南芦屋浜
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性能発注

改行マーク具体的には、 800戸強の公営住宅と、 隣接する兵庫県の住宅供給公社の200戸の公的分譲住宅で、 まず1000戸を最初に作るという話でした。 隣の公的分譲住宅は安藤忠雄さんが設計することになりました。 公営住宅は98年3月の入居が絶対条件で、 これは1日たりとも遅らすことはできないという話だったわけです。 ただ、 安藤さんのされる公的分譲住宅は、 性格上多少遅れてもよいという話でした。

改行マーク2年間で、 計画、 設計、 工事をやるのですから、 それだけでも異常なスピードではないかと思います。 この公営住宅は、 半分が芦屋市営住宅で、 半分が兵庫県営住宅です。 なのになぜ公団がという疑問をお感じになるかと思いますが、 このあたりは後で、 大和田さんの方からトータルにお話をいただきたいと思います。

改行マーク早期建設を図るため、 PC工法を採用して、 性能発注でやることになったわけです。 この性能発注とはなんぞやという話も、 後で大和田さんの方からお話をいただけると思いますが、 簡単に言えば、 我々が基本設計でかなりのところを決め、 その枠の中で、 実際の工事、 施工に関する部分は、 コストや工期のことを考慮しながら、 公団が求めている水準以上のものを、 それぞれの施工会社の独自の技術、 アイディア、 あるいはノウハウを使いながら実現しようという手法です。 今回の震災復興では、 早期に大量に作らなければならないので、 いろいろなところでこの手法が使われています。

改行マーク814戸を2年間で設計をして最後までやれと言われれば、 私どもとしては断らざるを得ないという規模ではないかと思うのですが、 性能発注という条件だったので、 我々のような零細事務所も参画できたということです。

改行マーク逆に言えば、 そういった中で、 我々は一体何を提案して、 どういうことをやればいいのかということを考えたわけです。 建築という行為の中にはいろいろなことがあるわけですが、 設計して最後の現場監理までやるというのか通常のやり方です。 そうじゃないやり方では、 どういう立場で、 どういう意図で、 何を目的にしてかかわるのかを考えると、 それは環境デザインだとか、 アーバンデザインといった分野の問題にどう応えるかではないかと思います。

改行マークこれだけの規模のものを一つの色で作るのは危険ですが、 そうならざるを得ないという厳しい現実があります。 そこで、 できるだけ多くの設計者に参加してもらおうじゃないかということになりました。 できるだけ大勢の人たちにいろんな部分を担当してもらいながらやっていこうという発想は、 逆に言えばその時点ではそういう発想を持たざるを得なかったということです。 結果的には、 積極的に多くの人を巻き込んだとも言えます。

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