海外都市の密集市街地に学ぶ
前に 目次へ 次へ
カンプンの特徴
まず、 農地と関係がないことがあげられます。 オランダ時代、 田舎の人は、 街に出て行っても田舎のライフスタイルをそのまま持ってきましたが、 農地はありませんでした。 それから、 高密度、 多様性、 複雑さといったことがあげられます。
|
図6 カンプンの間取りと居住形態(抜粋)
|
住宅には様々なタイプがあります。 図6は、 私の先輩の研究ですが、 ジャワ島のジョクジャカルタにあるラトマカンというカンプンにある住宅の種類を調べたものです。 色々なタイプがあって、 部屋の数でいけば2部屋のものから14部屋のものまであります。 広さも様々で、 例えば、 真ん中の図は、 非常に狭いのですが7つの部屋があります。 それから、 材料も非常に多様なものが使われています。
|
図7 ダレムの拡大の様子(長いアクセスのあるダレムの場合)
|
カンプンは、 自然発生的に成長していきます。 図7も、 先輩の研究成果ですが、 同じようにジョクジャカルタのダルムと呼ばれる貴族の館の周りに成立する、 主に貴族の召使いたちが住んでいるカンプンについて調べたものです。 もともとダルムの周りには何もなかったのですが、 貴族の許可をもらって家を建てていって、 どんどん広がっていきます。 これが一つの成長のタイプです。 もちろんその他にも、 色々な成長のプロセスがあります。
|
図8 メダンの商業地区、 チャイナタウン
|
もう一つの特徴は、 仕事場と住む場所が非常に近いということです。 図8は、 先ほどのメダンの商業地区、 チャイナタウンです。 チャイナタウンには色々な仕事のチャンスがありますから、 その近くには、 カンプンがあちこちに成立しています。 カンプンは仕事場と住む場所が近いというのが、 基本的な特徴です。
それから、 家の内と外のアクセスが非常にオープンだということがあります。 ほとんどの生活が外で行われますので、 中と外のアクセスは非常にやりやすくなっています。
一方、 土地所有の関係は非常に複雑です。 インフォーマルで複雑です。
|
図9 メダンのオランダ人居住区
|
図9は先ほどのメダンのオランダ人居住区です。 今は高級住宅地になっています。 その周りをよく見ると、 たとえば右下のFRINGE AREAとして示した地区がそうですが、 スラムがポケットみたいにあちこちに点在しています。 スラムは、 だいたい右下の写真のようなイメージで、 バラックのような形で、 あまり整備されておらず、 土地も不法占拠されています。
前に 目次へ 次へ
このページへのご意見は前田裕資へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ