南芦屋浜
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景観形成指針について


景観形成指針のコンセプト

改行マーク私の方から、 景観形成指針と南芦屋浜団地の内容について説明させていただきます。

改行マーク景観形成指針の基本的なコンセプトとして考えたのは、 「そもそも、 都市とか建築は場所に応じて、 場所の中から発生してくるものなのだ」ということです。 例えば3層構造にするのか、 屋根をかけるのか、 アースカラーにするべきなのかなど、 そういったことは基本的には場所との応答とか、 生活の中から出てくるものです。 たぶん2層構成がふさわしいまちもあるだろうし、 多層構造がふさわしいまちもある。 だから、 景観形成指針はそういうことを決めるものではおそらくないのではないかと考えました。

改行マークだから、 ここでいう景観はそういう意味ではないのではないか。 そうすると、 一体何を共有の理念にして、 取り決めていけるのかが問題です。 答えはまだ分からないのですが、 例えば、 個人の人生と共同の人生が一緒に共存して、 高めあって引き立てあっていけるとか、 そういった生活とか人のドラマが最終の目標になるのではないかと思いました。 ようするに、 あくまでも生活空間の発現が、 結果として良好な景観を生むんだという視点にたったのです。

改行マーク住棟を分割してできるだけ豊かな空地を作るだとか、 山と海とかせっかく持っている環境を活かすだとか、 箱に基本的になっていくということがあるにしても、 同じ箱をどちらに向けておくか、 どちら側に隙間をとるのかとか、 そういう空間の仕組みみたいなものが、 数少ないできることのうちで、 しかし、 生活の舞台づくりとしては重要なことではないかと考えたわけです。

改行マークそれでは、 この指針と南芦屋浜団地の説明をスライドを使いながらさせていただきます。


景観形成指針の実際

画像ho001 改行マークこれはよくある、 ローマの地図です。

画像ho002 改行マークこれは、 和歌山の塩津浦という漁村の集落の地図です。 都市とか集住の場の中の空地の構造には、 このようにそれぞれの場所で特徴的なものがあります。 それが都市の生活にとって非常に重要だということが指針のコンセプトの一つとなっています。 建築をどういうふうに配置することによって、 どういう空地が生まれ、 それがまち全体でどういう公共空間のしくみになっていくのかということが、 景観形成指針の一つの領域として必要なことだろうとまず感じたわけです。 箱を置くことになるにしても、 そういうことを考えていけば、 かなり違ったものになっていくのではないかということです。

画像ho003 改行マークもう一つのコンセプトとは、 例えばこの川沿いの集落のように、 生活している人たちが時間をかけて川とつきあっていく中で、 結果的にこういった生活景観ができているということです。 これが美しいか美しくないか、 それをどう考えるかは難しいのですが、 個の生活の表出がどういうようになされていくのかということも、 この指針の中に入れました。 ですから、 例えば中間領域の問題ですとか、 共用部分を共同で作っていく話だとか、 そういうような話も指針の中にはいっています。

画像ho004 改行マークこれは、 槙さんの代官山の集合住宅です。 上が1期の空間の基本構造で、 下が現在の最終的な形です。 上の絵は、 まちの空地の骨格を構想したものです。 最終的には、 下の図のように、 時間とか、 人の違いによって色々なことが起こっています。 しかし、 上の図でやっているような空地をどう置くのかということは基本的に重要なことですので、 ぜひ指針の中に入れたいと思いました。

画像ho005 改行マークこれはバイカーの集合住宅です。 三角屋根を乗せるとか、 3層構造とかいった取り決めではなく、 中で起こることとか、 設計者の関わりが、 結果的にうまく表情を作ってくれるということを想像して、 まとめているという側面が指針にはあります。

画像ho006 改行マーク芦屋浜のアステムですが、 都市の基本構造をかなりはっきりさせています。 時間が経って個々の生活の表出が、 このしっかりした基盤に対して出ていくんだ、 それが個性をつくるのだと構想されていたのでしょうか。 私はこれはこれで、 この時代の建築だと思いますが、 今度の南芦屋浜団地は、 この南側に建っているのですが、 少し違ったマスの置き方の考え方をしています。

画像kei15 改行マークこれは、 指針の中のページの一部です。 こういう雰囲気で中身はできております(指針p15)。

画像kei10 改行マーク上が高齢者だとか、 弱者の話、 下が住民参加の話です。 このあたりから、 既にコミュニティ&アート計画が見えてきていると思います(指針p10)。

画像kei13 改行マークこういった場所性の問題も語っています。 阪神間で場所のコードを作るということは、 それぞれの場所によって非常に多様なので難しいのですが、 少なくとも、 山とか、 真ん中とか、 海の方とか、 もしくは具体的に伝統的なものとかを考え、 応答していこうということをはっきりと書いています(指針p13)。

画像kei18 改行マークやり出すときりがないのですが、 例えば、 真ん中の市街地とか、 少し港湾の方はどういうことを考えるのかとか、 そういう場所について応答していくということを分かっていただくために、 大まかな分類で、 言えることを写真入りで述べました(指針p18)。

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