南芦屋浜
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制度の問題点

改行マーク本当は伊藤雅春さんにワークショップのことをお話しいただければ良かったのですが、 昨今ワークショッパーは脚光を浴びていて、 忙しくて来られないとのことですので、 私がかわりに報告します。 しかし、 その前にどうしても指摘しておきたいことがありますので、 まずそれをお話しします。


住宅建設行政の制度疲労

改行マークひとつは、 先ほど江川さんもおっしゃったように「ユニットが先に決まっている公営住宅」を誰が決めたのかということです。 今回の被災地復興住宅には4タイプの住戸があり、 間口・奥行きもだいたいのモジュールが決まっています。 どうせ建設省など机の上で決めたことでしょうが、 そういうことを決めておけば早くできると考えた官僚は、 たぶん建築関係の人間ではないと思います。 予算の処理上、 それを決めておく方が早くできるという考えはよく分かりますが、 そんなものが先に出来ても早くできるとは建築家は思っていないし、 工事関係者も思っていない。 PCも、 基本設計ができてからPCのユニットができていくのです。

改行マークまた、 景観の問題で、 星田さんが報告されていたように、 非常時における忙しい時期こそ建築の原理や必要なものは何かということを考えてほしいと思うのです。 先に決めておくという方法は昭和30年代までは有効だったかもしれませんが、 関西の現場で原理的な話をしている傍ら、 東京では先にユニットを決めないと物事が動かないと考えている前近代的なシステムを見ると、 住宅建設行政もかなり制度疲労しているという気がしました。


住民はどう思うかを考えない人々の貧困

改行マークもう一つは、 どうしてできあがった団地のコミュニティやアートなどというソフトな問題を、 私が専門家だとして頼みに来るのかについてです。 私自身も一級建築士で区画整理士というハード屋なのですが。 なぜ、 それぐらいのことを自分たちでやろうとしないのか。

改行マークつまり、 建築・再開発・区画整理においてはクリエイティブな情熱を持った人達がたくさんいるのですが、 物を造ったらどうなるかという想像力が足りないのではないかと考えてしまいます。 建築家のフラストレーションを解消するために手伝っているわけではないわけで、 「住民はどう思うのか」「住む人はどういう形でそれを迎えるのか」まで建築家は考えるべきだと思うのです。 そういうことを頼まれない建築家は、 どんな気持ちで仕事をしているのかをいつも疑問に思っています。 そういう点が、 阪神間の戸建て住宅を軒並みプレハブにしてしまった最大の原因だろうと思っています。

改行マークこの2点については、 八つ当たり的に指摘しておきたかった点です。

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