江川:
短期間に814戸の公営住宅を作るという中には、 我々建築の設計をしているものからすれば「嘘でしょう」と言いたくなることがたくさんありました。
まず、 住宅が決められているということです。 多少バリエーションはあったかもしれませんが、 40m2の住宅のプランはこれ、 50m2の住宅のプランはこれ、 60m2の住宅のプランはこれ、 70m2の住宅のプランはこれと決められているのです。 基本的にはそのプランを使ってやりなさいということですから、 それを積み上げていくと、 ただの箱にしかならないという状況です(概要説明参照)。
なおかつ、 バルコニーの大きさを隣同士変えたらいけませんとか、 妻壁に窓をとってはいけませんなどの制約があるわけです。 しかしそんなことを議論している暇がありませんでした。 とにかく「これでやらな、 しゃあない」という状況です。 建築家としてこんなことをしていいのかという意識も一方ではありながら、 では、 その中でできることは一体何なのだろうかと考えていったわけです。
箱をどう工夫していったら少しはよくなるのか、 将来コミュニティがよくなるにはどうしたらいいのか、 単純な箱だけれども、 複雑に見えるにはどうやって組み合わせたらいいのか、 六甲山が常に見えるにはどうすれば良いのか。 そんなことを考えていって、 若干フラストレーションみたいなものを常にかかえながら、 コミュニティ&アート計画が入ってきたときに、 もしこれがうまく作用すれば、 建築の足りない部分を補えるんじゃないかと思った、 ということも背景にあります。
そういう背景の中でハードな部分について具体的にどう考えたのかを、 星田君の方から報告していただきたいと思います。
景観形成指針と南芦屋浜団地
現代計画研究所
星田逸郎
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