密集市街地の居住空間
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2 写真で見る石橋の特性

画像n01 改行マーク道路地図から起こした石橋の空間構造です(写真1)。

画像n02 改行マーク石橋の繁華街になっているのは、 広幅員道路に囲まれたエリアです。 その真ん中にY字型をした石橋駅がドンと構えています。 集積のエリアはインフラによっておよそ3つに分けられるのですが、 駅改札がない部分だけは住宅利用が圧倒的で、 それ以外は6:4か7:3の割合で商業利用が多くなっています(写真2)。

改行マーク特性の第一として、 エリア内に車が入って来られない細街路が発達していることがあげられます(黒線部分)。 幅員約2〜4mで、 自動車の進入ができません。 車の入れる道路はあるのですが回転する場所がないので、 進入車は限られます。 東の方はタクシー専用になっていて、 タクシーのみがクルリと回っていけます。 違反で一般車が入ってくることもあるのですが、 苦労して何回か切り返しながら出ていったりしています。 つまりこの街は大部分で、 歩行者天国が達成されていることになります。

改行マーク通常の都市計画ではスムーズに乗換えの便が図れるよう、 駅前広場は駅の敷地に接して作られます。 ところが石橋の場合、 人は駅を降りるとしばらく商店街の通行人になる宿命にあります。 街のにぎわいを作るという点で、 すぐれた点のひとつです。

画像n03 改行マークエリアを取り囲んでいるものについて説明します。 まずは箕面川です。 集積エリアの北西を流れている川です(写真3)。

画像n04 改行マーク写真4は国道176号線です。 大阪から宝塚を経て福知山方面へ向かう道路です。 この右側が集積エリアですが、 左側の沿道にも商業ビルがあります。 ところで、 このオーバーパスの高架橋は大正時代に作られたものでいつ地震で崩れてもおかしくないと言われています。 国の方でこの橋を撤去しアンダーパスにしたいという意向があるのですが、 なかなか具体化しないようです。 現状は、 小さな補修でやりすごしているところです。

画像n05 改行マーク写真5は176号線を南に下がってきたところです。

画像n06 改行マークここの176号線のアンダーパスの下は、 市営の自転車置き場として活用されています(写真6)。

画像n07 改行マーク写真7は旧171号線です。 ここも宝塚線を高架橋で越えていくかたちです。 集積エリアはこの北側にあたります。

画像n08 改行マーク写真8は集積エリアの西側にあたる場所です。 ここにバス乗り場があり、 駅の西口から歩いて300mのところにようやく伊丹行きのバス乗り場があります。 そこまでは、 みんな歩いていくのです。

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改行マーク写真9、 10は石橋駅です。 なかなかの偉容を誇っています。

画像n11 改行マーク写真11は石橋駅の東口改札です。 この改札に限りタクシーの寄り付きができるようになっています。

画像n12 改行マーク写真12は集積エリアの西側にある、 高度利用された建物です。 しかし、 高度利用してもあまりテナントがつかないのか、 「契約求ム」の広告があります。 下の階だけは利用されているようです。

画像n13 改行マーク写真13は、 私は「石橋ブロードウェイ」と呼んでいるのですが、 地区の西側にある道路です。 駅の改札に向けて「車進入可」となっています。 石橋のなりわいとして、 道路の真ん中でも「自転車、 歩行者あり」の暗黙のルールがあり、 車は苦労して奥に行くことになります。 ここまで来ると、 奥に行くのは非常に勇気がいります。

画像n14 改行マーク街の西側にあたるエリア内に一部大型店があります。 そのひとつがスーパーニッショーなのですが、 土地の買収がうまくいかなかったのでしょう、 通りに面して小さな入り口を覗かせているだけです。 大型店よりも商店街の方が優勢な石橋における力関係をよく表わしています。 ただし中は、 3千m2ほどの大型店になっています。 駐車場はありません(写真14)。

画像n15 改行マーク写真15は「石橋ブロードウェイ」の駅どんつきにあたるところです。 マクドナルドの前はバイク、 自転車の置き放題の状況です。 これも石橋では「あり」の状況かなと思ってしまいます。

画像n16 改行マーク写真16はアーケード通りの北端です。 ここは旧能勢街道でして、 ここに商店街が形成されたいきさつがあります。 石橋というと赤い橋で有名です。

画像n17 改行マークアーケード通りの中は、 幅3mぐらいです。 店のなかには1mぐらい商品をはみ出させた八百屋があるなど、 界隈性に富んだ商店街を形成しています。 また、 実利のみのとても古いアーケードがかかっています。 銭湯も2軒ほどあり、 ちゃんと跡継ぎもいるようです(写真17)。

画像n18 改行マークアーケード通りが駅に近づくにつれて、 集積の密度も上がっています。 余談ですが、 ここの近くにある「いしばし屋」という小物屋は、 若者の動向を敏感に察知してすごい売り上げを誇っています。 (写真18)。

画像n19 改行マーク写真19はアーケード通りが南に下がって終わったところです。 写真に見えるオーバーブリッジが旧171号線です。

画像n20 改行マーク写真20は、 アーケードから離れた細街路の様子です。 界隈性、 あるいは「進むとどこに行くのか分からない」という迷路性を備えた道です。

画像n21 改行マーク写真21は盛り場エリアです。 店の回転も早くお客もちゃんとついているようで、 空き店舗を生む暇はないようです。

画像n22 改行マーク写真22は石橋駅の西橋にある幅1mほどの細街路です。 飲食店が軒を並べており、 駅を降りるとぷーんと漂ってくる焼鳥や串カツのにおいの発生源はここです。

画像n23 改行マーク写真23は石橋駅東側の改札を出たところです。 パチンコ屋がここに緑を植えたり、 オープンスペースを作ったりして、 街にとけ込む努力をしています。

画像n24 改行マーク写真24は「石橋ブロードウェイ」の中ほどにある、 昔ながらの「名物はりま焼き」のお店です。 商品を道にはみ出させる置き方に、 石橋商人のたくましさを感じます。

画像n25 改行マーク街の環境資源としてはささやかなものですが、 水路が流れています。 これなども有効活用することが出来るのではと思うのですが、 今はこういう姿で(写真25)。

画像n26 改行マーク写真26も同じ水路です。 なかなか趣があっていいと思うのですが。

画像n27 改行マーク水路の右側はアーケード通りになっています(写真27)。

画像n28 改行マーク街の問題としては、 駐輪・駐車の問題があります。 この写真28を撮ったのは休日ですが、 銀行の前に自転車、 車が置き放題という有り様で、 歩いて楽しむには苦労する街です。 行政側でも課題としてあがっており、 何らかの措置が必要だと思うのですが、 具体的な対策は高架下の駐輪場ぐらいしかないのが現状です。

画像n29 改行マーク写真29はアーケード通りの中の空き店舗です。

画像n30 改行マークかつて阪急市場というものがあったのですが、 かつてお店が十数件あった所に今は1〜2件しか営業していません。 街全体は元気だといっても、 賑わいからちょっと離れるとこういうさびれた所もあり、 街はやや衰退傾向かとも感じます(写真30)。

画像n31 改行マーク老朽化すると建て替えの話になってくるのですが、 やはり学生街という立地だと一階を店舗にして上をワンルームマンションにする形式が多いようです。 街の人に話を聞きますと、 今年の消費税アップに合わせて駆け込みで建て替えに着手した人が多かったそうですが、 それがほとんどこの形式です。 住宅の入り具合はどうかとチェックしてみたところ、 全部埋まっているのはまれで、 上階が空いているのが多いようです(写真31)。

画像n32 改行マーク集積エリアからはずれる所では、 最近の動きとしてマンションが建てられているようです。 接道条件は非常に悪いのですが、 写真32は現171号線に面した所でライオンズマンションです。 将来的には徐々にこうした開発が進んでいくのではないかと思われます。

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