都市環境デザイン会議は、 都市環境デザインに関わる土木、 建築、 造園など、 そういった方々の、 プロの集まりとして今から5年ほど前に結成された組織です。 全国で500人くらいの会員がおります。 関西ブロックには、 およそ90名の会員がおり、 セミナーなどいろいろな活動を続けております。
今回は鴨川歩道橋をめぐり京都の方で話題となっていることもあって、 京都のメンバーからの提案を受け開催することにいたしました。
今日は京都造形芸術大学の中村先生、 京都大学の川崎先生、 京都工芸繊維大学の材野先生、 大阪産業大学の榊原先生、 アーバンスタディ研究所の土橋先生の5人の方々にこの歩道橋をめぐる、 それぞれのお考えをお示しいただくことにしております。
その後で、 フロアーの方々にご参加いただいて、 ディスカッションまでもっていければと考えております。
意見書の内容を添えて皆さんにアンケートしました。 意見書は京都のメンバーを中心としたグループで作成していただいたものですが、 アンケートで得られた意見をふまえて修正し、 京都市役所に提出しています。
その際、 原案に賛成が32名、 修正付き賛成が1名です。 賛成の方は回答いただかなくても結構ですということで、 皆さん配布しましたので、 賛成と見なせる回答が53名、 関西にきて間もないのでよくわからないため保留という方が1名、 反対の方が1名です。 すでに地元で議論が進んで計画が決定されたので、 そういう事情を勘案すると反対だというご意見です。
次に主な意見についてですが、 まず場所性です。 本当にその場所に橋を架けることが必要なのかということが一番疑問だということです。 それから歴史や社会との関係もさることながら、 町のスケールとの関係が問題だとの意見が目立ちます。 橋は風景を作る大きな要素となるのに、 その点が考慮されたかどうか不明であるという指摘です。
また、 河原者の町であった当地は、 京の動の部分なので、 21世紀への予感を示すべき場所であるべきである、 そういうご意見もございました。
京都にはその土地ならではのものが既にあるわけだから、 それを壊すようなものはいらない、 どんな意識での公共性なのか疑問に思う、 京都のあの場所で本当の芸術橋を作るのであれば理解できるという京都をめぐっての意見があります。
残りの意見はデザインのあり方に関しての意見です。 京都の長い文化の中に出来合いのものを外から輸入するという姿勢こそが問題であるという意見がある一方、 海外で育った文化は京都に合わないというのは短絡ではないかという意見もありました。
1200年を経てきた京都の景観の一部になるものは、 もっと洗練されたものであってほしい。 仮にパリ市との友好を表現するものであるとしても、 はたしてポン・デ・ザールが良いか、 などの意見もございます。 非常に重要なものを短絡的に決めてしまっているのではないかとの危惧です。
以上は先ほどの意見書の提出に賛成していただいた方々の意見を、 簡単にグルーピングしてご紹介したものです。
これは川崎先生のスライドですが写真1のようにセーヌに架かっている橋です。 ディテールを見てみますと、 鋳鉄のアーチ橋です。 橋板(歩くところ)は板で出来ている橋です。
図1に示したところにかかっています。
歩くためだけの橋で、 セーヌの他の橋に比べれば、 非常に軽い感じです。 会員からは少し仮設的なイメージがするという意見もございました。
京都市の資料によれば写真2のような橋を計画しているということです。
以上、 会員アンケートの結果と、 橋そのもののご紹介を致しました。 さっそく今日のお話に入っていきたいと思います。
京都新聞トピックス
京都新聞トピックス
京都新聞社説
京都新聞トピックス
鴨川の芸術橋問題
京都の歴史的環境を愛していて下さる皆様へ
京都鴨川(三条〜四条間)にフランス風の橋を建設することの是非
日本人の意見
日本人の心の中のフランス
都心の景観を考える
橋のある風景
はじめに
大阪大学
鳴海邦碩
開催の経緯
アンケートの結果
ポン・デ・ザール(芸術橋)とは
資料/会員アンケート結果
関西メンバー−全体88名中
賛成回答 32名
修正付賛成 1名
無回答 53名
(賛成とみなせる者) 保留 1名
反対 1名
関西外メンバー 賛成 3名
メンバー外 賛成 2名
主な意見内容
場所性について
京都の固有性から
洗練されたデザインを
資料
計画をめぐる経緯
11.18 シラク・橋本首脳会談「日仏協力20の措置」 11.20 シラク・枡本市長「ポン・デ・ザール」建設を提案
2.15 枡本市長97年度会からの調査開始、 99年度完成計画を発表。 8.15 京都市美観風致審議会・景観専門小委員会開催。 8.26 市は「鴨川歩道橋」のイメージ図を発表。 都市計画のための縦覧とあわせて28〜9月11日まで市役所で公開。 1999年度完成予定。 総事業費6億円。 9.10 フランス、 ル・モンド紙「京都を醜くする京都の計画」のタイトルで批判。 10.2 市は縦覧結果、 提出された意見書を発表。 賛成72.4%、 反対26.3%。 10.3 荒巻知事、 「鴨川歩道橋は多くの支持を得ていると聞いている。 市の意向を尊重する」と答弁。 10.7 建設反対大行動、 四条大橋集会、 鴨川をデモ、 先斗町の女将ら参加。 10.13 都市環境デザイン会議関西ブロック、 反対意見書提出。 10.15 京都市、 都市計画審議会、 賛成多数で了承。 10.17 フランス、 ル・モンド紙、 再び歩道橋計画を批判
10.22 京都府、 都市計画審議会、 賛成多数で了承
11.9 「歩道橋を考える」連続市民フォーラム、 その1、 毎日ホールで行われる。 11.19 京都弁護士会が、 現計画見直しの意見書を提出。 11.20 町づくり市民会議、 住民交流センター、 市民団体が13000余名の反対署名を提出。 12.2 「歩道橋を考える」連続市民フォーラム、 その2、 マロニエで行われる。 7日まで。 12.6 「歩道橋を考える」連続市民フォーラム、 その3、 河原町カトリック教会で行われる
12.12 アメリカ、 シカゴ・トリビューン紙、 日本の景観問題の記事の中で、 鴨川歩道橋を批判(カナダ紙も同文)。
1.29 「ポン・デ・ザール計画に賛成できない仲間たち」がフランス在住者を含めて1万名以上の反対署名を提出。 1月下旬から毎火曜日、 市民団体が四条大橋で反対を呼びかけて署名運動。 2.6 「歩道橋を考える連続市民フォーラム」が、 京都市全区1500名のアンケート結果「架橋そのものに反対65%、 現計画賛成5%のみ」を提出。 2.X 地元立誠小学校同窓会が5000名の反対署名提出。 2.22 市民グループが架橋予定場所に、 原寸大の橋模型をつくり市民に論議を呼びかける。 3.5 京都市、 アンケートの結果を発表。 約4割の支持を得た木製手すりを備えた横格子の欄干、 ちょうちん形照明の「和洋折衷型」のB案を基に細部を詰めることとなる。 8.6 京都市、 白紙撤回を正式表明。
関連サイト
ヨーロッパの橋
土木の総合ネットワークであるシビルネットの中のデータベース。
鴨川(三条一四条間)にパリの「芸術橋」 仏大統領提案、 市長検討へ 友好盟約40年記念(96年11月22日)。
鴨川(三条―四条間)に歩道橋、 70メートル「芸術橋」デザイン 京都市が計画発表(97年2月7日)。
97年10月17日の社説。
「芸術橋」論議深めようふろしきと風船で橋を表現/鴨川で地元住民グループが手つなぎパフォーマンス(98年2月23日)
護葉ホームページの資料集。 京都市の広報資料、 市民運動等からの要望書なども見られ、 充実している。
本セミナーの講師でもある材野博司さんのページ。パリ芸術橋のコピーは先斗町に合わないという市長宛の意見書を掲載しています。
高校生、 大学生を主たる対象としたインターネット総合大学をめざすサイト。 政経学科で芸術橋問題を取り上げ、 アンケートを実施していた。
テーマの一つに芸術橋が取り上げられている。
98〜99年フランス年のホームページのなかで、 経緯などが紹介されている。
皇居・東京駅周辺の再開発機運の高まりや、規制緩和の議論の中で、日本を代表する景観を有するこの地域をどのように考えていけば良いのかを考えるホームページです。
お濠端・丸の内の景観についての資料を掲載すると共に、積極的な議論への参加を呼びかけています。都市環境デザイン会議会員の西村幸夫氏が運営しています。
NKKの360°という雑誌に都市環境デザイン会議会員の篠原修氏が寄稿したエッセー。 隅田川とセーヌ川は姉妹川なのだそうだ。
このページへのご意見は前田裕資へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai