーションも取っていくということです。

これがその次の「協同意志」につながっていくことになるのですが、 権利者同士の間で、 いろいろ利害が対立する話しを含めて、 そのような議論ができる状況の中で、 協同で物事を進めていきましょうと、 目的を定めて、 意識的にやっています。

   

 それともう一つは事業関係者との協同意志です。

これは私どもとか、 設計事務所とか、 それから場合によっては工事業者が入ってくる訳で、 皆さんからお金をいただく、 あるいは、 工事ですと工事費がかかる訳で、 それが高くなれば地元の方々に不利益なると。

そういう意味では利害が相反する関係になる訳ですが、 そこで利害の対立が表に出てくるのではなくて、 一緒の事業者だと、 協同でやるんだと、 私どもを含めて協同の復興事業の参加者なんだということでやっていかないと、 場合によってはそこでギクシャクして、 事業がなかなか進まないということになります。

   

地域商業の復興の意味

 最後に、 地域商業が復興していくということの意味について、 お話ししたいと思います。

   

 一つは住宅復興ということがありますが、 どこの街でもそうでしょうが、 消費生活の活性化が街のにぎわいになっていくのだろうと思う訳です。

そのためには商店主が元気でその地域で商売をしていて、 そういう情報が周辺に伝わって、 他の地区、 近隣の商業が活性化をしていき、 そこに消費者が集まってきて、 にぎわいが生れるという訳です。

   

 そういうことで、 できるだけ早く商業が立ち上がることがトータルとしての復興につながっていくのだろうと思っております。

結果的にそういう利便性が街の中で回復されれば、 都心居住ということで住宅の建設も進み、 住民も帰ってくるのだろうと思っております。

   

複合施設としての問題点

 なお、 これはちょっと色合いが違うことですが、 小浦さんのほうからご指摘があったので、 商業施設と住宅が複合したときにどんなような問題になるのかについて触れたいと思います。

   

 これは、 将来管理組合をつくりますが、 その管理組合という一つの組織のなかで商売人と居住者がいる訳です。

今までの再開発事業でも複合用途の建物においていろんな問題が出てきておりますが、 たぶん同じ問題が起こってくるだろうと考えております。

商売人と居住者とでは資産に対する意識が当然違いますし、 商売上の環境と住宅の環境との違いがあるということで、 当然問題は起こると考えています。

   

 それを前提にして計画をしなければならないということで、 できるだけ動線の交錯についてはしないような形にしております。

図3の平面図を見ていただきますと、 完全に入り口も別にしております。

またそういう形で計画しても、 共用部分というのがどうしても出てきますので、 その時の意志決定の方法をきちんとしておく必要があります。

これもさきほど言いましたように、 組織をどううまくつくるか、 どううまく運営していく仕組をつくるかということで解決できる問題だろうと思っております。

   

 以上、 ちょっと長くなりましたけれども、 私どもが関わらせていただいている仕事のなかの一つの例として、 新甲南市場の復興事業をご紹介をさせていただきました。

どうもありがとうございました。

   

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