震災復興景観の現状とめざすべき方向
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問題の整理


住宅の商品化とプレハブメーカーの論理について

鳴海:
改行マークでは質問をまとめて三人の方に意見を述べてもらいましょう。

改行マークプレハブに関する感想がけっこうありましたが、 この研究会の過程でハウスメーカーの人に集まってもらったことがありますした。 その席で私はいろいろと発見できました。 先ほど、 阪神間では車を買うように家を買っている(淡路では少し事情が違うようですが)とのお話がありましたが、 我々(都市環境デザインを専門とする者)が抱いている家イメージと実際に買う人とでは、 相当にずれてきているようです。

改行マーク例えば、 あるお客のところにメーカーの人が行って「この地区の家はこうした方がいいですよ」とアドバイスしても何の足しにもならないそうです。 お客にしてみれば自分の気に入った「商品」を買うわけで、 「この地区にはこんな色が似合う」「隣同士で調和させる」ということを誰の責任で言えばいいのかについては、 メーカーの人も迷っているのだそうです。

改行マークですから、 町内でも地区内でもいいから「こういう街にしたい」という文言が示されていれば、 それを手がかりにして家への提案ができるとメーカー側は言っています。

改行マークつまり赤い車がほしいというお客に青い車を勧めても意味がないわけです。 その地域にまちづくりのヒントが何もないときにどうしたらいいのかについては、 メーカー側もかなり悩んだそうです。 そういう場合「この通りはこういう風に」というヒントがあるだけでも、 家づくりに相当影響を与えます。

改行マーク先ほどの報告ではそうした例がいくつか出ていましたが、 そんなまちづくりへのヒントが普通の町々へも広がっていくにはどうしたらいいのか。 それが当たり前になってくると、 メーカー側もそれに対応した販売戦略を考えてくるわけです。 今はそれがないから、 メーカー側としてはやりようがないというのが彼らの論理です。 ですから、 プレハブメーカーだけを責めるわけにもいかないと感じています。


質問のまとめ

改行マークさて、 質問をまとめてみます。

改行マーク〈(1)空き地の問題について〉一時利用の駐車場が増えていること、 また各住宅の駐車場がかつての住宅地の景観をどんどん変えていることについて、 車社会ともからめてどうするか。

改行マーク〈(2)プレハブのあり方について〉私は地域とメーカーがもっと積極的に近づいて、 地域から「この地域はこういう景観にしたいので、 それに沿った住宅をお願いします」と言わない限りメーカー側は動かないような気がします。

改行マーク〈(3)マンション化がどんどん進行していくこと〉これを我々はどうやって景観問題として認識していくか。

改行マーク〈(4)暮らしと言う観点と景観について〉佐々木さんと西さんのご意見に似ていますが、 表層を飾ったり、 表層のみを合わせていくのではなく、 暮らしが展開する空間から景観が生まれるわけです。 したがって、 暮らしという観点を景観の中にどう位置づけるか。 そのことが「街の姿を共有する」ことにつながっていくと思われます。

 

改行マークこういった点について、 今日発表されたみなさんにご意見をうかがいたいと思いますので、 よろしくお願いします。

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このページへのご意見は前田裕資

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