図12 カンプン改善プログラムの成果(スマランの例、 改善後) |
KIPは、 独立後から始められました。 1969年に、 ジャカルタのモハンマド・フスニ・タムリンというプロジェクトが、 最初に行われています。 インフラストラクチャーの改善によって、 フィジカルな、 あるいは社会的な状態をよくするということが、 KIPの目的です(図12)。
KIPの特徴はいくつかありますが、 コミュニティの移動を伴わない改善を行っていることがまず挙げられます。 あとは、 海外からの資金援助を得ていること、 それから政府の主導ですが、 ボトムアップ型で住民参加もやられていることです。
図13 KIPが実施される前提となる地区の人口密度と(1978年)とジャカルタで1976年以前に行われたKIPの実際の人口密度(haあたり) |
これまでKIPにより改善されたカンプンの平均の密度をみてみると、 だんだん密度が低くなってきています。 密度が高いところは、 緊急にやる必要があったために、 優先的に行われ、 その後より密度の低いカンプンも対象となってきているということです。
KIPはインフラストラクチャーの整備しか行いませんが、 よい影響もあります。 例えば他の部局への刺激です。 健康の関係とか、 教育の関係の部局でも、 KIPのような活動が行われるようになりました。 住民の健康状態も改善してきています。 それから、 一番よいことは、 住宅改善の動きを刺激することです。 周りの環境がよくなると、 自分の家もきれいにしようという意識が強くなってきます。
図14(a) クリアランス型の最初のプロジェクト(クブンカチャン) |
図14(b) 最近のクリアランス型のプロジェクト(スラバヤのソンボ、 ジョサン・シラスの計画による) |
それから、 実際の問題は、 カンプンの特徴と行動パターンに基づいていないことです。 クブンカチャンでは、 ワルンと呼ばれる売店を用意しているのですが、 使われていません。 ワルンは、 本当は経済の目的ではなく、 むしろ一つのコミュニケーションのベースになっているのですが、 そこまで考えられていないのです。 だから、 結局使われません。
一番問題なのは、 改善後、 元の居住者の20%しか入居出来なかったことです。 残りの80%はどこに行ったかというと、 結局また新しいスラムを作って暮らしているのです。 結局これはカンプンの破壊です。 クブンカチャンは初めてやられたものですから、 失敗はしょうがないかもしれませんが、 これから再開発が必要なところで、 どうするか考えていかなければなりません。
図14(b)は、 スラバヤのソンボというところです。 ジョサン・シラスという建築家がこのプロジェクトをやっているのですが、 彼はカンプンのことにつて詳しく研究している人です。 まだできたばかりで判断できませんが、 クブンカチャンの場合よりはよくなるかもしれません。