都市緑化の可能性
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高い断熱効果

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図2 屋上植栽測定断面
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図3 夏期と冬期における断面温度分布
改行マークさて、 もう一つの実験結果を現したのが図2で、 屋上の断面図を模式化したものです。 屋上には、 パーライトの土壌が15cm、 人工土壌が60cm、 コンクリートが24cm、 断熱材が5cmあります。 室内の天井の上にこれだけの分厚い層があるのですが、 それぞれの層の温度を測ってみました。 その結果が図3です。

改行マークそれによると、 夏場は土壌の表面温度は気温に合わせてかなり動いています。 ところが、 30cm以上深くなると1日の温度変化は全くありませんでした。 ただ天井裏は室内温度に合わせて若干変化しているようです。 同じような実験を冬期にも行ったのですが、 やはり土壌下30cmあたりになると1日の温度変化はありません。

改行マークこれは言い換えると、 非常に高い断熱効果があるということで、 冬場は暖かくていいけれど夏場は暑くてつらいということになり、 入居者アンケートでも正直に表れました。 例えば、 「うっかりブラインドを開けて外出して帰ってみると、 冷房しても冷えなくて大変でした」という話があります。 夏場はちょっと蓄熱しすぎるのかなと思っています。

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図4(a) 屋上植栽構造の種類
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図4(b) 室内気候が変動した場合の天井表面温度(屋上植栽構造別)
改行マークでは、 どのぐらいの土壌の厚さであれば効果的なのかをシミュレーションしたのが図4です。 NEXT21ではパーライトの人工土壌75cm、 コンクリート24cm、 ウレタン5cmとなっています。 図4(b)の下のグラフは天井表面温度から室温を引いたものです。 NEXT21では天井裏と室内の温度差がなく、 高い断熱効果を示しています。 従来の建築仕様だと、 常に室温の方が低く天井から放熱していることが分かります。 ですから、 従来の集合住宅で屋上階が暑いと言われるのも、 常に天井裏が暖められて放熱していくからだと言えます。

改行マークシミュレーションの結果では、 屋上に断熱効果があると夜間は天井面から室内側に放熱がありますが、 昼間は天井面の方が低温で、 屋上への日射の影響が少なくなります。 人工土壌が8cm、 コンクリートが24cmの場合には、 最も空調負荷にとって有利な結果になりました。

改行マーク以上の2点が、 物理的な居住実験の結果です。

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