震災復興景観の現状とめざすべき方向
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被害と再建の様子


被害の様子

画像yo001 改行マーク今日のスライドは'97の夏から秋にかけて撮影したものがほとんどです。

改行マークこれは一宮、 江井集落です。 昔の豪商の館があり、 わりと町並み保存がされている所です。 このスケールで見る限り、 ほとんど違和感がなく、 震災被害はよく分からないんですね。 倒壊家屋のほとんどが再建されているため、 9年前の写真と比べてみてもほとんど変化がないと感じられます。

画像yo002 改行マーク今回の壊れかたは、 屋根が落ちる場合が非常に多かったと聞いています。 これは家主のいない空き家で、 今も放置されたままです。 地元では本家シコロ建てと呼んでいる家屋の、 上の屋根や小屋組が落ちるというパターンが多かったようです。


プレハブと瓦(現在の状況)

画像yo003 改行マーク淡路島の漁村は海に参道が抜けているわけですが、 その参道から見ても、 プレハブがかなり多く建っています。 淡路島では全壊と半壊を世帯数で割った比率が、 多いところで70%、 西浦、 東浦の漁村で大体50%ぐらいです。 再建家屋は、 在来工法が半分といいますから、 全家屋の25%ぐらいがプレハブで建て替えられています。

画像yo004 改行マークただ新しい家も、 写真のように瓦屋根がのっています。 こういう新しい所も屋根だけは地場産業の瓦を載せています。

画像yo005 改行マークこれもそうですね。 新しくても瓦は積極的に使われています。 その点、 阪神間とは随分違います。

画像yo007 改行マークこれは一宮町の震災復興のコミュニティ住宅ですが、 瓦を載せています。

画像yo008 改行マークそれからこれは淡路島唯一の長屋建ての再建住宅で、 東浦町のコミュニティ住宅として建てられています。 伝統性を生かした非常に優れた事例の一つではないかと思います。

画像yo010 改行マーク南淡町の事例です。 水門にも瓦を使っています。 良いか悪いか別にして、 淡路島では現在の公共施設はほとんど瓦を使っています。

画像yo011 改行マーク現在一番空き地が多く残っている富島ですが、 中景で見た感じでは若干空地があるかなというところです。 このように震災から一年経つと漁村集落の全体景としてはほとんど違和感が少なくなっています。

画像yo012 改行マーク海岸道路から見ても、 全体的な景観は大きくは変わらず、 漁村の面影が継承されています。 阪神間とはイメージがかなり違うと思います。


淡路島で景観を捉える意義

画像yo014 改行マークこれは慶野の松原という所で、 国立公園となっています。 これまで淡路島で景観的に一番気を使っていた国立公園区域内の建物ですが、 こういう状態です。

画像yo015 改行マークそれぞれのデザインは凝っているのかもしれませんが、 全体としてみるとバラバラな状態です。  自然公園法に基づいて、 建物のボリュームと高さを押さえて、 周囲の緑に埋めるようにして建物を隠すように規制・誘導されているものですから、 建物を積極的に見せようとか、 見るべき建物としてデザインをして行こうという考えは乏しく、 その辺りが景観条例との違いになっています。

改行マークこの地域では地震による被害は軽微でしたが、 規制を厳しくやっている所でもこの状態ですから明石海峡大橋が開通する状況を考えると淡路島でも景観のあり方を考える必要があります。

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