まとめると、 少々汚くて危険だが、 親しみやすく楽しい街ということになるでしょうか。
次に、 営業者サイドから聞いた話です。 石橋商店会会長の明里(あかり)洋助氏をはじめ商店街の方々に伺いました。
それによると、 人通りは最盛期に比べたら確実に減っている。 それは休日になると顕著で、 周辺の居住者は地元石橋の商店街ではなく、 車で千里中央や川西に行っているのではないかということです。 明里さんの話では、 「将来のために何かの活性策が必要だと思うけれど、 商店会組織の面々に危機意識が薄い。 まとまって販促をかけても効果が上がらない」。 またブティック経営者によると「今は困るような状況ではない。 今の時勢、 そんなに流行る商店街はないのだから、 そこそこいける状況で満足や」ということになります。 この危機意識の希薄さは、 明里さんによると過去に川西能勢口の再開発やつかしんで大規模商業開発があった時に、 何かやらねばと皆で話し合いつつも、 結局は何も手を打たなかった。 そして、 いざフタを開けてみると、 さほどダメージを被らなかったことがあるからでしょう。 このことは一面で、 商業活動を展開する器として屋台骨のしっかりしたタフな街、 それが石橋であることを示しています。 もうひとつ明里さんから聞けた興味深い話として、 この石橋が時代の波にもまれながらも元気さを持続できる理由を、 街の起こり、 闇市からの出発に結び付けた見方があります。
たとえば隣駅でありライバル集積の池田駅前の商店街と比較したとき、 石橋の備えた能力が鮮明になります。 池田の方が商業集積としての出来上がりは早く、 江戸から明治、 大正にかけて発達を遂げており、 老舗と呼ばれる大規模店舗が多くあります。 そのため1軒あたりの宅地規模が立派で、 間口もそれに合わせて大きく奥行きもあります。 すると、 店の運営に人手もコストもかかるのは自明なことです。 それに比べて石橋の場合は、 パパママ経営が可能な十坪かそれ以下の敷地で展開しており、 時代変化や業態の転換にフレキシブルに対応できるような個店からなっている、 それが強味だという話です。
4 石橋の評価
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