震災復興景観の現状とめざすべき方向
前に
目次へ
次へ
伝統的町並み
深江文化村
伝統的な町並みは阪神間の一つの文化です。 これは深江の文化村ですが、 震災前からかなり危機的な状況にありました。
このような洋館が建ち並んでいたところに震災が襲って、 例えばここの部分は震災で壊れ更地のまま放置されています。
ここについては売却されて、 6〜7戸の戸建住宅が建設されています。 こういう形で文化村自体も随分様相が変わってしまいました。
離宮道
一方、 西の代表的な住宅地として須磨の離宮道沿道があげられ、 これは室谷邸です。 離宮道の北側、 離宮公園のすぐ南側に建つ近代建築物で、 かろうじて残った建物です。 この建物は登録文化財になっていますので、 この建物だけは今後も残っていくと思います。
その他の部分については震災前からも取り壊しの動きはあり、 離宮道沿道もかなり様相が変わってきています。
そして、 震災前は3階建に抑えられていたマンションも震災後は高層のものが沿道に建ち始めました。 この離宮道は、 約20年前から景観保全のためのアプローチがありましたが、 震災で壊滅的な状況になっています。
酒蔵
もう一つ伝統的な町並みということで、 酒蔵を紹介します。 灘五郷の木造酒蔵が壊滅的な被害を受けましたが、 この写真は明石の江井島(西島)です。 灘五郷に対し、 ここは西灘と言われていました。 「甘辛しゃん」の冒頭で、 雨の中を傘を差して女性が歩いているシーンはここで撮られたものです。
この写真は、 左側の酒造会社が持っていた土地を処分されて、 住宅開発になってしまったものです。 灘五郷ではマンションが建設されていますが、 江井島では戸建住宅に変わってきています。
これは旧西国街道にある明石の大蔵の写真です。 この建物は震災前に、 明石の重要建築物に指定しようという動きがあり、 所有者の同意がとれそうになった時に震災に遭い、 震災直後、 傷んだムシコ窓を改築され、 厨子部分の漆喰もモルタルで吹き付けられました。 この建物については、 市と所有者が協議し、 最終的には重要建築物に指定しています。 指定することによって、 往時の様式で修復してもらおうという動きになっている建物です。
そういう街道沿いに町屋が並んでいる隣で、 元々町屋であったものが建替えられ、 道路からさがって現代住宅が建てられつつあります。
前に
目次へ
次へ
このページへのご意見は
前田裕資
へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ