JUDI関西・96年都市環境デザインセミナー
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質疑応答

なぜわざわざ大変な道を選ぶのか

北条
 組織の話しで、 大事なところは押さえながらやっておられると思うんですが、 株式会社をつくるとか、 そういうことをやると、 またそのたびに合意形成をやらなければならない訳ですね。

そういうふうなことをやればやるほど時間がかかって、 それもコンサルがやることになるのでしょうが、 エネルギーが消費されてしまうことによる影響をどう考えておられるのですか。

   

 そのことに関連して、 中小企業庁の小売店舗共同化事業を導入するという着想はいいと思うのですが、 我々の経験からすると、 これまでの事業の中ではプロとしては使わない、 そんなことはありえないという先入観があったと思うんです。

たぶんドサクサの中でやろうじゃないかという面があるんだと思いますが、 まさに特殊解をやっているのであって、 それはここが解決したらそれで終わりだと、 よくできたなと、 やはり新甲南はこの方法でやって良かったなと、 それで終わったのでは話にならないと思うのです。

   

 要はそういう仕組をどう変えていくかということが大事で、 そこを是非がんばってもらいたいと思います。

   

 ただ、 そういうことをやることによって、 さらに大変な労力をコンサルが払っても、 そういうことは表面的には地権者には分からないでしょう。

早くやってくれという話と、 そういう話をどういうふうに分かってもらうようにしていくつもりなのですか。

   

大島
 会社の話でいくと、 選択としては民間デベロッパーに全部任せてしまうというやり方が私どもも楽ですし、 地元の人も民間デベロッパーのほうにいろいろ言っていればいいと思うんです。

そして出てきた答えに対して、 判断をしていくということで進めるのは、 たぶん復興としては普通に考えることだろうと思います。

   

 スピードの問題でいくと、 確かにここでやってきたようなやり方をやると、 そのための手続きなり法律に基づいてやる訳ですから、 時間がかかるということがあるのですが、 やっぱり地元の人が、 「地元主導」といいますか、 そんなスタンスでやることが良いと思うのです。

   

 これは共同化の融資を使うこともそうなんですが、 私どもは「こういう制度があります」というのを提案するのですが、 判断したのはまさに地元の方なんです。

私どもは遅れるということは考えてませんが、 当然手間暇はかかりますので、 ご説明をしたうえで、 皆さんでどうされますかという形で判断をしていただいた結果なんです。

若干誘導をした部分もないことはないですが、 デベロッパーにのっかってできあがったものと、 自分たちが苦労してつくり上げたものと、 おそらく出来上がった後が違ってくるだろうと思うのです。

   

 これはかなり理念的な話になってしまいますが、 実はそういう思いがありまして、 できるだけ地元で全部やってもらうと。

商売しながらではかなり大変だということもあるのですが、 そういうふうな考え方でやってます。

   

 融資の話についても、 一度諦めかけたということもあるのですが、 それでもそういった融資が無いと店舗に関しては全部が権利床というわけにはいかないのですね。

住宅を失っておられますから、 住宅を確保しようということが最初です。

住宅を確保しても権利としては余るのですが、 それを店舗で取ったときにさきほどの計画の半分くらいしか取れないんです。

40%くらいしか等価交換で取れないと。

残り60%を何らかの形で資金手当してやらないといけないのです。

その資金手当をするときに、 地元の人に負担のない資金手当ということで一番有利なのが中小企業庁のお金なんです。

   

 これも普通ですと2年くらい診断にかかります。

とんでもないスケジュールで、 どこでも苦労するんです。

今回も最初県に相談に行ったときには、 スケジュールとしてはやっぱり全然合わないんですよ。

診断とか入れてると、 私どもの考えていたスケジュールより半年から10カ月くらい遅くなるという話になって、 一度は諦めたのです。

それでも90%無利子の話を地元が県に強力に要望されました。

他で借りると当然金利が掛かりますし、 20年という長期のやつはありません。

そこで「どうしても使いたい、 なんとかならんか」ということで、 通常ですと2、 3年かかるやつを、 震災バージョンということで半年とか10カ月くらいで県のほうで考えていただけることになりました。

   

 さらに短くしていただいて、 普通だったら計画ができてから診断に入るのですが、 計画の段階からもう診断に入ってくれるということで、 計画と診断を並行してやってもらえることになりました。

   

 新甲南市場だけではなく菅原市場もそうなんですが、 これが特殊解として終わることなく、 いくつか事例として出てくることで、 制度化の方向に動いていってほしいという希望があります。

この方法が使えることで、 私どもが将来別のところで再開発をする時にプラスになりますし、 地元もそれで事業がスピードアップされて、 かつ有利な条件で事業が進められることで、 地元の利益にもなるのです。

   

 私どもがやっているコンサルという仕事は、 元々仕事の評価があまりなされていません。

こういうことをやって、 仕事量はかなりふえているのですが、 結果としてできたもので評価していただけるのだろうとは思いますが、 今のところはその点については十分フィーがいただけるという状況にはなっておりません。

   

難波
 震災前に25店、 現在12店ということですが、 その差はどういうことなんでしょうか。

   

大島
 震災前は25店営業されていて、 その中で復興した時に営業したいという方は、 当初はそれでも20店舗くらいはあったんです。

5軒くらいはもう高齢なので、 改めてやる元気もないということなのでやめられたのですが、 20店舗くらいは当初あったのです。

   

 けれども時間の問題がありました。

建物ができあがるまでに2年くらいかかるということで、 他のところに転出されて営業された方とか、 近くで土地を求められて営業されている方とか、 そういう形でこの地区外に出られた方がいらっしゃって、 結果的に現在12店舗で協同組合をつくるという、 そんな形になっています。

   

難波
 できたときに帰ってきたいとか、 そういう話はなかったのですか。

   

大島
 ありました。

しかしこの計画はそんなに大きな規模ではないので、 対面店舗がいくつ、 セルフでやるスペースをいくらということが比較的限定されています。

計画の段階である程度固めないといけません。

できたら帰ってくると言われても余分のスペースが取れないのです。

ですからスタートの時に意志表示をはっきりして欲しいということにしました。

その結果、 議論したうえですが、 12店舗で固めさせていただいたと、 そういうことになっております。

   

難波
 12店舗は今仮設でやっているのですか。

   

大島
 はい、 今は仮設でやっています。

   

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