2年間で、 計画、 設計、 工事をやるのですから、 それだけでも異常なスピードではないかと思います。 この公営住宅は、 半分が芦屋市営住宅で、 半分が兵庫県営住宅です。 なのになぜ公団がという疑問をお感じになるかと思いますが、 このあたりは後で、 大和田さんの方からトータルにお話をいただきたいと思います。
早期建設を図るため、 PC工法を採用して、 性能発注でやることになったわけです。 この性能発注とはなんぞやという話も、 後で大和田さんの方からお話をいただけると思いますが、 簡単に言えば、 我々が基本設計でかなりのところを決め、 その枠の中で、 実際の工事、 施工に関する部分は、 コストや工期のことを考慮しながら、 公団が求めている水準以上のものを、 それぞれの施工会社の独自の技術、 アイディア、 あるいはノウハウを使いながら実現しようという手法です。 今回の震災復興では、 早期に大量に作らなければならないので、 いろいろなところでこの手法が使われています。
814戸を2年間で設計をして最後までやれと言われれば、 私どもとしては断らざるを得ないという規模ではないかと思うのですが、 性能発注という条件だったので、 我々のような零細事務所も参画できたということです。
逆に言えば、 そういった中で、 我々は一体何を提案して、 どういうことをやればいいのかということを考えたわけです。 建築という行為の中にはいろいろなことがあるわけですが、 設計して最後の現場監理までやるというのか通常のやり方です。 そうじゃないやり方では、 どういう立場で、 どういう意図で、 何を目的にしてかかわるのかを考えると、 それは環境デザインだとか、 アーバンデザインといった分野の問題にどう応えるかではないかと思います。
これだけの規模のものを一つの色で作るのは危険ですが、 そうならざるを得ないという厳しい現実があります。 そこで、 できるだけ多くの設計者に参加してもらおうじゃないかということになりました。 できるだけ大勢の人たちにいろんな部分を担当してもらいながらやっていこうという発想は、 逆に言えばその時点ではそういう発想を持たざるを得なかったということです。 結果的には、 積極的に多くの人を巻き込んだとも言えます。
性能発注
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