震災復興景観の現状とめざすべき方向
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工夫されたところ

改行マーク次に、 そういう中でちょっとした工夫をされている事例を集めましたので、 紹介させていただきます。


建物の修景

画像ue037 改行マークこれは長田で11戸の長屋が協調再建された事例で、 所有形態がAAAということで比較的話がスムーズに進んだ再建例です。 軒のデザインや高さをそろえることにより、 統一された家並みとして再建しています。

画像ue038 改行マークこれは、 写真を見るかぎりではわかりにくいのですが、 震災前、 この建物を含めて10軒の長屋があって、 地主さんは一人だったところです。 長屋がすべて倒壊し、 そのうちの3人の方が、 それもこのように隣接して元々住んでいたのではなく、 バラバラに住んでいた人が、 地主さんと交渉して東端にまとまって再建された事例です。 これは景観というよりも再建の工夫という事例です。

画像ue039 改行マークこれは御影郷の酒心館の写真です。 瓦や木材などは震災で倒壊したものを何とか取り出して再建されており、 展示場とホールとして活用されています。

画像ue040 改行マークこれは先ほどの江井島の工事中の写真です。 レストラン経営の会社が酒造会社から酒蔵を買い取って、 何とか残った酒蔵を利用して、 資料館とレストランという形で再建されつつあります。

画像ue041 改行マークこれは、 西宮の宮水を生かした修景公園の事例です。 中に入れないのが残念ですが。

画像ue042 改行マークこれは江井島の民家の事例でかなり評価できる復元だと思います。 明石高専の八木先生が指導されて再建されました。 江井島もかなりダメになったと言いましたが、 レストランとしての活用や民家の復元を通してまちづくりの芽は見え始めていると思います。


緑化・敷際の修景

画像ue043 改行マーク先ほど庭先駐車場の事例を紹介しましたが、 どちらかというと無機質な駐車場が多いなかで、 駐車場の後ろ側に中木を置き、 手前の門なども震災前のものをなんとか再生して使われている事例で、 効いているのは後ろの蔵が残っていることです。 一つの参考になろうかと思います。 ただ、 床面のアスファルトを何とかできたらと思いました。

画像ue044 改行マークコープランの事務所として再建した建物です。

改行マーク通りに面して木製パーゴラを設え、 床面は車が乗りこんでも比較的丈夫なリュウノヒゲを使用して、 少しでも緑を持ち込もうとしたものです。 真ん中をツタが這いあがってきていますが、 木製パーゴラがツタで覆われないかと考え、 こういう空間を作りました。

画像ue045 改行マークこれは、 さきほどのお屋敷がマンション化した隣の写真です。 既存の高木を残してマンションが建っており、 お屋敷がマンションになっていいのかという問題はありますが、 ここでは既存の樹木を残したという点で評価したいと思います。

画像ue046 改行マークさきほど生垣と石垣の構成に変わってコンクリートブロック塀になっている事例をお見せしましたが、 このケースは、 住宅自体は建替えられているのですが、 外溝部分が昔のまま残っています。 おそらく解体時に工夫され、 建てる時も横の空いていたところから搬入して、 うまく残されたのだと思われます。

画像ue047 改行マークこの写真は、 さきほどの離宮道で板塀を再生された事例です。


隙間の修景

画像ue048 改行マーク次からは、 通りに対してわずかしか残っていない隙間を利用して修景している事例です。 これは花壇と窓辺の鉢による修景の事例です。

画像ue049 改行マーク少し見えにくいのですが、 通常コンクリートブロックが上の方まで積み上げられるところを2段で抑えて、 プランターをぶら下げたり、 草花などの緑で飾られています。

改行マークいずれのケースも隙間は50cmぐらいしかないのですが、 さまざまな工夫が行われています。

画像ue051 改行マークこの通りに面した住民の方がおそらく趣味でやられたのだと思うのですが、 木製のベンチや花台、 掲示板などの色を統一させて皆さんに提供されて飾っておられます。

画像ue052 改行マークこの事例は木賃住宅が壊れて賃貸マンションが建ったところです。 植え込みで段階的に修景されている事例です(左のインデックス画像をクリックして2枚セットの写真を見て下さい)。

画像ue054 改行マークこの事例は、 アパートが通りに直面して建っているところを移動生垣を使って修景しているものです。(左のインデックス画像をクリックして2枚セットの写真を見て下さい)

画像ue056 改行マークこの事例は、 向こう側に見えるキンモクセイは震災でも残ったもので、 その手前に暫定的なものですが、 中木の移動植桝を置いて修景しています。

画像ue057 改行マークテーマとは擦れますが、 この事例は須磨の間伐材を使って修景しているダムで、 これについて評価が分かれると思います。

画像ue058 改行マーク白い塀の内側に見えているのが生垣助成で植えられた生垣です。 助成は一つの敷地を対象にしていますが、 これが街の中で広がっていけばいいと思います。

画像ue059 改行マークこの写真はコー・プランの隣りの家です。 手前に見えているのは先ほどの移動植桝です。 この住宅はとりあえず再建され、 玄関部分も青空駐車場だったのですが、 その後、 向こうのパーゴラにあわせて同じようにパーゴラで屋根をつけられました。 車を置く方向が違いますので、 木材の方向も違いますが、 協調的な修景の一例です。

改行マークそして、 さらに植桝があった部分を生垣助成で生垣にされました。 建物の再建に始まって、 次の段階でこの木製パーゴラの駐車場を作って、 最後に生垣を作られた。 そういう段階を追って再建された事例です。

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